深夜営業カフェに集まったり、私物PCをネットワークにつなげずに書類作業のみをするなど、あの手この手で“隠れ残業”するサラリーマンが増えている。結局、物理的な残業時間削減では、何の解決にもならないのだ

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オフィスでの残業がNGなら
喫茶店で残業するサラリーマンたち

 本稿でも何度か取り上げているが、いま日本のビジネスで、最も大きな話題のひとつは「働き方改革」である。電通やヤマト運輸といった「一流企業」での過労が問題視され、政府主導で改革を進めている。

 働き方の問題は、政府のみならず民間でもおしなべて関心が高い。少子高齢化が進み、実労働人口が減っている中、人件費にお金をかけられない企業は、必然的に社員に対して、より高いパフォーマンスを求めるようになる。つまりこの問題は、今後もずっと続くのだ。その意味で、いまから問題解決に取り組むのは、企業の生き残りにとって重要だろう。

 筆者はこれまで200社以上の「働き方改革」の取り組みを調査してきたが、そこでわかったのは、ほとんどの企業がまず「物理的な残業時間削減」を行うことだ。具体的には、「ノー残業デー」を設けたり、残業時間を制限したり、社内強制消灯を行ったりする。

 これは、もし残業が企業文化や企業体質として染みついている「だけ」ならば、効果的な措置である。企業文化研究の第一人者であるエドガー・シャインは「企業文化が価値観に基づくものならば、まずは行動を変えることが重要。価値観の変化はそのあとについてくる」と主張している。

 この考えに従うならば、物理的に社員が残業をできないようにすれば、やがて残業体質はなくなり、労働状況は改善されるはずだ。

 だが残念ながら、現在の日本の企業では、ほとんどの場合、それでは状況が改善されない。コンサルティング会社ヒトラボジェイピーが行った調査の例を見てみよう。

 都内の某大手企業では、昨年から、午後9時以降の残業は禁止となり、社内は一斉消灯となっている。それが始まって間もなく、近所の24時間オープンしている喫茶店で、会議室の深夜時間帯の予約が満杯になった。オフィスが社内から喫茶店に移動しただけなのだ。その費用は社員が自腹で賄っている。今でも夜中の喫茶店の会議室は、その会社の社員でいっぱいだという。

 また別の企業では、各社員のPCのログイン時間をモニターしており、毎月、残業時間内のログイン時間の総計が一定を超えると、もうその人はログインできないようなシステムになっているそうだ。

 そうすると多くの社員は、PCを使わない書類仕事を残業時間帯に回すことから始めて、自前のPCを持ち込み、ネットワークに接続せずにできる仕事をやる、あげくにはグループでログインIDの総計持ち時間を共有し、まだ残業できるIDを使い回す事態まで生じているという。

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