米上院司法委員会の公聴会で証言する連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官(2017年5月3日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】(更新、写真追加)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は9日、連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー(James Comey)長官(56)を電撃的に解任した。コミー氏は、昨年の大統領選の期間中、トランプ氏の側近らがロシアと共謀して投票結果に影響を及ぼそうとした疑惑の捜査を陣頭指揮してきた。今回の措置には野党・民主党だけでなく身内の共和党からも批判の声が上がっている。

 コミー氏の更迭はホワイトハウス(White House)が発表した。ショーン・スパイサー(Sean Spicer)大統領報道官は記者会見で、ジェフ・セッションズ(Jeff Sessions)司法長官とロッド・ローゼンスタイン(Rod Rosenstein)司法副長官の勧告を受け入れたと説明した。

 トランプ氏はコミー長官に宛てた書簡で「即時あなたの職を解く」と伝達した。ホワイトハウスは声明で、直ちに後任の人選に入るとしている。

 ローゼンスタイン副長官のメモによるとコミー氏解任の理由は、大統領選でトランプ氏と争った民主党のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏の私用メール問題の捜査を適切に処理できなかったこととされている。

 クリントン氏は2日、この問題の捜査再開をコミー氏が大統領選の投票日直前に公表したことが敗北の主な要因の一つになったと非難。コミー氏は翌日、上院司法委員会(Senate Judiciary Committee)の公聴会で証言し、自身が選挙結果を左右したと考えると「吐き気」がするとしつつも、捜査再開以外の行動は取れなかったと説明していた。

■与野党から批判

 いずれにせよ、捜査の不手際は解任の表向きの理由にすぎない。コミー氏の下でFBIは、ロシアがトランプ氏に有利な結果になるように大統領選に干渉したと結論づけていた。さらに民主党がロシアの干渉について独自調査も求める中、コミー氏の解任によって事実を隠そうとしているとの疑惑が持ち上がっている。

 民主党の上院トップ、チャック・シューマー(Chuck Schumer)院内総務は記者会見で、トランプ氏から電話で解任について伝えられた際、「あなたは大きな過ちを犯そうとしている」と警告したと明らかにした。

 与党・共和党からも異例の批判が出ている。上院情報特別委員会(Select Committee on Intelligence)の委員長を務めるリチャード・バー(Richard Burr)議員は「解任のタイミングと理由に困惑している」と発言。ジャスティン・アマッシュ(Justin Amash)下院議員もトランプ氏の書簡の一部は「不可解」だと指摘した。

 FBI長官の任期は10年で、コミー氏の就任は4年前。およそ100年に及ぶFBIの歴史で、任期途中で長官が解任された例はコミー氏以前では1度しかなかった。

 また、捨て身ともいえるトランプ政権による今回の解任劇に関しては、リチャード・ニクソン(Richard Nixon)大統領がウォーターゲート(Watergate)事件の特別検察官を解任した例と比較する声も上がっている。この解任は結果的にニクソン政権の崩壊を加速させた。
【翻訳編集】AFPBB News