東京都島しょ部520社 地域(支庁)別

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 伊豆諸島、小笠原諸島など東京都の島しょ部(4支庁[2町7村])に本社を置く企業(以下、島しょ部企業)は520社だった。人口の約半数を占める大島支庁(伊豆大島、新島、神津島、利島)が274社(構成比52.6%)で、企業が集中している実態がわかった。
 産業別では、サービス業他(172社、構成比33.0%)と建設業(168社、同32.3%)が突出し、この2産業で全体の6割以上を占めた。サービス業他では、地域振興や観光関連の特定非営利活動法人(NPO)などの「政治・経済・文化団体」がトップの25社、旅館・ホテルなどの宿泊業は18社あった。港湾工事などの公共事業に依存し、観光資源が重要な経済基盤の島しょ部の特色を反映している。
 売上高が判明した328社のうち、売上高10億円以上は12社(構成比3.6%)で、1億円未満は178社(同54.2%)と半数を占めた。売上高トップ10社では7社が建設業で公共事業の底堅さをみせた。
 島しょ部の総人口は1995年の3万2,077人から2万6,491人(2015年)と20年で17.4%減少した。また「島しょ地域における観光ニーズに関する現況調査」((財)東京市町村自治調査会)によると、観光客数は全国的な離島ブームが巻き起こった1970年代前後と比較して半分以下の水準に減少している。これまで距離的に離れ、注目されにくい島しょ部では新たな起業も少なかったが、最近は豊かな観光資源が見直され、業歴5年未満の新設企業が1割を占めた。訪日外国人数も好調に増加しており、官民一体の観光資源の売り出し方次第では公共工事に依存した旧来型の経済構造から一気に変容する可能性も秘めている。


  • 本調査はTSR企業データベース(309万社)から、東京都の島しょ部地域(大島支庁、三宅支庁、八丈支庁、小笠原支庁の2町7村)に本社を置く520社を抽出し、分析した。

サービス業他・建設で6割

 島しょ部企業520社の産業別では、サービス業他が172社(構成比33.0%)で最多。僅差で建設業168社(同32.3%)が続く。3位の小売業63社(同12.1%)まで含めると上位3産業で全体の約8割(同77.5%)を占めた。
 業種別では、上位3業種までを建設関連が占めた。以下、ガソリンスタンドや土産物販売などの「その他の小売業」26社、地域や経済活性化などを目的とした特定非営利活動法人が中心の「政治・経済・文化団体」25社、介護サービスなどの「社会保険・社会福祉・介護事業者」24社と続く。
 このほか観光業の中核となる旅館・ホテルなどの宿泊業18社、農・漁業協同組合など「協同組合」17社などが上位に入り、建設業を筆頭に観光業と漁・農業中心の「島経済」の実態を色濃く反映している。

売上高別1億円未満が半数 上位は建設業

 島しょ部企業520社のうち、売上高が判明した328社の売上高別分布では、1億円未満が178社(構成比54.2%)と最多で半数を占めた。以下、1億円以上5億円未満118社(同35.9%)、5億円以上10億円未満20社(同6.0%)と続き、小規模企業を中心にしている。
 売上高トップは、三宅島建設工業(株)(三宅村)で、売上高35億3,200万円。以下、山田建設(株)(大島町、売上高29億8,900万円)、村松興業(株)(大島町、同27億3,300万円)など建設業者が続く。トップ10社のうち、建設業が7社と圧倒的で、このほか信用組合、農業協同組合、スーパー経営会社が各1社だった。

個人企業を含め資本金1千万円未満が6割

 島しょ部企業520社の資本金別では、1百万円以上1千万円未満が197社(構成比37.8%)で最多。次いで、1千万円以上5千万円未満が166社(同31.9%)、個人企業他が120社(同23.0%)の順。
 個人企業を含む資本金1千万円未満は340社(同65.3%)に達し、半数以上が小・零細規模だった。

業歴100年超の長寿企業6社 5年未満の新設法人68社

 業歴別では、10年以上50年未満が257社(構成比49.4%)で最多だった。以下、50年以上100年未満123社(同23.6%)、5年未満68社(同13.0%)と続く。
 業歴100年以上の企業は6社(同1.1%)存在する。最も業歴が長いのは1894年(明治27年)創業の神津島酒造(株)(神津島村)で、麦焼酎「盛若」など地元の酒造メーカーとして高い知名度を誇る。
 一方、業歴5年未満の新設法人(2013年1月〜2016年12月設立)も68社(同13.0%)と約1割を占めた。産業別内訳は、サービス業他が37社と最も多く、建設業は2社にとどまった。業種別では観光地の宿泊、飲食業のほか、特産品を活かした農園などもあり、建設業中心の経済基盤から脱却の動きが注目される。


 東京都の島しょ部企業520社の3割は建設業者で、売上上位も建設業者が並ぶなど、建設業が地元経済を牽引する姿が浮かび上がる。交通アクセスや市場規模などビジネスの観点から島しょ部は不利な条件が多く、公共工事に依存せざるをえない環境の裏返しともいえる。ただ一方で、最近の新設法人には観光資源や地元の特産物に着目して起業するケースも増え始め、新たな動きもみられる。
 東京都の2017年度予算では「島しょにおける個性と魅力あふれる地域づくり」として前年度比で18.9%増の270億円が計上された。誘客促進事業として共通旅行券の発行や、観光プロジェクトの展開など、島しょ部振興への投資も注目される。
 2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、「東京の魅力」を世界に広げるチャンスでもある。世界遺産の小笠原諸島をはじめ、東京都の島しょ部には世界に誇れる観光資源が数多く存在する。国内観光客へのアピールは当然として、モノ消費からコト消費に移行しているインバウンド需要をいかに取り込むか、島しょ部の発展にとって大きなポイントになるだろう。