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早稲田大学(早大)は5月9日、ヒト由来の褐色脂肪細胞が熱を生み出して温度が変化する様子を光学顕微鏡で見ることができる技術を開発したと発表した。

同成果は、早稲田バイオサイエンスシンガポール研究所 新井敏講師、Hou Yanyan研究補助員、北口哲也准教授(論文投稿当時)、石渡信一名誉教授、鈴木団准教授(論文投稿当時)らの研究グループによるもので、5月3日付の英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

褐色脂肪細胞は、体内で積極的に熱産生を行っている細胞で、肥満の治療薬の標的として近年注目を集めている。褐色脂肪細胞で熱産生を促す治療薬を開発する際には、細胞が生み出す熱量を測ることが薬の効き目を判定する直接的で正確な方法であると考えられる。

しかしこれまでは、マイクロカロリメトリーという手法を用いて、多くの細胞の平均値としての熱産生量を算出するしか方法はなかった。さらに同手法は装置が特殊なうえ、実験室の厳密な密閉性などが求められることから、現在の生物学の研究室では、熱以外の変化量を細胞の熱産生の指標とみなして間接的に評価するのが主な方法となっている。

今回、同研究グループが開発した手法は、褐色脂肪細胞からの熱産生を、光学顕微鏡下で1細胞ごとに蛍光温度イメージングして検出するというもの。蛍光温度計「ERthermAC」を、マウス由来の細胞だけでなく、ヒト由来の細胞から分化誘導した褐色脂肪細胞に導入することで、光学顕微鏡で観察しながら、視野内にある多数の細胞が個別に熱産生して温度変化する様子をリアルタイムで見ることに成功している。

同研究グループによると、今回の方法では、何℃上がったのかという定量的な解析には限界があるというが、熱産生の有無を判定する定性的な検出には大きな威力を発揮するものであるとしている。

(周藤瞳美)