野宮真貴、ヴァカンス渋谷系を歌う。ツアー東京公演レポート 5年目の最新“春夏コレクション”で魅せた、さらに進化する渋谷系女王の現在

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 “渋谷系の女王”野宮真貴によるツアー【野宮真貴、ヴァカンス渋谷系を歌う。】の最終公演が、5月6日にビルボードライブ東京にて開催された。

【野宮真貴、ヴァカンス渋谷系を歌う。】写真(全5枚)

 本公演は、2013年よりスタートし、今年で5年目を迎える「野宮真貴、渋谷系スタンダード化計画」の新たなシリーズ公演。ヴァカンスモードで彩る“渋谷系春夏コレクション”というコンセプトで行われ、秋冬公演で見せたシックな大人の女性のイメージから、軽やかで若々しい女性をイメージさせる、新たな野宮の魅力を感じた公演となった。

 ツアー初日の5月3日には、新作アルバム『野宮真貴、ヴァカンス渋谷系を歌う。〜Wonderful Summer〜』がリリース。“渋谷系とそのルーツの作家たち”による“夏のヴァカンスの名曲群”を《21世紀の新しいスタンダード・ナンバー》としてカバーした本作。ツアー名と作品名が連動しているだけに、公演では収録曲が披露されるとも予想されるが、野宮のステージの魅力は音楽だけではない。食事やドリンク、衣装、演出まで含む、総合的なエンターテイメントを楽しむことができる。そうしたステージを楽しみに足を運んだ“常連客”たちは、今回新たに開催される“春夏コレクション”が、どのような世界観になるのか、今か今かと待ちわびている様子だった。

 定刻になると、まずはバンド・メンバーが登場。スパム春日井 (パーカッション、キーボードなど)、真藤 敬利 (ピアノ)、石田 純 (ベース)、平里 修一 (ドラム)という例年通りの鉄壁の布陣がステージに現れ、ボサノヴァ調のリズムを奏でる。会場が陽気な雰囲気に包まれる中、極彩色のボーダーのワンピースに大きな麦わら帽子とサングラス、手には丸いトランク型のバッグを持った野宮が登場。ピチカート・ファイヴの夏の名曲「ロックンロール」でその幕が上がった。

 演奏後、前回2016年11月の『サントラ渋谷系』公演後に「夏の曲が聴いてみたい」「夏のファッションが見てみたい」といった要望がリスナーからあり、今回の公演が開催されたという経緯を野宮が告げると、いよいよ『ヴァカンス渋谷系』本編に突入。2曲目には、2017年3月に惜しまれて他界したムッシュことかまやつひろしが作曲したザ・スパイダースの「サマーガール」を、「スマートな生き方と音楽が好きだった」と、天国の彼に届けるかのように思いを馳せて歌唱した。

 その後、大滝詠一の一曲「真夏の昼の夢」(小西康陽アレンジ・バージョン)、“渋谷系”に多大な影響を与えた山下達郎が、竹内まりやに初めて書き下ろしたという「夏の恋人」と続く。伸びやかな野宮の歌声とコーラス、バンドの巧みな演奏に会場は酔いしれた。

 ここまでは新作アルバムの楽曲を中心に繰り広げられていたステージだったが、「ここからは夏のCM曲コーナー」と、夏に放送されたCMソングを歌唱するコーナーに突入。「夏の元気なご挨拶〜」という「日清サラダ油セット」や山下達郎作曲の「ハウスみぞれっこ&シャービック」、そして野宮が歌唱した「大塚食品・シャーベ」などを、豪華なバンド・セットで披露した。ピチカート・ファイヴに加入する以前は、自身も多くのCMソングを歌唱したという野宮。「花とゆめ」「ティモテ」といった自らが担当していたCMソングを軽く口ずさむと、会場からは「あ〜」「懐かしい」といった声が。「いつかCMソング集とか作れるかもしれませんね」と言う楽し気な姿に、野宮の成熟した女性のイメージとはまた違った、キュートな一面を垣間見た瞬間だった。

 そして、 毎年恒例のギャルソン、ヘアメイクの富沢ノボルとのトークが繰り広げられた後は、『ヴァカンス渋谷系』後編へ。松任谷由美が作曲した、松田聖子の「小麦色のマーメイド」、アン・ルイス「甘い予感」、また新作アルバムで渡辺満里奈とともにデュエットしている「大好きなシャツ」を、野宮のソロ・バージョンとして披露。往年のアイドル・ソングとともに透明感溢れる力強い歌声で、観客を引き込んでいく。会場のボルテージが上昇していく中、「V.A.C.A.T.I.O.N」では最高潮に。小西康陽作曲のビーチ・ボーイ風のサウンドに合わせて踊りながら歌う姿に、会場からは手拍子が巻き起こった。その後は、松本隆、細野晴臣という元はっぴいえんどチームが手掛けた「七夕の夜、君に逢いたい」、ライブ初披露となるロビン・ワードの「ワンダフル・サマー」(なんと小西康陽による日本語訳ヴァージョン!)と続けて披露し、熱気が冷めやらぬまま本編が終了。

 会場からのアンコールを求める拍手に答えて登場してきた野宮は、スパンコールをあしらったドレスで登場。夏のピチカート・ファイヴ・メドレーと題し、「nonstop to tokyo」から「東京は夜の七時」までノンストップで畳みかけ、会場のボルテージは再び最高潮へ。観客も立ち上がり、手を上げて踊り出すなど思い思いに身体を揺らし、大盛況のうちに幕を閉じた。

 春夏シーズンの新たな試みとして行われた『ヴァカンス渋谷系を歌う』。楽曲や歌声、バンド演奏だけでなく、演奏途中にマラカスや日傘、扇子を手に取ったりと、視覚でもヴァカンスを感じることができ、野宮の新たな魅力に溢れたステージとなった。“渋谷系女王”は、まだまだ進化を続けている。本公演では、秋のビルボードライブ公演の開催も発表。『ホリデイ渋谷系を歌う』と題して行われる公演でも、さらに進化した野宮真貴を見せてくれるに違いない。

 なお、新作アルバム『野宮真貴、ヴァカンス渋谷系を歌う。〜Wonderful Summer〜』の7インチ・アナログ盤が、8月30日にリリースされるが決定。4曲をセレクションした、2枚組のアナログ・エディションとなっている。


◎公演情報
【野宮真貴、ヴァカンス渋谷系を歌う。】
2017年5月6日(土) ※終了
ビルボードライブ東京

(セットリスト)
01. _ロックンロール
02. _サマーガール
03. _真夏の昼の夢
04. _夏の恋人
<夏のCMコーナー>
05. _小麦色のマーメイド
06. _甘い予感
07. _大好きなシャツ
08. _V.A.C.A.T.I.O.N
09. _七夕の夜、君に逢いたい
10. _ワンダフル・サマー
En. _ピチカート・ファイヴ・メドレー

◎リリース情報
7インチ・アナログ盤『野宮真貴、ヴァカンス渋谷系を歌う。』
2017/8/30 RELEASE
UIKY-9001/2 3,240円(tax in.)
収録曲目:
A面「大好きなシャツ(1990旅行大作戦) 」[Duet with 渡辺満里奈]
(作詞/作曲:DOUBLE KNOCKOUT CORPORATION)
B面「七夕の夜、君に逢いたい」 [feat. Smooth Ace]
(作詞:松本隆/作曲:細野晴臣)
C面「夏の恋人」 [feat. Smooth Ace]
(作詞/作曲:山下達郎)
D面「真夏の昼の夢」
(作詞/作曲:大瀧詠一)