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■どんなクルマ?

ユーロNCAP、4つ星を目指すというが……

今後3年間で、新型車に多額の投資をしようとしているサンヨンは、欧州での評価を徐々に上げているが、それはこのチボリに負うところが大きい。

チボリは小型SUV市場で、とにかく価格で勝負しようというクルマだ。2017年モデルでは、エントリー・グレードを除く全車で、レーンキープ・アシストやレーン逸脱警告、自動緊急ブレーキが標準装備化。

ユーロNCAPの星は、これまでよりひとつ多い4つを獲得できる、とサンヨンでは見込んでいるらしい。

ただし、このクラスならユーロNCAPの星は4つが当然というのが現状だ。価格の安さでは誰にも負けないこの韓国車に、ほかの魅力は果たしてあるのだろうか。

■どんな感じ?

許せる点は「安さだけ」

価格の割には魅力的かもしれないが、精密さや楽しさとは無縁、というのがチボリのこれまでの総評だ。今回、メカニズム的には何の手も入っていないので、そこの評価に変化はない。

最上位グレードのELXには、ナビゲーション・システムや前後駐車センサー、オート作動のライトとワイパーが備わり、それでも価格は競合車を下回るが、もちろん価格なりの部分は多い。

ダッシュボードは硬いプラスティックが剥き出しで、スイッチ類は安っぽく、インフォテイメント・システムの反応は遅い。

それらを許容できるとしたら、その理由は何度も言うが安さだけだ。そういえば、今回の改良でステアリング・コラムの調整が、チルトだけでなくテレスコピックも加わっている。

もうひとつ、評価すべき点を挙げるとしたら、室内の広さだろう。日産ジュークやシトロエンC4カクタスと競合するクラスとしては、キャビンのスペースは十分だし、荷室容量は最大級だ。ファミリーの日々の足としては、満足できるサイズだといえる。

とはいうものの、走りはからっきしだ。

「からっきし」の走りを検証

ライバルたちも決してその分野で高い水準にあるとはいえないが、チボリのステアリングは曖昧で、普通に走る分には落ち着いている乗り心地も、減速バンプなどを乗り越えようものなら衝撃がキャビンを貫く。

販売の大半はディーゼル車だが、今回はメーカーが販売費率の拡大を目論むガソリン車を試乗した。その思惑に乗ってもいいかと思っている寛容な読者もおいでかもしれないが、忠告しておきたい。

少なくとも来年に新たなエンジンがラインナップされるまでは、その寛容さを封印するべきだ。試乗車の1.6ℓユニットは、はっきり言っていいとこなし。

全域ひたすら盛り上がりがなく、どんなにスロットル・ペダルを踏み込もうが、加速に勢いというものが感じられることはない。

それでいて、燃費が特別優れているわけでもない。勢いということなら、同じ1.6ℓでもディーゼルなら幾分マシだ。とはいえ、そちらは室内へ盛大に流れ込んでくるノイズというおまけが付いてくるのだが。

6速MTは比較的滑らかで、ATよりこちらを選ぶべきだ。ATそのものはミニなども使うアイシンAW製だが、このクルマに載せると、いかにも活気のない走りしか生まないからである。

もっとも、このクルマのオーナーは、走り云々よりも広さや安さで購入を決めたのだろうが。

■「買い」か?

「買わない方がいい。きっと、後悔する」

バリュー・フォー・マネーだけで考えれば、競合車と張り合える安全装備を得たチボリは立派なものだといえる。広さも装備も満足できるレベルで、しかもクラス最安値と来れば、走りに高望みをする方が間違いというものだ。

さらに出費を抑えたいなら、ガソリン仕様を選ぶのが近道である。とはいえ、敢えてこのチボリを買うのを止めないとしても、せめて£1,000(15万円)上乗せしてディーゼル仕様にするよう、それだけはアドバイスせずにいられない。

その代わり、フル装備のELXを諦めて、中間グレードのEXを選べば、£1,400(21万円)の節約になる。それでも、競合車の最上級グレード並みに、左右独立調整式エアコンや7.0インチのタッチパネルを備えるインフォテイメント・システムは付いてくるのだ。

とにかく、現在のガソリン仕様だけは買わない方がいい。きっと、後悔する。
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サンヨン・チボリ 1.6 ELX

■価格 £16,800(247万円) 
■最高速度 171km/h 
■0-100km/h加速 12.7秒 
■燃費 15.6km/ℓ 
■CO2排出量 113g/km 
■乾燥重量 1270kg 
■エンジン 直列4気筒1597ccガソリン 
■最高出力 128ps/6000rpm 
■最大トルク 16.3kg-m/4600rpm 
■ギアボックス 6速マニュアル