フェイクニュース拡散にも活用されているというロシアのSNS

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「ロシアでLINEが使えなくなった」

 4日、LINEでこのようなメッセージをロシア人の知人から受け取りました。その後、この知人から電話がかかってきました。

「代わりにワッツアップを教えて欲しい」

 かなり焦っている様子。それもそのはず、著者がそうでしたが、もしLINEでしかつながっていない知人がいる場合、早く連絡しないと連絡手段が途絶えてしまうといったリスクがあったからです。

◆LINE使用規制後も、知人に連絡が取れる人がいた

 LINEは、なぜ規制されたのでしょうか。

 ロシアの法律では、ロシア市民の個人情報はロシア国内のサーバーにとどめる必要があります。当局が情報開示を求めた場合は、これに従う必要があります。LINEはこの法律に違反したと考えられています。

 スマホ回線からはLINEは使えなくなりました。しかし、一部のWi-Fi環境において、LINE規制後もLINEが継続して使えることができたと報道されています。

 上記で挙げた著者の知人がまさにこのケースです。IPアドレスを変える方法などが出回り、一定期間であればLINEが規制された後も、継続して使うやり方などもあったようです。

 こういった方法で知人にコンタクトを取れた人は良かったでしょうが、取れなかった人は、いろいろ大変だったかもしれません。なお、クリミア半島に住んでいるロシア人の知人からも同様のメッセージがきました。当然といえば当然ですが、ロシアに編入されたクリミア半島でもLINEは使えなくなっています。

◆リンクトイン規制から雲行きが怪しくなる

 ロシアのネット規制で特に注目が集まったのがリンクトイン規制。

 昨年11月の話ですが、ロシアはビジネス向けの交流サイト(SNS)であるリンクトインのサービスを遮断しました。この時の規制理由も、上記で挙げた法律と関連しています。

 ロシアでのリンクトイン規制の影響力は大きいものがありました。

 リンクトイン公式のデータでは、2016年5月時点でロシアでリンクトインに登録している人数は500万人超。当時のロイターの報道では、600万人超ともいわれていました。

 日本ではリンクトインはまだまだマイナーな存在。2016年5月時点で、公式では日本には100万人超のユーザーがいるとされていますから、ロシアの規模の大きさが分かるかと思います。

 そして、規制されたのはLINEだけではありません。

 LINE規制のニュースを報じたロシアの国営メディアRTは、LINEの他にも、ブラックベリー、Imoメッセンジャー、Vchatビデオサービスに規制がかけられたとしました。

 さらに、6日に分かったのは、ウィーチャットへの規制。ロシアではオンラインサービスプロバイダーはロシアにて適切に登録されなければならないものの、これがされていなかったというのが理由となっています。

 ウィーチャットは中国で最も人気があるメッセージングアプリ。

 2016年末時点で、全世界で8億8900万人もの利用者がいるとされています。

 ロシアでのウィーチャット利用者数は不明ですが、大量の中国人がロシアに在住していることを考えても、大変大きなダメージといえるでしょう。

 ウィーチャットを運営するテンセントは、ロシアでのウィーチャット規制に、大変残念だとコメント。当局としばらくの間、この件に関して話し合いを行っていたものの、解決には至らなかったとしています。

◆SNSをフェイクニュースに利用するロシア

 なお、フェイスブック、ツイッターやインスタグラムもそろそろ危ないのではという声がちらほら聞こえてきます。

 ただ著者は、これらのSNSは現時点で、ロシアにとって利用価値が高いと考えています。

 ロシアの情報戦は優れています。特に「偽ニュース」関連でこれらのSNSが活用されることが最近でもよくありました。情報戦で使えるのに、自ら遮断して孤立するようなことをするとは考えにくいと思います。

 ただ、今後はフェイクニュース対策も高度なものになり、規制も進んでいくことでしょう。もしこれらSNSの情報戦での利用価値が薄れてくるとすれば、その時はロシアで規制される可能性も高まるといえるでしょう。

<文/岡本泰輔>

【岡本泰輔】
マルチリンガル国際評論家、Lingo Style S.R.L.代表取締役、個人投資家。米国南カリフォルニア大学(USC)経済/数学学部卒業。ドイツ語を短期間で習得後、ドイツ大手ソフトウェア会社であるDATEVに入社。副CEOのアシスタント業務などを通じ、毎日、トップ営業としての努力など、経営者としての働き方を学ぶ。その後、アーンスト&ヤングにてファイナンシャルデューデリジェンス、M&A、企業価値評価等の業務に従事。日系企業のドイツ企業買収に主に関わる。短期間でルーマニア語を習得し、独立。語学コーチング、ルーマニアビジネスコンサルティング、海外向けブランディング、財務、デジタルマーケティング、ITアドバイスなど多方面で活動中。