受動喫煙法案厚労省案を自民党認めず 改めて考えたいタバコの害について

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2004年以降のオリンピック開催都市はすべて受動喫煙防止策を導入

2004年以降のオリンピック開催都市はすべて受動喫煙防止策を導入しています。
受動喫煙政策の普及状況を示した世界保健機関(WHO)の評価基準で、日本は現時点で4段階中の最低ランクに位置します。
受動喫煙防止のための法案成立のために、厚生労働省は受動喫煙防止対策の強化を推奨していますが、一部の政治家から厳しすぎると反対の意見もあります。
受動喫煙について考えてみましょう。


受動喫煙とは?

自分でタバコを吸うことを「能動喫煙」、タバコを吸わない人がタバコの煙の混ざった空気を吸ってしまうことを「受動喫煙」といいます。
受動喫煙の大きな問題に、「副流煙」を吸ってしまうことがあげられます。
副流煙とは、火のついたタバコの先からでる煙で、タバコのフィルターを通して吸った煙よりも、有毒物質は多くなります。
それならば、タバコを吸うことの方が良いのかというとそうではありません。
副流煙は室内に拡散されるため、体内に入る有害物質の絶対的な量はタバコを吸っている人の方が多いのは事実です。
しかし、問題なのは、タバコを吸っていない人が、受動喫煙によってタバコを吸っている人と同じような健康被害が生じるということが問題です。
カリフォルニア州環境保護局の2005年の報告では、受動喫煙でタバコを吸わない人の肺がんの危険が30%増えるとされています。
厚生労働省の研究(JPHC研究)で、毎年約4,000人の女性が受動喫煙により肺がんで死亡していることがわかっています。


なぜ、受動喫煙はダメなのか?

タバコの煙に含まれる微小粉塵、一酸化炭素、ニコチンなどが、肺の細胞を刺激し、肺がんを生じさせます。
また、それらの物質は、血管内の酸化ストレスや炎症という、動脈硬化を進める要因を増やします。
その結果として、狭心症、心筋梗塞、脳卒中が生じます。

大気汚染の指標としてPM2.5という言葉がよく新聞に出ていましたが、タバコの煙はまさにそのPM2.5なのです。
ですから、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)が増えるわけです。
2006年のアメリカ公衆衛生長官報告では、日常生活での受動喫煙により狭心症や心筋梗塞は、約30%増えるとされています。
さらに、受動喫煙により乳がん、脳卒中、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、COPDが、増えることが示唆されています。


受動喫煙による被害があった時の症状は?

受動喫煙の症状にはいくつかのレベルがあります。
タバコの煙を吸った時から、症状が出現したり、症状がひどくなる場合や、受動喫煙がなくなった時に症状が消失したり、改善したりする場合があります(受動喫煙レベル3)。
たとえば、めまい、吐き気、だるさ、眼の刺激症状、鼻炎、咳、 咽頭炎などがあげられます。
受動喫煙が繰り返されているうちに、受動喫煙をしていない場合でも症状が持続する場合があります(受動喫煙レベル4)。

たとえば、化学物質過敏症、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、COPD、糖尿病、メタボリック症候群、心房細動、心筋梗塞、脳梗塞、小児の肺炎・中耳炎・ 副鼻腔炎などがあげられます。
最後に、受動喫煙により命に係わるような状態や重篤な後遺症の残るような状態があります。
肺がん、乳がん、膀胱がんなどが挙げられます。
いずれにおいても、受動喫煙の程度と期間が重要になってきます。

特に、飲食店のような閉鎖空間であっては、分煙においてもPM2.5は健康被害をもたらすほど上昇します。
飲食店のお客さんだけではなく、従業員の健康を守るためにも、飲食店内禁煙は必要です。
世界の先進国の標準基準である完全飲食店内禁煙を、受動喫煙により被害を受けている患者さんを治療している循環器内科医の立場から熱望します。


【大西 勝也:内科医】


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