前節を終えて4位の東京ヴェルディが、勝ち点2差で首位に立つ横浜FCをホームに迎えたJ2序盤戦の大一番。ヴェルディが勝てば、首位入れ替わりもあった第12節の首位攻防戦は、1-1の引き分けに終わった。

 どちらの得点もセットプレーによるもので、流れの中からゴールが生まれることはなかったが、さすがは上位同士の直接対決。J2とはいえ、互いにレベルの高い攻守を繰り広げ、非常に見応えある一戦となった。


東京ヴェルディと横浜FCの一戦は首位攻防戦らしい試合だった 90分を通じて概ね主導権を握っていたのは、追いかける立場のヴェルディである。

 試合開始早々の7分、MF安在和樹の左足から放たれた強烈なFKをGKが弾いたところを、FW高木大輔が抜け目なくつめて早くも先制。その後もショートパスをテンポよくつなぎながら、じわじわと敵陣に攻め入ると、最後は機動力のある3トップ、FW高木善朗、梶川諒太、高木大が流動的にポジションを動かしながら、フィニッシュまで持ち込んだ。

 30分に同点に追いつかれはしたものの、主導権を手放すことはなく、後半に入ると、ヴェルディ優勢の流れはさらに加速した。

 結果的に勝ち越し点を奪うことができないまま、試合終了の笛を聞くことにはなったが、ヴェルディのロティーナ監督は「勝ち点1しか取れなかったが、チームのプレー内容には満足している」と語り、首位チームを相手に攻勢に試合を進めた選手たちを称えていた。

 一時は首位に立つなど、シーズン開幕当初から好調を維持するヴェルディが、今季J1昇格の有力候補であることを、改めて証明した一戦だったのではないだろうか。

 だがその一方で、首位の横浜FCからも、また別の種類の強さ――ヴェルディが若さゆえの活きのよさを感じさせる強さだとすれば、横浜FCは貫録のある、どっしりと落ち着いた強さとでも言おうか――が感じられたことも確かである。

 横浜FCは前節、愛媛FCを相手に4-0と快勝した。自在にボールを動かし、面白いように得点を重ねた試合は、それはそれで強さを感じさせるものだった。

 だが、このヴェルディ戦では一転、守勢に回る時間が長くなった。特に後半、ヴェルディのサイド攻撃にさらされ続けることになったDF小宮山尊信は言う。

「(ボールを)回されていることに対して、『最後のところでは崩されているわけではない』とポジティブに考えられず、心理的に後手になるところがあった。そこが(守備から)攻撃へ転じづらくなったひとつの理由だと思う」

 後半は守備一辺倒になることの多かった横浜FCだが、それでも87分にはカウンターから、途中出場のFW大久保哲哉がゴールポストを叩く際どいシュートを放っている。敵将も「我々はより長くボールをキープでき、より多くのチャンスを作ったが、相手もカウンターでチャンスを作った。あれを決められていたら負けていたかもしれない」と、肝を冷やした一撃である。

 同点に追いついた前半のゴールにしても、点の取り方に余裕が感じられた。数少ないFKのチャンスに、巨漢のFWイバがゴール前で楽々と競り勝つと、ヘディングしたボールがポストに当たり、そのはね返りをMF佐藤謙介が悠々と押し込んだ。

 前線に絶対的な武器を備え、決して出来のよくない試合内容でも少ないチャンスを確実にものにする。その気になればいつでも点は取れる、は大袈裟すぎる表現だとしても、だからこそ、少々追い込まれても、落ち着いて試合を進めることができる。

 横浜FCの中田仁司監督が「最低条件の勝ち点1を取れた」と評した一戦は、ある意味で横浜FCが「強者の戦い」で勝ち点1を強奪した試合だったと言ってもいい。

 現在8ゴールでJ2得点ランクのトップに立つイバは、同点ゴールの場面を振り返り、「ヘディングしただけで、その後どうなったのかはわからない。気がついたら謙介が決めていた」と笑い、堂々とこう言い放つ。

「相手が(自分を研究して)どうやってこようとも、チャンスは来る。その少ないチャンスを決めればいい。それだけのこと。自信はある」

 4月29日から5月7日までの間、ゴールデンウィークだったことで、Jリーグはその間、特別日程で試合が組まれていた。横浜FCは中3日での3連戦。さすがの怪物イバも「とても疲れていたので、タフな試合だった」と苦笑いを浮かべるほどだ。

 だが、そんな過密日程の3連戦も、第9節から続いた連勝こそ3でストップしたが、2勝1分けで乗り切った。最終ラインで横浜FCの堅守を支えるDFカルフィン・ヨンアピンは、劣勢のなかでの引き分けという結果に「満足しなければいけないだろう」と穏やかな表情で語り、こう続ける。

「今日、これ以上のプレーをすることは難しかった。この試合が1週間(9日間)で3試合目。1試合目ならもっとできたかもしれないが、みんな疲れていて、今日のサッカーはいつもの横浜FCのレベルではなかった」

 幸いにして、2位の湘南ベルマーレ、3位の名古屋グランパスもそろって引き分けに終わったため、横浜FCは首位を守った。ヨンアピンは疲労と安堵とを少しずつにじませながらも、笑顔で言う。

「いつものようなサッカーはできなかったけれど、それでも横浜FCはまだトップにいる。ハッピーなことだ」

 勝ち点3は取れなかった。だが、首位・横浜FCは勝てなかった試合のなかでも、確かな強さを感じさせた。

 大きな意味のある勝ち点1、である。

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