南キャン山里もアニサキスの被害に(2013年1月・J-CASTニュース編集部撮影)

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「アニサキス」という寄生虫をご存じだろうか。サバをはじめ、日本人が頻繁に食べる魚介類にその幼虫が寄生している。釣った魚をさばいたり、時にはスーパーで買ったパックの切り身にも見かけたりするほど「身近」だ。

体長2〜3センチの白っぽく細長い線虫で、ウネウネと動く姿は気味が悪い。誤って口に入れると、激しい腹痛に襲われる厄介者で、アニサキスによる食中毒の報告件数は年間100件を超えている。

日本の年間患者数は米国の100倍

厚生労働省のウェブサイトによると、過去3年間のアニサキスによる食中毒届出患者数は、2014年が79件、15年が133件、16年が126件となった。この2年間は、3ケタを数える。

月ごとに見ると、その年によって増減する時期が異なり、明確な傾向がつかみにくい。2016年の場合は5〜7月に患者数が多かった。

国立感染症研究所の2014年5月13日付報告では、アニサキスを原因とする「アニサキス症」は、「海産魚介類の生食を原因とする寄生虫症の中でも,我が国で最も多発するもの」と説明している。日本での発生件数が世界でも突出しているのだ。同研究所が約33万人の診療報酬明細書(レセプト)のデータを用いて試算したところ、2006〜11年の年平均で7147件と推計された。これに対して海外では、1960年にオランダで症例が確認されてから2005年までに、欧州で約500件、米国で約70件と、発生件数は日本と比べてはるかに少ない。

アニサキスの幼虫はサバ、イワシ、カツオ、サケ、イカ、サンマ、アジの内臓に寄生し、「宿主」の魚が死ぬと筋肉に移動する。「身」の部分にいるアニサキス幼虫に気づかず、生のまま、あるいは十分な加熱や冷凍をせずにこうした魚を食べると、一大事だ。食後数時間から十数時間後に、幼虫は胃壁や腸壁に潜入しようとして、のた打ち回るほどの激痛に襲われる。速やかに医療機関で手当てを受けるしかない。

60度で1分、70度以上の加熱で瞬時に死滅

近年増えているアニサキス症。芸能人も被害に遭っていた。

お笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山里亮太さん(40)は2017年1月10日、朝のテレビ番組出演後に猛烈な吐き気がしたため病院に直行、アニサキスによる胃腸炎と診断された。2日後には仕事に復帰したが、発症する前日に刺身をはじめ生の魚介類を相当食べていたという。

お笑いタレント、渡辺直美さん(29)は17年3月30日、体調不良で出演予定だったテレビ番組を欠席した。3日後の4月2日、ツイッターで「食中毒から復活いたしました」「皆様、アニサキスに注意です」と報告。痛みのあまり「病院で泣きました」と続けた。

アニサキスによる食中毒を避けるため、厚労省はウェブサイトで、「目視で確認!鮮度を徹底!加熱・冷凍で予防!」と呼びかけている。加熱する際は60度で1分、70度以上で瞬時に死滅する。冷凍の場合はマイナス20度で24時間以上なら感染性が失われる。また内臓を生で食べない、目視で幼虫を除去する、といった点も大切だ。