星野源の番組「おげんさん」、話題だけどもったいない面も… 

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 5月4日夜に放送された、星野源の音楽&トーク番組『おげんさんといっしょ』(NHK)の視聴率が、3.8%(関東地区)だったとのこと。

“ホシノミクス”なる新語も生まれた割には思ったほどヒットしなかったのかなと思っていたら、ネットではおおむね好評だった様子です。リアルタイムで視聴しながらツイートする人が続出だったようで、その数は“爆発的”だったそう。

 レギュラー化や再放送を求める声もあがっているようで、数字よりも根強く支持されたということなのでしょうか。

◆宣言したとおりのグダグダさ

 肝心の内容なのですが、これが放送前からの宣言通りユルユルのグダグダ。タイトルコールからズレたオープニングに始まり、司会進行なんてあってないようなもの。星野源は「ものすごくダラダラした、リハーサルみたいな音楽番組をやりたい」と語っていたそうですが、本当にその通りでした。

 こうした演出には賛否両論あったようで、“クシャミとか食べ物の動画は要らなかった”とか、“細野晴臣を呼んだのに放置して内輪ウケのトークばっかり”といった批判の声もいくらか聞こえてきました。

⇒【Twitter】はコチラ https://twitter.com/nhk_ogensan/status/860147140898676737 筆者はそこまで期待していたわけではないのでそんなに腹は立ちませんでしたが、ちょっともったいないなとは感じたのです。

 つまり、星野源ほどの実力者ならば音楽だけで勝負してもいけたのではないかと。芸達者でオモシロいキャラは十分に伝わっているのですから、むしろミュージシャンとしてのスゴさを際立たせた方が、彼をよく知らない視聴者には新鮮だったのではないでしょうか。

◆伝説の音楽番組『土曜ソリトン SIDE-B』

 そこで思い出すのが、1995年から1年間NHK教育テレビで放送されていた『土曜ソリトン SIDE-B』です。「ベステンダンク」や「Winter’s tale」(田島貴男とのデュエット)などのヒット曲で知られる高野寛と、女優の緒川たまきが司会を務め、数多くの大物ミュージシャンを招いてセッションを披露していました。

 中でも圧巻だったのが、坂本龍一のピアノと高野寛のエレキギターだけで演奏された「夢の中で会えるでしょう」。恐らくテレビ史上の五指に入る音楽の名シーンなのではないでしょうか。ストラトキャスターのクリーントーンを存分に活かしたカッティングを包み込む、雄大で甘いピアノのヴォイシング……。

 よく“音楽で対話をする”なんて言い方を気軽にしてしまいますが、そのためには途方もない修養を積まなければならないのだと思い知らされる共演でした。
(残念ながら坂本龍一との共演動画は載せられないので、高野寛ひとりのバージョンを載せておきます)

⇒【YouTube】はコチラ 夢の中で会えるでしょう (LIVE) : Meet you in my dream, tonight. https://youtu.be/TcTZeGCvI8w

http://youtu.be/TcTZeGCvI8w

◆もし『おげんさん〜』の第2回があるなら…

 でもやっぱり“エンターテイナーとしての源ちゃん”をメインに展開するのであれば、ロケ先で演奏するなんてどうでしょう。といっても、街歩きしながらギターで流しをやるより、もうちょっとオシャレでとぼけた感じが合いそうですから、沈む夕日を背にボートの上で「くだらないの中に」を歌ってみるとか。

 同じく“ホソノチルドレン”のマック・デマルコというシンガーソングライターがアメリカの公共ラジオの動画で、ボートに小型キーボードを持ち込んでユル〜い感じで歌っているのを思い出しました。

 初回の生放送、しかも手探り状態とあって、色々な意見が飛び交った『おげんさんといっしょ』ですが、まともな音楽演奏を楽しめる番組は年々減ってきているので、ぜひとも続いてほしい番組だと思いました。

<TEXT/音楽批評・石黒隆之>