<トランプが突然、FBIのコミー長官を解任し、ワシントンに衝撃が走った。コミーは、昨年の大統領選に対するロシアの関与とトランプ陣営の関係についての捜査を指揮していたからだ。FBIの独立が危うくなりかねず、ウォーターゲート事件当時のニクソンによる「虐殺」にもなぞらえられている>

ドナルド・トランプ大統領は5月9日、ジェームズ・コミーFBI長官を解任した。FBIは現在、2016年の大統領選挙を有利に運ぶべく、トランプと彼の側近たちがロシアの工作員と共謀したという疑惑をめぐって大規模な捜査を行っている。

「FBIは我が国で最も尊重されている機関のひとつだ。今日という日は、法執行機関の輝かしい業績の新たな始まりを告げる一日になるだろう」とトランプは声明で述べた。

同声明でトランプは、今回の決断はジェフ・セッションズ司法長官とロッド・ローゼンスタイン司法副長官の進言によるものだと述べた。セッションズに宛てた意見書のなかでローゼンスタインは、ヒラリー・クリントンが国務長官だったときに私用メールアドレスを公務に使っていた件に関し、刑事訴追せずに捜査を終了すべきだと記者会見を開いて発言したコミーの決断は、FBIに対する国民の信頼を傷つけたと述べた。

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「コミーはメディアに対し、個人的見解にしかすぎない主張を、裁判も経ず、あたかも事実であるかのように話した」とローゼンスタインは同意見書のなかで述べている。「連邦検事および捜査員がやってはならないことの教科書的な事例だ」

まるでニクソン「虐殺」の再現

大統領にはFBI長官を解任する権限があるが、その一方で今回の解任劇は、アメリカで最強の法執行機関の独立性に疑問を投げかける。FBIは現在、2016年の大統領選において、選挙運動にロシア政府が干渉したとする疑惑に関して広範な捜査を行っている。

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この捜査には、トランプの側近たちがロシア政府の工作員と共謀して、民主党およびクリントンの選挙参謀のコンピューターシステムから盗んだ文書や電子メールをリークしたのかどうかをめぐる調査も含まれている。

コミーに宛てた手紙のなかでトランプは、トランプが捜査対象ではないとコミーが3度にわたり断言したことに対して謝辞を述べた。「3件の別々の案件に関して、私が捜査対象ではないと知らせてくれたことには大いに感謝するが、貴殿にはFBIを率いる力が欠けているという司法省の判断には私も同意する」

トランプを批判する者たちはすぐさま、今回のコミーの解任を、司法省の歴史のなかでも最も暗い出来事のひとつになぞらえた。1973年、ニクソン大統領がウォーターゲート事件を調査していた特別検察官を解任し、司法長官と司法副長官に辞職を強要した「土曜日の夜の虐殺」だ。

イリアス・グロール