最近の研究で解明されてきた、常在細菌叢の健康パワー。除菌や殺菌の前にまずは腸内の有用菌を増やすことが免疫力アップにもつながる。

有用菌がしっかり働いていれば病原菌は悪さができない

「菌は悪者!」と言われていたのは、一昔前の話。ゲノム研究の進歩によって、飛躍的に地位が向上したのが人に共生する常在細菌叢(マイクロバイオーム)です。
人ひとりの体には、全世界の人口よりも多くの常在細菌たちが共生しており、人は体がやるべき仕事の多くをその常在細菌達に外部委託していることがわかったのです。これらの有用菌が99%以上としたら、悪い働きをする病原菌は1%未満。有用菌がしっかり働いていれば、病原菌は悪さができません。これからは、除菌や殺菌の前に、まずは有用菌を増やすことを考えたいものです。

日本人が海藻のパワーを活用できるのは特殊な善玉菌のおかげ

特に重要なのは、食物の代謝を担う、腸内の常在細菌叢(腸内フローラ)です。
最近の研究で、日本人の90%は、世界的にも珍しい海藻のムコ多糖類(ヌルヌル成分)を分解できる菌種を保有していることがわかりました。海藻は、世界的に「ヘルシーフード」として認識されていますが、この恩恵を最も受けられるのは日本人だということです。海藻のムコ多糖類(水溶性食物繊維)がこれらの腸内細菌によって分解されると【短鎖脂肪酸】が腸内で発生します。これが、美と健康を高める成分です。短鎖脂肪酸は、ヤセ体質になれる秘密とも言われています。

脂肪細胞への脂肪の取り込みをブロックして、肥満を予防し、交感神経を刺激して代謝をアップします。また、腸内を弱酸性にし、酸性環境が苦手な悪玉菌の増殖を抑制し、有用菌(善玉菌)が暮らしやすい環境を作ります。

さらに、アレルギー体質の人にとっては特に重要なのが、腸上皮細胞のエネルギー源となり、腸のバリア機能を保つ働きです。腸管の中は、外界であり、外界から体内を守る壁となるのが腸上皮細胞です。腸の壁が壊れて食べ物の中の消化されないたんぱく質がそのまま血液中に取り込まれ、それを免疫細胞が発見して異物として認識して反応を起こす反応が、食物アレルギーの反応です。だから、腸のバリア=防御壁がしっかりしていることはとても大切です。さらに、過剰な免疫を抑える免疫細胞(制御性T細胞)を増やし、炎症を抑える働きもあります。

腸内の有用菌のエサは、日々の食事です。海藻だけでなく、水溶性食物繊維を含む野菜や果物などをたっぷり食べて、人の可愛いパートナーである有用菌を育てましょう。

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと