韓国大統領選を制した文在寅氏(Chung Sung-Jun/Getty Images)

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朴槿恵前大統領の罷免に伴う韓国大統領選は9日に即日開票され、革新系で国会に最大議席を持つ「共に民主党」の前代表・文在寅氏(64)の当選が10日の未明、確定した。韓国選挙管理委員会による正式結果の発表後、10日に正式に就任する見通し。

 韓国主要テレビ3局は同日、公開された出口調査と開票状況に基づき、40.1%の得票率に達した文氏の事実上当選を報道した。9年ぶりの革新政権への政権交代となり、朴前政権とは対日・対北政策で変化をもたらすとみられる。

 韓国憲法史上初の大統領罷免があってからわずか2カ月で実施された選挙で、不安な国政と分裂された国民をどうまとめるかにも、注目が集まる。

幅広い支持を受けて圧勝 有権者は腐敗の清算を期待

 文氏は保守性の強い南東部を除く全地域で2位候補と2倍近くの大差をつけた。専門家らは、文氏の勝利が大統領選挙構図を左右する中間層を「積幣清算」のもとで固め、進歩層を結集させた結果だと評価。KBSテレビで行った出口調査によると、「腐敗を清算できる候補に投票した」と答えた人が20.7%で、20代から50代までの有権者の主な理由として挙げられた。

 またチェ・スンシル国政介入事件に責任がある保守政党に背を向けたうえ、保守政党がまた「自由韓国党」と「正しい政党」に分裂したことも、文氏の勝利につながったと考えられる。

韓国大統領選挙は5月9日、投開票が行われた(Jean Chung/Getty Images)

米メディア、対北政策と米韓同盟の変化に注目

 米国の主要メディアらは韓国大統領選を緊急ニュースで報道し、対北政策と米韓同盟の変化の可能性に焦点を当てた。文在寅氏は北朝鮮問題において対話重視と南北経済協力の再開を唱え、強硬路線をとるトランプ米大統領とは意見差がある。また「THAAD(終末高高度防衛ミサイル)」の配備についても、文氏は国会で再論すべきだと主張。既存の米国の対北政策を揺るがしかねないとの懸念の声も出ている。

最初の課題は「社会統合」

 大統領罷免と早期の大統領選挙を通り抜ける過程で生じた理念・世代間の分裂は、パク政権を弾劾へ追い込んだ「ろうそく集会」と、保守政権維持を訴えた「太極旗集会」の対立に象徴され、ますます深刻化している。

 共に民主党は現在、議席120席を維持する与党だが、自由韓国党をはじめとする野党はまだ全体国会議席(300席)の過半数を占めていることを考えると、文在寅氏の本格稼動に先​​立ち、首相任命同意、政府組織法改正、国務委員の人事聴聞会などの過程で、かなりのけん制が行われるという見通しが多い。政界および各専門家らは、「与小野大(ねじれ国会)」のなかで改革立法や予算処理など国政運営の動力を確保しながら、社会統合が最優先だと指摘する。

安倍首相、北朝鮮問題を強調して「平和と繁栄に貢献」と協力呼びかけ

 文在寅氏が当選確実との一報を受けて、安倍晋三首相は9日夜、「戦略的利益を共有する最も重要な隣国。ともに仕事をしていくことを楽しみにしている」「文次期大統領と手を携えて未来志向の日韓関係を幅広い分野で発展させていきたい」とコメントを発表した。また、北朝鮮問題の対応をはじめ、日韓協力のもとで「東アジア地域の平和と繁栄に一層貢献できる」と呼びかけた。

 日本メディアは革新系の文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領の誕生で、対日政策にはより強硬になると報じている。前朴槿恵大統領と結んだ2015年末の日韓慰安婦合意は「無効」と主張し、再交渉を訴えてきた。ほかの歴史・領土問題における過去の日韓合意についても、再交渉要求などで厳しい態度に転じていくと見られている。

(翻訳編集・斎潤)