「Destiny」は自身のターニングポイントの一つになったと語ったシェネル

 今年デビュー10周年を迎えるシンガーのシェネル(Che’Nelle)が5月10日に、通算3枚目となるシングル「Destiny」をリリースした。オーストラリア出身で現在は米国LAに活動拠点を置く。日本では「ベイビー・アイラブユー」や映画『海猿』主題歌「ビリーヴ」などのヒット曲で知られる。シングルとしては「Happiness」以来約2年ぶりとなる今作は、藤原竜也主演のTBS系金曜ドラマ『リバース』の主題歌。彼女の新境地とも言えるシリアスなナンバーで、この10年で幾つか訪れたターニングポイントの「一つに数えられる」と語るほど彼女にとって重要な楽曲だ。ラブソング・プリンセスとも称される彼女にとって、ラブソングの存在意義とは。そして、運命を感じる瞬間とは。

音楽とはずっとバトルをし続けられる

シェネル「Destiny」

――LAに在住のシェネルさんですが、久しぶりの来日でしょうか?

 3月に東京に来まして、先週は大阪へも行ったんですよ。

――わりと頻繁に来られているんですね。

 ここ2年はリリースなどが無かったので来れていなかったんですけど、ここ10年で見るとよく来ていますね。

――その表立った活動がなかった2年間はどういったことを?

 凄くクリエイティブな期間で、新しい音作りをしていました。アメリカではインデペンデント・アーティストなので、その中でどうあるべきか、考えていました。

――居場所を模索していたわけですね。シェネルさんにとって音楽はどういった位置づけでしょうか。

 どの職業でもそうだと思うんですけど、良い所と悪い所がありますよね? 音楽は自分の大好きな事だからずっと続けていられるし、ずっとバトルをし続けられるそういう感じなんです。その中でも「自分でいる事」をとても大事にしています。そして「自分の欲しいもの」を明確にするようにしています。ここ10年を振り返ると、常に良い人達に囲まれていたからこそ今があるのだなと思います。

――人に恵まれた10年間だったんですね。

 ずっと全部ではないですけどね(笑)。結果的にみると、そうして「今がある」という感じかしら。

――デビュー10周年を迎えて今はどんな気持ちですか?

 この10年を振り返ると達成感でいっぱいですね。ある意味「10年間を終えた」という古いチャプターを閉じて、新しいチャプターを開いているという感じです。これまでの中でも大きなチャプターですね。だから今は凄くやる気に満ちあふれている状態で、過去を振り返りながら「今自分が何をしたいか」とか「何をやっていないか」という事を考えている状態です。

――この10年でターニングポイントはありましたか?

 振り返るといくつかターニングポイントがあったなと思う事があります。まずは、アメリカのキャピトル・レコード(Capitol Records)と契約していた時期があって、その契約が終わってしまった時です。それから、日本の音楽業界で仕事が出来るという扉が開いた時。後は、J-POPアルバムを作ろうという事になったその瞬間とか。まだ自分でやった事がないという意味では、リスクをとって新しい音楽にチャレンジしようと思った時。そして今回の「Destiny」というシングルも自分にとってはターニングポイントですね。

――今作はターニングポイントの一つとなる訳ですね。

 今アルバムを制作中なんですけど、そのアルバムは「日本サイドの自分」と「アメリカで作ってきた音楽」の両方をハイブリッドさせられるものなんです。そういう意味では、自分をこれから出せていけるというか、自分がもっとやっていきたい事に近づけて、それに対してレコード会社の人達もオープンでいてくれるので、ターニングポイントになってくると思うんです。

J-POPというのはディズニーランドのようなもの

シェネル

――「Destiny」を聴いて思いましたのが、シェネルさんにとってこの曲は新境地の作品だということです。

 そうですね。今作はドラマ『リバース』のテーマに合わせた楽曲でもあるので、“サスペンス”という事もあって、これまでとは違う響きになっていると思います。この曲は新しいアルバムに凄くフィットすると思います。ファンの皆さんにとっても、私の色々な側面が見られるので楽しみにして下さると嬉しいですね。

――ちなみに作曲は川口大輔さんですが、日本人が作り出す楽曲の魅力は何だと思いますか?

 私にとってJ-POPというのは、“ディズニーランドのようなものだな”と思うことがあるんです。J-POPは普通のバラードがあったり、クールな“J-FUNK”もあったり、EDMもあったりしますけど、恋愛の歌であれば“おとぎ話”のような想像上の恋愛という感覚があるんです。すごくファンタジックです。

――おとぎ話ですか。では、「Destiny」のデモを最初に聴いた時、どんな感触でしたか?

 凄くインスパイアを受ける1曲だと思いました。そして、リアルだなと思いました。ただの恋愛の曲というだけではなくて、これは人生や人々にフォーカスしている音楽なので、そういった点が今までと違うなと思いました。まず、この曲に出会うまでなのですが、ドラマに合う曲という事でデモが何曲も集まって、この曲に辿り着くのに時間がかかったんです。そして色んな方々の協力、コラボレーションがあってこの曲が完成しました。

――今作の作詞もされているプロデューサーの松尾潔さんとはお話をして擦り合わせしたり?

 “KC”(松尾潔)は凄く素晴らしい人で、LAでも会ったり、レコーディングで何度も意見を交換し合ったりしました。「ここのパートはこうした方がいいんじゃない?」という感じで一緒に作り上げたんです。

――そういえば、レコーディングされている映像の中で、ヘッドフォンの片側を耳から外して歌っているスタイルが見られましたが、いつもそうされているのでしょうか?

 片方の耳では録音された音、もう片方では今自分が歌っている声、という感じで聴いて、自分のピッチを確認しながらやっているんです。

――そのスタイルが歌いやすいのでしょうか?

 その時のエンジニアさんのセットアップ次第ですね。両方の耳にヘッドフォンを当てて歌ったりもします。シチュエーションによって変わるのでケースバイケースですね。

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