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東京工業大学(東工大)は9日、生命理工学院内に「島津製作所 精密機器分析室」(通称:アンテナショップ)を開設したことを発表した。

「島津製作所 精密機器分析室」は、島津製作所から寄贈されたライフサイエンス関連先端精密機器を中心として、先端的な機器を備えた施設。先端研究の推進をはじめ、若手研究者や学生などの研究支援、国際共同研究、企業との産学連携の推進に活用する。東工大において、学内に設置された最初の企業との連携による共用機器室になる。

同室の通称「アンテナショップ」という言葉は、企業や自治体が消費者とのタッチポイントとなることを主目的に設ける路面店とは定義が異なり、「企業の有する高度な設備やノウハウ等を活用し、東京工業大学における研究の高度化を図ることを目的として設ける共同利用の実験室」という定義がなされている。

具体的には、東工大内で設備共用を行うための仕組み「ライフサイエンス推進機器共同利用室」を構築。「島津製作所 精密機器分析室」のほか生体分子解析室、細胞解析室など合計9つの特性を持った分析室の中央に共用実験室を配置することで、企業と同大学の大学院生、短期外国人、技術職員などが、研究を通じて交流する役割を期待した構造となっている。

「島津製作所 精密機器分析室」に寄贈された装置は、血中の薬剤濃度測定など、複雑な試料に含まれる成分を解析できる「メタボロミクス解析システム(液体クロマトグラフ)」、微量のサンプルで核酸、タンパク質の定量が可能な「ライフサイエンス分光光度計」、DNA・RNAのサイズあるいは有無を迅速にチェックし、食中毒菌や感染症にかかわる病原体遺伝子の検出を行える「マイクロチップ電気泳動装置」の3件となっている。

このほかにも、東工大内ですでに保有していた装置を「島津製作所 精密機器分析室」に集約することで、研究者の利便のみならず、機器のメンテナンス効率を上げる狙いもあるという。一方、島津製作所側としては、製品開発におけるニーズ把握を見込む。島津製作所 常務執行役員 丸山秀三氏は、「ライフサイエンス分野の分析装置は技術進歩のスピードが速いため、社内研究のみで研究者のニーズに対応するのは難しい。産学官共同で大学研究の成果と装置を結びつけ、オープンイノベーションによる製品開発を行っていければ」と語った。

なお、「島津製作所 精密機器分析室」の開設を含む「ライフサイエンス推進機器共同利用室」の運営は平成29年度の文部科学省先端研究基盤共用促進事業(新たな共用システム導入支援プログラム)に採択されており、平成32年度まではこの事業から得た予算(2000万円)を用いて運営を行う。平成32年度以降は利用料などによる運営の自立化を想定しており、将来的には外部利用の対応を開始する可能性もあるという。

(杉浦志保)