「明治 ザ・チョコレート」

写真拡大

 菓子メーカー大手の明治が昨年9月に発売して以来、大ヒットとなっている板チョコ「明治 ザ・チョコレート」(以下、ザ・チョコ)。

 同商品は220〜240円(税別)と、同サイズのチョコと比べて高額だが、発売当初の目標を2倍以上も上回る売れ行きだという。発売から約3カ月でシリーズ累計900万個以上を売り上げ、現在は同2000万個の大台を突破するなど、大ヒットしている商品だ。

 この「ザ・チョコ」は、カカオの産地を厳選したり製法を刷新したりしていることに加え、パッケージやチョコのデザインを高級感あふれるスタイリッシュなものにしており、若い女性を中心にウケているという。

 そんな、明治の威信をかけて成功させたともいえる商品だが、実はパクリ疑惑が浮上してしまっている。

●特殊なデザインが専門店の板チョコにそっくり?

 前述のように、「ザ・チョコ」はチョコの形状がオシャレにデザインされており、1枚のなかで「軽い口当たり<ミニブロック型>」「濃厚感を楽しむ<ドーム型>」「香りが際立つ<ギザギザ型>」「力強い味わい<スティック型>」と、4パターンの形状が組み合わされている。

 しかし、この独特のデザインこそが、パクリ疑惑を生む要因となっているのだ。

“パクられた側”とされているのは、渋谷区富ヶ谷、中央区銀座、港区白金に店舗を構える高級チョコレート専門店「Minimal -Bean to Bar Chocolate-」(以下、ミニマル)だ。

「ミニマル」の板チョコは「ザ・チョコ」より大型ではあるものの、表面に数種類のパターンのデザインが施されているという手法は同じで、確かに「ザ・チョコ」の見た目は「ミニマル」のチョコに似ている。

 実際、「ザ・チョコ」の存在に気付いた「ミニマル」ファンは、ツイッターに次のような書き込みをしている。

「明治のthe chocolate、Minimalのチョコにそっくりなんだけど共同開発とかなのかしら??」

「meiji the chocolate、中は袋3つ分に分かれてたけどminimalのような見た目なんだけど……監修か何かしてるのかね。ビーントゥバーですし??」

 こういった声を受けて、「ミニマル」は昨年11月に公式ホームページで「“お知らせ” 『明治 ザ・チョコレート』に関する弊社へのお問い合わせについて」というタイトルで、次のような見解を発表している。

●「ミニマル」は公式見解で大人の対応

「ミニマル」のホームページから、その一部を抜粋する。

「今回は、Minimalのお客様や多くのチョコレートのファンの皆様にお伝えし、誤解を避けておきたいことがあり、投稿しています。

 ここ最近、店頭、お電話、Webでのお問い合わせやインターネット上での口コミにおいて『明治さんのザ・チョコレートはMinimalが監修や共同開発しているのか?』というご質問の声を多数頂いております。

(中略)

 本件に関して、お客様よりご質問を多数頂くため、お客様や多くのチョコレートファンの皆様に誤解がないように回答させて頂くと、明治さんのザ・チョコレートにMinimalが関わった事実はございません。

 Minimalの板チョコレートのデザインは創業当時(2014年12月)から使用をしており、Minimalがコンセプトや形をオリジナルでデザインして、板チョコレートを成形(固める)するための金型からオリジナル制作をしているものとなります。

 明治さんのザ・チョコレートのデザインは2016年10月【※編集部注:正しくは9月】からの新商品と認識しておりますが、板チョコレートの形をそれぞれ変えるデザインはMinimalだけではなく、海外の製品でもいくつか例があります。そのため、当初はこういう形でコメントする予定はありませんでしたが、予想以上にお客様からの誤解や質問の声があり、迷いましたがお客様やチョコレートファンの方々の誤解を解くためにコメントさせて頂きました。(後略)」

●明治の回答は「世界のチョコを幅広く調査」

 そこで、明治広報部に「『ザ・チョコ』は『ミニマル』を真似ているのではないか」という趣旨の問い合わせをしたところ、以下の回答が得られた。

――「ザ・チョコ」発売までの開発経緯をお教えください。

「当社は1926年に明治ミルクチョコレートを発売して以来、カカオ豆の生産から携わっているメーカーです。『ザ・チョコレート』は2006年より明治の社員が現地に赴き、現地の農家に発酵方法の指導など農業支援を行った高品質のカカオを使用した、生産から製造まで一貫した、こだわった工程で生産されたBean to Barチョコレートです。カカオの香りと味わいを愉しむというコンセプトのもと、商品化いたしました」

――「ザ・チョコ」の開発段階で、「ミニマル」のチョコレートを参考にしたという事実はございますか?

「チョコレートを開発する上で、国内に限らず、世界各国のチョコレート商品を幅広く調査しています」

――客観的に見て、「ミニマル」のチョコレートと「ザ・チョコ」は似ていると思いますか?

「板状のチョコレートの形状には、各社さまざまな形状があります。当社は長年、さまざまなチョコレート商品、その商品の型を開発してきました。『ザ・チョコレート』は、その歴史とノウハウをつぎ込んだ商品で、口の中に入れたときの香りや味わいの違いを愉しんでいただけるように、ドーム型やギザギザ型などの立体形状を採用しています」

――貴社に、消費者からの問い合わせ(メールや電話など)として「『ミニマル』と協力して開発したのですか?」「『ミニマル』に監修してもらっているのですか?」「『ミニマル』のチョコレートを真似ているのではないですか?」といった質問や意見などは届いていますか?

「当社のお客様相談センターに寄せられたご意見、お問い合わせのなかで、ご質問にあるようなお声も頂戴しています。当社としては、監修・協力開発したことはないというご回答をしています」

●企業同士の訴訟問題に発展した模倣商品も

 明治の回答は、お客様相談センターに「真似ているのか?」などの声が届いていることは認めながらも、開発する上で「国内に限らず、世界各国のチョコレート商品を幅広く調査」しているというものだった。

 いずれにしても、この件については「ミニマル」側が事を荒立てるつもりはないという趣旨のコメントを発表しているため、訴訟などに発展することはなさそうだ。

 余談だが、過去には、北海道土産の定番お菓子「白い恋人」を販売する石屋製菓が、「面白い恋人」というお菓子を発売している吉本興業などに対して販売差し止めを訴えた騒動があった。

 石屋製菓の島田俊平社長は、当初は「面白い恋人」の存在を黙認していたそうだが、「東京でも売っていたと聞いて、これは見過ごせないなと。悪のりしすぎている」「商道徳としてどうなのか」と憤慨、提訴したという。この訴訟は2013年に「面白い恋人」のデザイン変更や関西限定販売にすることなどで和解しているが、当時、島田社長は納得しきれていない心境をメディアに吐露していた。

 また、江崎グリコの「ポッキー」の高級版「バトンドール」の箱と、韓国のロッテグループが韓国国内で発売していた「プレミア ペペロ」の箱が酷似しているとして、グリコ側がロッテ側に販売差し止めを求めて訴訟を起こしたこともある。この訴訟は、15年にソウル中央地方裁判所が「グリコの製品(バトンドール)を真似てつくられたものだと考えられる」として、グリコの訴えを認める判決を下している。

「ザ・チョコ」は、新味の「深遠なる旨味抹茶」が4月11日より発売されている。まだまだ売れ行きを伸ばしていきそうだ。
(文=A4studio)