クラウドストレージサービスのBackblazeが、恒例となっているハードディスク(HDD)故障率の2017年第1四半期レポートを公開しました。今回から、Seagate製のエンタープライズ版HDDを大量投入しており、一般向け製品とどれくらい故障率が違うのかについても注目が集まっています。

2017 Hard Drive Failure Rates - What the Numbers Tell Us

https://www.backblaze.com/blog/hard-drive-failure-rates-q1-2017/

Backblazeではクラウドストレージサービスを運用するために使用している大量のHDDについて、故障率を4年間分保存して公開しています。クラウドストレージサービサーという特殊な用途ではあるものの、Backblazeの公開資料では大量のHDDの故障率について品番別に経年の推移を追いかけられることから、HDDを使う一般ユーザーにも参考になる資料として注目を集めています。

Backblazeは2017年Q1(1月から3月)にかけて、1万577台のHDDを追加して、入れ替えたり置き換えたりしたHDDを合わせると、合計で8万2516台という大量のHDDを運用しました。なお、すべてのHDDが3.5インチモデルです。

2017年Q1で追加された大半が4TBモデルで、次いで大容量の8TBモデルとなっています。現時点で最も容量単価の良い4TB製品を大量投入すると共に、大容量の8TBモデルにシフトしており、従来主流だった3TBモデルからの置き換えが図られています。



そして、2017年Q1の間のメーカー・品番別のHDD故障率のデータは以下の通り。表の「Drive Failures」が故障した数、「Annualized Failur Rate(AFR)」が通年換算したときの故障率を示しています。Seagateの「ST4000DX000」が35.88%という高いAFRを示していますが、これは170台と導入台数が少ない上に、経年劣化後と同様に導入直後にエラーが発生しやすいという「バスタブ効果」も考慮に入れると、製品寿命ベースでの通年故障率は7.5%となるとのこと。あくまで170台と導入台数が少ないことから現時点での統計データとしての価値は小さいとBackblazeは述べています。



現在運用中のHDDについての2013年4月以降の全期間における故障率は以下の通り。AFRが1%を切る「HDS5C3030ALA630」「HDS5C4040ALE630」「HDS5C4040ALE640」などHGST製HDDの故障率の少なさは驚異的なレベル。他方で運用台数が多いHDDの中にはWestern Digitalの「WD30EFRX」「WD60EFRX」のように故障率が高いモデルも確認できます。



そして、非常に興味深いのが、Seagateの「ST8000NM055」というエンタープライズ向けモデルを2459台も導入しているところです。Backblazeはこれまでにも45台のST8000NM055を導入していましたが、Seagateとの交渉により大量購入することで大幅なディスカウントを受けることができたため、エンタープライズ向け8TB製品を一気に従来比で50倍も大量投入することになったそうです。

同じSeagate製の8TBモデルということで、コンシューマー向けの「ST8000DM002」とエンタープライズ向けの「ST8000NM055」を比較すると以下の通り。現時点ではエンタープライズ向けのST8000NM055の方がAFRが高くなっていますが、ST8000NM055ドライブの多くはまだデータ書き込みが完了していない初期の段階であり、前述のバスタブ効果を考慮すると、故障率を評価するのは時期尚早とのこと。少なくとも6カ月の運用が必要だそうで、エンタープライズ向けHDDの真価が問われるのは次回の2017年Q2レポート以降になりそうです。



Backblazeによるとコンシューマー向けのST8000DM002がアイドル時7.2W、平均9Wの消費電力に対して、エンタープライズ向けのST8000NM055がアイドル時9W、平均10Wの消費電力だとのこと。しかし、エンタープライズ向けHDDにはPowerChoice技術によって電力使用量の最適化が可能であり、大量のHDDを使用するBackblazeの運用状態下で、どれくらいの効果を示すのかも注目されます。