光化門広場で国民向けメッセージを出し、勝利を宣言する文氏=9日、ソウル(聯合ニュース)

写真拡大

【ソウル聯合ニュース】9日に実施された韓国大統領選で進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)氏が勝利したことで、冷え込んでいる南北関係が進展するか注目される。

 2代続いた保守系政権で断絶した南北交流が、約9年ぶりとなる革新系政権の誕生により動き出す可能性が指摘されている。
 ◇人道支援や社会・文化交流 まず再開か
 文氏は先月発表した「朝鮮半島平和構想」で、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が推進した対北朝鮮包容(太陽)政策を「発展的に継承」し、北朝鮮の変化を戦略的に引き出すとの方針を明らかにした。
 北朝鮮の相次ぐミサイル発射などの挑発行為により悪化した対北朝鮮世論を考慮して、核・ミサイルの脅威とは無関係な人道支援からスタートするものと予想される。
 また、社会、文化、スポーツ交流の活性化を公約に掲げたことから、北朝鮮・開城にある高麗時代の王宮遺跡「満月台」の南北共同発掘調査事業、キョレマル(民族語)大辞典の共同編さん事業などの社会・文化交流の再開も見込まれる。
 ただ、政治色を帯びる交流事業まで推進するかどうかは不透明だ。南北民間レベルで推進される来月の南北首脳会談15周年の記念行事に対し、どのような対応をするかが今後の南北関係を占うものになるとみられる。
 文氏は南北基本協定締結も公約に掲げた。1991年に締結された南北基本合意書を状況の変化に合わせて修正・補完するのものだ。さらに、南北境界地域の共同管理を目指す「共同管理委員会」の設置も推進するとしている。
 ◇経済協力は核問題進展が前提
 中長期的に南北経済統合(単一市場)を経て漸進的に統一を推進するビジョンを掲げる。具体的には北朝鮮の核問題解決と並行して、三つの圏域で経済協力を推進する「朝鮮半島新経済ベルト」構想だ。
 だた、経済協力事業に関しては文氏も北朝鮮の核問題解決を前提とせざるを得ない。
 北朝鮮が昨年初めに4回目の核実験と弾道ミサイル発射を強行したことに対する制裁措置として、南北経済協力事業の開城工業団地の操業が全面中断された。2008年には北朝鮮兵により韓国人観光客が射殺された事件を受け、北朝鮮の金剛山観光事業も中断している。
 開城工業団地の北朝鮮労働者の賃金や観光収入などが核・ミサイル開発に流用されないとの保障がない状況で、核問題の進展がない限り事業の再開は容易ではない。
 文氏も先月の討論会で北朝鮮の核放棄の手続き開始が両事業再開の前提条件だとの考えを示している。
 ◇南北首脳会談にも言及
 核問題で進展がなければ南北関係の変化を期待するのは難しいことから、文氏が南北首脳会談で一気に勝負をかける可能性も取り沙汰される。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と直接会い、非核化への意思を引き出せるとの主張だ。
 文氏は金正恩氏について「好き嫌いは別として対話の相手として認めるべき」と述べ、首脳会談を推進する意思を示してきた。
 ただ、選挙戦を通じて南北首脳会談に対する立場を微妙に変化させている。昨年12月のインタビューでは「(当選すれば米国より)北に先に行く」と述べていたが、先月の米誌タイムとのインタビューでは「核問題解決に役立つなら金正恩氏に会う用意がある」とした。今月の米紙ワシントン・ポストのインタビューに対しては「核問題が解決できるとの前提が確実になったときに金正恩氏に会う」と述べた。
 核放棄までいかなくとも北朝鮮が核実験などの戦略的挑発を自制し、北朝鮮核問題を巡る6カ国協議が再開するなど状況が進展すれば、首脳会談を推進する可能性は十分にあるとの見方もある。
ikasumi@yna.co.kr