激戦区のミドルクラスSUV市場はライバル多数

クロスオーバーSUVは、今もっとも熱いジャンルと言える。とくに新型XVが属するミドルサイズクラスは、車種が多彩なうえにそれぞれ高水準のパフォーマンスを持つ。そんなライバルに対してXVはどういった優位性を持つかを探っていこう


SUVをファッションととらえるユーザーが増え、それに呼応するかのように各メーカーからシティユースに特化したクロスオーバーSUVが次々にリリースされている。クロスオーバーSUVとは、文字どおり他ジャンルの特徴を融合させることで新たな価値をもたらしたクルマである。乗用車的な運転感覚や使い勝手のよさ、そして独特の個性がウケて、いまやSUVクラスの主流派となったわけだ。


とくに全長を4690mm以下としたモデルの人気は高い。国内ではXV(4465mm)を筆頭にトヨタC-HR(4360mm)、ホンダ・ヴェゼル(4295mm)、マツダCX-3(4275mm)が人気を博しており、そのほかにも三菱RVR、スズキ・エスクード、スズキSX4 Sクロスといったモデルが存在する。

輸入車に目を向けるとその数たるや国産を凌駕する。先頃新型が導入されたMINI ミニクロスオーバーをはじめ、BMW X1、VWゴルフオールトラック、アウディQ3など、その数は20台を超える。つまりXVが属するクラスは群雄割拠であり、なおかつ競合となるモデルは高水準の実力を持つ。しかもそれぞれに個性があり、かなり手強い。

そんなライバルに対し、XVがどういった優位性を持っているか。さまざまな角度から考察してみよう。


走りのメカニズムをライバルと比較する


クロスオーバーSUVの多くは2WDを設定していて、売れ筋グレードは2WD仕様に集中している。購入予算が抑えられることや、オフロードを走る機会がほとんどないといったことも2WD仕様が選ばれる最たる理由と言えるだろう。

XVは全グレードで駆動方式は4WD(スバル的にはAWD)となる。4WDというとオフロードを走破するための機能と思われがちだが、それだけに特化しているわけではない。駆動力を4つのタイヤに最適に伝達できるため、安定性が増すというメリットがあるのだ。足まわりの設定を引き締めずにすむので、質の高い乗り味を実現できるというわけだ。

こうした特徴を考慮すると、4WDのほうが走破性、安定性など走りにおけるメリットが多々あり、能力が高いというのは事実だ。しかし、2WDと比較すると価格が高くなるうえに車重が重くなるため燃費が悪化する可能性は否めない。これも同一車種で4WDと2WDがある場合、後者が選ばれる理由なのだ。

走行性能ライバル分析 vs トヨタC-HR

C-HRはあらゆる状況でドライバーが行なう操作に対する反応がよく、的確な応答性を発揮する。こうした乗り味は、新プラットフォームであるTNGAの持ち味のひとつである低重心が功を奏している。売れ筋となっているハイブリッドは、実用回転域の駆動力が高く、走りの洗練度でも1.2リッターターボを上まわる。30.2km/LというSUVクラスでトップレベルの燃費性能は、XVにとっては脅威だ。

しかし、ハイブリッドの駆動方式は前輪駆動しか選べない。TNGAの恩恵により操縦安定性は相応に高いものの、重心の低さと4WDシステム、そしてX-MODEがもたらすXVの卓越した走りには及ばない。

[XVの優位性]

SUBARU独創のシンメトリカルAWDがもたらす走りのよさは、新たなプラットフォームと組み合わされることさらに高い次元へと引き上げられた

走行性能ライバル分析◆vs ホンダ・ヴェゼル

ヴェゼルは車両重量がハイブリッドは1270kg、ガソリン仕様だと1180kg(ともにFF)とSUVにしては軽量な部類となる、そのため操舵感は機敏で、適度によく曲がり、緊急時に危険回避動作を行なっても後輪が踏ん張って不安定な挙動になりにくい。

スポーティな運転感覚を味わえるが、マイチェンで改善されたとはいえ乗り心地は硬め。フラットな路面はいいが、荒れた路面では突き上げが大きくなる。その点XVは4WDの駆動力で安定性を維持できるため足まわりを引き締める必要がない。よって操縦性と乗り心地のバランスがいいのだ。

[XVの優位性]

路面や走行状況に応じて前後輪に最適なトルクを配分するアクティブトルクスプリットAWDは、悪路だけでなく舗装路でも有効だ

走行性能ライバル分析 vs マツダCX-3

CX-3に搭載される1.5リッターのクリーンディーゼルターボは静粛性に優れ、高回転域の吹き上がりもじつに小気味いい。アクセルの踏み込み量が少なくても力強く加速するので、燃料消費量の抑制にも効果をもたらす。こうした特性がディーゼルエンジンの醍醐味と言える。

ただし、従来のディーゼルエンジンよりも振動や音といったディーゼルのクセを抑えたとはいえ、ガソリンエンジンに慣れたユーザーにとってはやはり気になる。しかも高回転域の吹き上がりが鈍い。軽快さや洗練度ではXVの水平対向エンジンにアドバンテージがある。

[XVの優位性]

