愛娘イヴァンカは政権浮揚に一役買うか。(時事通信フォト=写真)

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■ホワイトハウスの内幕すべて暴く

トランプ新政権発足から約3カ月、トランプ大統領は、ビジネス上の規制緩和、治安対策の強化、インフラ関連の措置、最高裁判事の任命などについては一定の成果を上げつつも、テロの危険がある国からの入国を禁止した大統領令に関する訴訟と再提出、骨と皮だけの内容が薄い予算教書、オバマケア代替法案の先送り、など、重要度の高い政策について非常に厳しい政権運営を強いられてきた。その結果として、当初から高くなかった支持率は、直近の世論調査では40%前後と、さらに低下している状況だ。

しかし、このような最悪の状況の中で、さらに政権発足から間もないにもかかわらず、トランプ大統領は2020年の再選に向けて密かに準備を開始している。連邦選挙委員会によると、トランプ大統領の16年時の選挙運動を担った団体などが17年1月から3月の間に調達した資金額は1320万ドル(15億円弱)に到達している。米国の政局動向を取材する専門誌politicoによると、同団体はトランプのデジタル・キャンペーンを担ったブラッド・パスケールの企業に多額の支出を実施しており、同団体が雇用しているメンバーの中にはマイク・ペンス副大統領の甥であるジョン・ペンスの名前があることもわかっている。

トランプ大統領は就任当初、共和党内の保守派の意向に非常に配慮した施策を実行してきた。共和党保守派の年次総会であるCPACにも36年ぶりに現職大統領として出席し、自らと保守派の関係の蜜月ぶりをアピールしてきた。一方、リベラル系のメディアからのネガティブ・キャンペーンや共和党主流派・民主党からの徹底した批判にさらされたこともあり、結果として保守派の政策展開がことごとくとん挫してしまった。トランプ大統領と共和党議会執行部は、オバマケア代替法案については党内主流派の意見を取り入れた内容で連邦下院の採決に臨もうとしたが、逆にリバタリアン系保守派のフリーダムコーカス(自由議員連盟)の頑強な反対にあって法案提出を先送りする事態に陥った。トランプ大統領とホワイトハウスは共和党内対立の中であちらを立てればこちらが立たずの窮地に陥った。そこで、トランプ政権は発足当初の保守派寄りの政権運営から、対立状態にあった主流派や民主党との距離を縮める方向に動きつつある。オバマケア代替法案の失敗の一因として、保守派と対立するネットメディアが「スティーブ・バノン首席戦略官が下院議員らにとった横柄な態度が原因」と報じたこともあり、ホワイトハウス内での保守派として際立った存在であったバノンの政治的な地位が急速に失われた。バノンはNSC(国家安全保障会議)における常任メンバーから外されたうえに、トランプからも更迭を示唆する発言すら漏れている。

一方、娘婿のジャレッド・クシュナー上級顧問の影響力は徐々に強まっている。クシュナーは元民主党員であり、ホワイトハウス内ではゲーリー・コーン国家経済会議委員長やスティーブン・ムニューチン財務長官らリベラルなウォール街出身者を味方につけて、ハーバート・マクマスターやジェームズ・マティスら職業軍人系のメンバーや議会主流派からの信認も取り付けつつある。国民からの支持率も相対的に高いイヴァンカ・トランプのホワイトハウス入りもクシュナーに有利に働く。オバマケア代替法案先送り後、同法案に反対した議員への個別の懐柔や民主党系の黒人関連の議員連盟への接触など、トランプ政権の政局および議会運営も柔軟なものになりつつある。シリア政府の空軍基地への爆撃や北朝鮮をめぐる最近の軍事・外交対応などは、保守派よりも主流派が評価していることが象徴的だ。

自身の再選に向けてすでに動き始めたトランプ大統領。その試金石となるイベントは18年の中間選挙だ。中間選挙でトランプ大統領が勝利するためには、自らの支持者との公約である減税やインフラ投資などの経済関連法案を議会で成立させることが必須条件となる。トランプ政局から今後も目を離すことができない。(文中敬称略)

(早稲田大学招聘研究員 渡瀬 裕哉、参議院議員 三原 じゅん子 時事通信フォト=写真)