日本の報道の自由度は本当にそんなに低いのか?(写真はイメージ)


 国際NGOの「国境なき記者団」(本部・パリ)が発表した2017年度の「報道の自由度ランキング」で日本が世界で72位と極めて低い順位だったことが議論の的になっている。

 だが、日本のメディア研究を専門とする米国人学者によると、この日本の報道の自由度を判断する国境なき記者団の日本支部には、正規の「ジャーナリスト」と呼べるような日本人はほとんどいないという。日本の「報道の自由度」が本当に正しく判断されているかどうか、調査の信頼性が疑われる指摘だと言えよう。

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イタリアに抜かれてG7で最下位に

「国境なき記者団」は4月下旬、2017年度の世界各国の「報道の自由ランキング」を発表した。同発表によると、調査対象の180カ国・地域の中で日本は前年と同じ72位だった。主要国7カ国(G7)では、イタリア(52位)に抜かれて最下位となった。

 国境なき記者団は日本の順位が低い大きな要因として「安倍晋三からの脅威」を挙げている。つまり、日本で活動する内外のジャーナリストたちが「安倍政権の政府職員からの嫌がらせを受けている」というのだ。

 同調査における日本の順位は、2002年には世界で26位、2010年には11位と、かつては比較的上位にランクされていた。だが、安倍政権の登場以来、2013年が53位、2014年が59位、2015年が61位、2016年が72位と順位が下がり続けてきた。

 このランキングに対しては、日本が第三世界の独裁国家や共産主義国家よりも報道の自由度が低いとされるのはおかしいという指摘がある。また、「安倍政権からの圧力による降板」が噂されたテレビのニュースキャスター自身が、安倍政権からの報道への抑圧はなかったと証言したこともあり、国境なき記者団による“国際的”な判定はおかしいという声が広がっている。

「ジャーナリスト団体」とは呼べない

「国境なき記者団」によるこの報道自由度の判断は、各国の提携支部からの報告を基にしている。日本支部は、「日本フィクサー&ジャーナリストネットワーク」(JFJN)という組織である。JFJNが日本の報道の自由度について恒常的に調査し、その結果を「国境なき記者団」に送ってランキングとして集計される仕組みだという。

 ところが、日本研究のベテラン学者であるアール・キンモンス氏は、JFJNによる日本の報道の自由度の調査は客観性と信頼性が疑われるという。

 キンモンス氏は、米国ウィスコンシン大学で日本歴史研究の博士号を得て、欧米メディアの日本報道などについて長年、研究してきた。日本在住が長く、大正大学などの教授なども務めた。そのキンモンス氏によると、「JFJNには、現在、日本のメディアに所属し正規のジャーナリストとして活動する人物は見当たらない。外国の新聞、雑誌、テレビなどで定期的に活動するジャーナリストも見当たらない」という。

 つまり、JFJNは「ジャーナリスト団体」とは呼べない。キンモンス氏は、JFJNの判断には客観性が欠けるとして、「国境なき記者団」による日本の報道自由度のランキング自体に疑問を提起する。

JFJNのメンバーとは?

 JFJN自身は自らの組織を、ジャーナリズムやジャーナリストの団体ではなく、外国メディアによる日本関連の報道活動を補助する団体だとしている。

 JFJNのサイトには以下のような記述があった。

「『日本フィクサー&ジャーナリストネットワーク』は、海外メディアやフリーランスジャーナリストの日本での取材活動をサポートする団体です。フィクサーの多くは、ジャーナリストやフリーライターなどの取材経験者なので、取材者の視点でコーディネートすることが可能です。また、海外のジャーナリストたちと連携をして、日本のニュースを世界に発信するお手伝いをしています」

 つまり、メンバーたちには取材の経験があるという。ただし、そのサイトに掲載されたJFJNの9人の「ジャーナリスト」を見ると、代表の瀬川牧子氏を含めて日本人は3人だけである。2人はソウル在住の韓国人だ。

 かつて「産経新聞」記者、「ウォール・ストリート・ジャーナル」東京支局記者だったという瀬川氏は、反安倍政権の政治的スタンスが色濃い『週刊金曜日』にコラムを執筆し、「福島原発の報道は日本では抑圧され、事実の報道を載せるのは『週刊金曜日』ぐらいだ」といった偏向したコメントをしたことがある。

 こうした組織が日本支部となっている「国境なき記者団」の報道自由度の判定は、極めて政治性の強いプロパガンダの範疇として参考にすべきだろう。

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筆者:古森 義久