新世代ボクサーエンジンは、出力性能と環境性能を備えている。熟成を究めたリニアトロニック(CVT)の効果も手伝って燃費性能も良好となる

走行性能ライバル分析ぁvs スズキSX4 S-CROSS

スズキのクロスオーバーSUVに採用される4WDシステムは、概ね電子制御化されておりドライバーが特別な操作をすることなく、4輪の駆動力が最適にコントロールされる。スズキ独自の「ALLGRIP」は、電子制御4WDシステムのほか、最適なトルク配分とハンドル操舵トルクアシストする車両運動協調制御システムも搭載されている。

さらに走行状況に応じて使い分け可能なモードの切り替え機能も備わる。制御そのものは緻密でドライバーに違和感は与えない。本格的にオフロード走行をするユーザーにとっては魅力的な機能と言える。

[XVの優位性]

X-MODEはエンジン、トランスミッション、AWD、VDCを統合制御し、あらゆる走行状況において常に安定した走りを実現するシステム

居住性や積載性など使い勝手をライバルと比較

SUVが支持されている理由に、実用性に長けた選択肢を求めるユーザーがSUVに殺到したことが挙げられる。たとえばワゴンは有効な選択肢が少ない。セダンはレジャーに使うにはやや不向き。ミニバンは実用的だがスタイルがオシャレではない。こうした市場の動向がSUV人気を後押ししている。

実用性以外にも注目すべき要素はある。とくに内装のデザインや作りはポイントのひとつ。XVは競合車と比較するとコンサバだが、個性よりも扱いやすさや質を重視したことがみて取れる。奇抜なデザインはインパクトがあるものの、長く乗るには不向き。その点でXVの質実剛健ぶりは好印象と言っていいだろう。

スイッチは迷わず使え、各種表示が見やすい。クルマは年々多機能化され、年配の方ではすべての機能を扱うことが難しくなっている。XVのベーシックなデザインはわかりやすく、便利な機能をしっかりと使いこなせるという歓びがある。

室内空間と使い勝手 ライバル分析

スバルXV

新プラットフォームが室内に広さをもたらす

クッション性が良好で微振動を効果的に吸収できる。適度なホールド性でロングドライブも快適だ


9.5インチのゴルフバッグを3つ収納できるなど、十分な容量を確保。開口部が広く使い勝手もいい


トヨタC-HR

スタイル重視のわりに使い勝手はまずまず


座面のパッド厚や硬さを最適化することで、座骨への圧力を分散するなど座り心地にこだわっている


スタイリッシュなフォルムとしているが、天井までの高さにも余裕がある。開口部はやや狭めとなる

ホンダ・ヴェゼル

ユーティリティ性能に長けた万能ぶりが光る


座面長を上級セダンと同等サイズとし、シートバックの角度を最適化。安定した着座姿勢が維持できる


センタータンクレイアウトによってスペース効率が高められている。多彩なアレンジが可能となる

マツダCX-3

利便性よりも上質さを重視して選ぶモデルだ


着座ポイントが高めに設定されているので、前方の見晴らしがよく閉塞感がない。上質な作りも特徴


後席乗車時のスペースは4車中もっとも狭い。4名乗車で人数分の荷物を積むのは難儀しそうだ

スバルXVは世界で闘えるクルマに仕上がっているか

今どきは輸入車がより身近な存在になりつつあり、新車購入時に国産車に対する比較対象となることも増えてきた。国産車が海外市場を意識したクルマ作りを行なっていることも両者の差を縮めた要因だ。

ただし、相変わらず価格では、同クラスといっても輸入車のほうが高めの設定となる。それゆえ国産車のコストパフォーマンスが際立つわけだが、それ以外の部分でも輸入車に対する優位性はしっかりと備えている。

XVの場合はどうか。まず内外装のクオリティは、輸入車と比較しても遜色のないレベルにある。開発コストを潤沢に投入できるわけではないだろうが、それでも質の高い素材を選び、巧みな作り込みによって上質さが表現されている。


走行性能も輸入クロスオーバーに対して比肩するレベルにある。とくに長らく磨き上げてきたSUBARU独自の4WD性能については、XVにとって大きなバリューとなっている。

オフロードはもちろん、舗装路での操縦安定性向上にも寄与し、なおかつ乗り心地の質も高い。輸入車でよく言われるボディの堅牢さも同等レベルにあり、これも走りのよさに好影響を及ぼしている。


ワールドワイドな視点で輸入車に勝っているポイント

XVはインプレッサなどと同じく、海外でも販売される。とくに欧州はクロスオーバーSUV全盛でライバルも多い。こうした海外のモデルに対してXVの優位性は、やはりシンメトリカルAWDによる卓越した走行性能となるだろう。とくにさまざまな路面状況への対応力はライバルを圧倒する。

【結論】スバルXVは国内はもとより輸入ライバル勢に対しても競争力は十分

SUBARUが長年に渡って培ってきたAWD技術によってもたらされる抜群の走破性。実用面においても日本人の厳しい要求に応えたきめ細かな作りが光る。こうした特徴からもSUVとしての能力の高さに疑いの余地はなく、国産はもとより、輸入クロスオーバーSUVに対しても十分な競争力を持つと言っていいだろう。

群雄割拠の様相を呈しているクロスオーバーSUVのなかでも確固たる地位を確立した、まさに買いの1台だと断言していい。