中国エリート学生が日本企業に求める条件

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「破壊こそ、創造」──そんな刺激的なキャッチコピーで、日本のみならず、世界の学生たちに支持されているインターンシップがある。ワークスアプリケーションズが提供する、約20日間にわたるインターンシップだ。

実際のビジネスで起こりうる答えのない難解な課題を分析し、仮説を立て、それを実現する新製品を企画・開発するという実践的な内容が話題となり、毎回応募者が殺到。2016年夏のインターンシップでは、700人という参加枠に対し約1万人が応募した。

毎年、世界から選ばれし学生たちが切磋琢磨するインターン現場は、さながら戦場のような緊張感が漂う。ワークスアプリケーションズの狭き門をくぐることができた11人の中国人学生たちに話を聞いた。

「会社を選ぶ上で重要なことは、実用知識が得られる、そして、将来のキャリアパスへのビジョンが描きやすいかどうかです」(Xiao Lv, 北京大学 Electronics Engineering and Computer Science)

「企業の最大の財産は人材。だからこそ、働く人それぞれのポテンシャルを見出し、それを伸ばしてくれる企業、才能に見合ったポジションを与えてくれる会社を選びたい」(Yan Xie, 香港大学 Conputer Science Department)

中国の名門校から来た学生たちが求める企業像は非常に明確だ。自分自身の知識が活かせるか、また、それに対する正当な評価を得られるか。更に、自身を効率的に成長させてくれる企業かどうか、である。

終身雇用を前提とせず、中途市場の流動性が高い雇用慣行にして、かつ、政治的要因や社会的不安定さを感じながら生きてきた彼らにとって、自身に知識や技術、経験を付加しながら成長し続けることは、不安定な時代や環境の中においてもサバイブできる防護手段と考えるのは至極当然である。

しかし、これらの条件を満たしてくれる日本企業は彼らにとってほとんどないという。どんな条件があれば日本企業に入りたいと思うかという質問に対して、「まずは何より英語の環境」(Yang Tao,中国科学院大学 Computer Science)というように、言語の問題を指摘する学生が複数いた。また、他にも「外国人でも公平に評価、昇進させる仕組み」「硬直的組織の是正」「評価基準のわかりやすさ、透明性」「豊富な人材育成プログラム」などが挙がった。

そんな彼らの回答の中で、唯一全員一致したものがある。「世界の中で最も入りたい会社はどこか?」という問いに対する答えで、それは、他でもないIT業界の巨人「グーグル」だった。

今回、ワークスアプリケーションズのインターン会場での取材のため、学生のバックグランドのほとんどがコンピューター・サイエンスであったことも同一回答を引き出すことに繋がったのかもしれない。もちろん、インターン先であるワークスアプリケーションズの名前を上げている者も複数いた。しかし、それでもこのグーグルの名を出さなかった者は皆無である。

ご存知の通り、中国国内ではグーグルを使うことはできない。しかし、曰く「グーグルの技術や仕事環境のレベルの高さが世界一であることは、IT系の学生なら皆知っている」。そして、「この企業なら、自身たちの描く将来ビジョンをも叶えてくれそうだから」だという。

ワークスアプリケーションズの中国法人である上海万革始应用软件有限公司(ワークスチャイナ)の董事長で、現在、北京大学外国語学院特聘教授 兼 上海外国語大学日本文化経済学院特聘教授の五十木正氏はいう。

「中国のIT系の学生の学習レベルは極めて実践的です。彼らが所属する研究室から人工知能の特許申請が多数出されており、例えば北京大学からは最近10年間で442件にのぼります。ちなみに日立は420件、ソニーは387件、グーグルは979件。日本の大学はランキングにすら入ってきません」

このように日本と中国の大学における研究レベルの差は歴然としており、それが日本と中国の学生のレベルの差になるという。それはもちろん、企業の採用にも影響する。

「我が社は理工系の大学生を求めて採用活動していますが、人工知能の開発エンジニアを求めるので、結果的にコンピューター・サイエンスの学生が多くなり、更に中国やインド人など、優秀な人材は外国から見出すことが多いのも事実です」

「すべてを破壊し、過去にしろ」

ワークスアプリケーションズがインターン学生たちに伝えるメッセージのように、疑う者、破壊する者を採用する気概、そして、そんな彼らを評価する器が果たして日本企業にはあるのか。世界の優秀な学生たちは冷静な目で企業を選んでいる。