PM2.5の健康被害ビタミンB群が救う

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中国大陸からの黄砂の飛来が本格化し、PM2.5(微小粒子状物質)による健康被害が心配されている。世界保健機関(WHO)も2014年にPM2.5を中心とする大気汚染が直接の原因となり、心臓病や呼吸器疾患、がんなどで年間約700万人が早死にしていると発表した。

そんな中、米コロンビア大学公衆衛生大学院のチームが、ビタミンB群を摂取すれば、PM2.5の健康被害をかなりの割合で防ぐことができるという研究を科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」(電子版)の2017年4月3日号に発表した。ビタミンB群が大気汚染に効果があるという報告は初めてという。

体に与えるダメージが最大76%も減った

同誌の論文要旨によると、研究チームは思い切った「人体実験」を行なった。18〜60歳までの健康な10人を対象に、PM2.5がたっぷり入った空気を2回に分け2時間ずつ吸ってもらい、体に与える影響を調べるという方法だ。

(1)1回目の実験では、プラセボ薬(ニセ薬=ビタミンB群をが含まない)を4週間にわたり飲んでもらう。
(2)その後、大気汚染がひどいカナダ・トロント市中心部から採取した空気を、酸素マスクのようなフェイスマスクを使い2時間吸引し続ける。
(3)実験の前と後で、血液を採取するなどして心血管機能や免疫機能に与える影響を比較する。
(4)2回目の実験では、ビタミンB群が含まれるサプリを4週間にわたり飲んでもらった後、1回目と同様に汚染された大気を2時間吸引し続ける。
(5)実験の前後に心血管機能や免疫機能に与える影響を比較する。

この結果、ビタミンB群は、PM2.5が体に与えるダメージを28%から最大76%も減らすことがわかった。個々のデータを比較すると、たとえばこんな具合だ。

(1)心拍数が異常になるリスクを150%減らした。
(2)免疫系のリンパ球が減るリスクを139%少なくした。
(3)免疫系の白血球が減るリスクを106%少なくした。

ホウレンソウ、魚介類、レバーに多いビタミンB

実験の参加者が飲んだサプリには、葉酸(ビタミンB9)、ビタミンB6、ビタミンB12が含まれていた。葉酸は、造血作用やDNA形成など体の重要な働きに欠かせない栄養素だ。胎児の発育のため妊婦には必須といわれ、ホウレンソウ、ブロッコリー、菜の花などに多い。ビタミンB6は、アミノ酸を体内で作る働きがあり、免疫機能の維持に欠かせない。皮膚、髪、歯の成長を促進し、不足するとアレルギー症状を起こす。カツオ、マグロ、サンマ、牛レバーなどに多い。ビタミンB12は、葉酸と協力して造血作用を行なう。鶏レバー、カキ、サンマ、アサリなどに多い。

こうしたビタミンB群になぜ、PM2.5の健康被害を減らす効果があるのか。研究チームのアンドレア・バッカレリ教授はこうコメントしている。

「PM2.5を吸引すると、体にどんな悪影響を与えるか、メカニズムは明らかではありませんが、血液を通じて微小粒子が肺や心臓に入って炎症を起こし、細胞が変異し健康を損なうという報告があります。ビタミンB群が血液の免疫機能を高め、炎症を防いでいる可能性があります。特に大気汚染がひどい地域では、早急にビタミンB群を使った予防措置を導入する必要があるでしょう」