Doctors Me(ドクターズミー)- 成人の9割が感染!? 声優・松来未祐さんが闘病した「EBウイルス」

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2017年5月9日放送の『ザ!世界仰天ニュース』で、2015年10月に亡くなった人気声優・松来未祐さんを襲った「EBウイルス」について特集されました。

日本では3歳までに8割、成人では9割の方が「EBウイルス」に感染するといわれ、キスをすることで感染することから「キス病」とも呼ばれております。

今回はこのEBウイルスの「伝染性単核球症」と「慢性活動性EBウイルス感染症」について、詳しい症状・感染経路などを医師に解説していただきました。

EBウイルスとは?


ヘルペスウイルスの一種で、ヘルペスウイルスにはEBウイルス以外に、突発性発疹・水ぼうそう・帯状疱疹・口唇ヘルペス・性器ヘルペスなどを起こすウイルスやサイトメガロウイルスが含まれます。

日本では多くの人が3歳までに、感染者からの唾液などを介してEBウイルスに感染し、その際には無症状か風邪程度の軽い症状で、以後は一生涯体の中にウイルスを持ったまま過ごします。

伝染性単核球症


幼年期にEBウイルスに感染する機会がなかった人が、青年期以降にはじめてEBウイルスに感染すると、発熱・リンパ節の腫れ・のどや扁桃腺の腫れ・肝臓の腫れを起こします。これを伝染性単核球症と呼びます。

恋人ができるぐらいの年齢になって、キスをすることで感染者からウイルスを移されて発生することがあり、「kissing disease」とも呼ばれています。通常は1カ月程度で自然に治ります。

声優 松来未祐さんを襲った「慢性活動性EBウイルス感染症」


EBウイルスは体の免疫を担当しているリンパ球によく感染し、リンパ球の遺伝子を書き換えることで無限に増殖して死なない能力を与えてしまうことがあります。

すると、様々ながんやがんに似た病気を引き起こします。B細胞というリンパ球をがん化させるとバーキットリンパ腫・移植後リンパ増殖性疾患などを引き起こし、NK細胞やT細胞というリンパ球に感染することで鼻型節外性NK/Tリンパ腫や慢性活動性EBウイルス感染症が起こります。

EBウイルスは、一旦感染したあと、リンパ球の中でおとなしくしており、がんにつながることは稀なのですが、声優の松来未祐さんの死因となった慢性活動性EBウイルス感染症は、何らかの原因でEBウイルスがNK/Tリンパ球の中で活動性を持った状態です。

EBウイルス自体への感染は日本人の9割程度が経験していることですが、慢性活動性EBウイルス感染症は非常にまれな病気です。

EBウイルスの感染経路と潜伏期間


感染経路


唾液中にウイルスがいると言われており、伝染性単核球症ではキスで感染すると言われていますが、キスに限らず何らかの経路で感染者の唾液や血液が体内に入れば感染する可能性があります。

潜伏期間


一般的に3〜7週間程度と言われています。

EBウイルスの症状


伝染性単核球症


青年期以降にはじめて感染した伝染性単核球症の場合、発熱が5〜7日程度続き、肝臓や脾臓が腫れたり、リンパ節が腫れて痛みます。

慢性活動性EBウイルス感染症


伝染性単核球症に似た症状が長引くほか、蚊に刺されると皮膚がただれ、熱が出たり全身のリンパ節が腫れる「蚊アレルギー」と呼ばれる症状や、神経にも影響を及ぼし、意識障害やけいれんを起こすこともあります。

その他


EBウイルスがリンパ球の増殖のブレーキを外すことでがん化し、命に係わることもあります。

軽い症状の場合、体のだるさや微熱程度のこともあり、慢性疲労症候群と言われている患者の中には、慢性活動性EBウイルス感染症が含まれていると言われています。

EBウイルスの検査内容


伝染性単核球症


血液検査では、肝臓に関係する血液検査の数値が上昇します。血小板の数値が減少します。ウイルス感染に反応してできるIgM型の抗体が上昇します。血液中のリンパ球を顕微鏡で見ると、ウイルスを持った異常な形の細胞が観察できます。

慢性活動性EBウイルス感染症


血液中のEBウイルスのDNAを検出したり、骨髄検査を行う場合があります。

EBウイルスの治療


伝染性単核球症


解熱剤を内服する程度で症状が治まるのを待ちます。EBウイルスを殺す薬は存在しません。発熱が長引いたり、全身の衰弱が強い場合は、副腎皮質ステロイドホルモンや、献血の血液から作った抗体を含むガンマグロブリンを注射することがあります。

慢性活動性EBウイルス感染症


血液のもとになる造血幹細胞の移植(骨髄移植や臍帯血移植)、抗がん剤での治療が行われます。

EBウイルスは完治する?


一旦感染するとリンパ球の中に留まり続けるので、体の外に出すことは不可能です。

EBウイルス予防対策


ほとんどの人が一生に1度は感染するものであり、特別な予防を行う必要はありません。

しかし、何らかの理由で感染を避けたいのであれば、唾液を介して感染するため、食事の前の手洗いを行ったり、赤ちゃんが舐めるおもちゃを他人と共有しないことなどが考えられます。

EBウイルスは違う症状と診断されることも?

幼児期のEBウイルス感染


小児科や耳鼻科で「扁桃炎」「風邪」として治療されている場合が多いと思われます。

青年期の伝染性単核球症


内科や耳鼻科で、やはり「扁桃炎」「風邪」とされ、自然回復している例が多いと思われますが、発熱が長引くなどで採血をした場合、血液検査で肝臓系の数値の変化から伝染性単核球症と診断されていることもあるでしょう。

最後に医師から一言


慢性活動性EBウイルス感染症は非常にまれな病気ですが、診断された場合は血液内科で治療が行われます。

発熱が長引き、リンパ節が腫れるなど気になる症状が出た場合は、早めに病院を受診しましょう。

(監修:Doctors Me 医師)