今年最後の週次報告…熱中症による搬送者数は1週間で236人(2017年9月25日-10月1日)(最新)
総務省消防庁は2017年10月3日、同年9月25日から10月1日の一週間における熱中症搬送人数が236人(速報値)であることを発表した。今年分は5月1日から熱中症による搬送人数の調査を始めており、消防庁が掌握している累計人数は5万2887人(速報値)となっている。初診時に熱中症を起因とする死亡者は幸いにも居なかったが、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は5人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値(一部確定値)・2017年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2017年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2017年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2017年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2017年)

今夏の電力事情に関して政府による決定前の専門委員会決定を元に精査した記事【今年の夏も電力利用制限の要請はない、とのことだけど】などで解説の通り、今年の夏も法的拘束力のある電力使用制限令、または数字目標のある節電要請、さらに数字目標無しの節電要請ですら必要はないとの報告が当委員会の公開報告書でなされている。そして2017年5月12日付で【「2017年度夏季の電力需給対策について」】が発表され、委員会の報告書通り今夏においては節電に関する特別な令、要請の類は行われないこととなった。もっとも「大規模な電源脱落や想定外の気温の上昇による需要増に伴う供給力不足のリスクがあることに十分留意が必要な状況」との解説にもある通り、震災から6年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

また気象庁が発表している(当時の)3か月予報では、全国的に高めの気温となる可能性が高いとの話が出ていた。降水量は東日本・西日本ではやや多いともあるが、熱中症リスクに関して警戒をしなければならないことに変わりは無い。さらにここ数年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認されている。

今回計測週は暦の上ではすでに秋分の日も過ぎ、すっかり秋の体感ができるニュースをあちこちで見聞きし、また体感できる日々となった。大阪など一部地域では真夏日(日中最高気温30度以上)を観測し、残暑の気概を覚える機会もあったものの、大よそ良い天候の中で気温もそこそこな、過ごしやすい日々が続いた。もっとも週末にかけて関東などでは前線や低気圧の通過に伴い天候が不安定となり、激しい雨に見舞われることもあった。


↑ 関東地方では大雨も。関東で大雨・・・午後も断続的に 土砂災害などに警戒(17/09/28)

昨今気象に係わるニュースで度々登場したエルニーニョ現象(発生すると気温が低く、雨量が一部地域で多くなる)だが、直近の気象庁の監視速報【エルニーニョ監視速報No.300(2017年8月) 】によれば、「エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続いている」「秋または冬にラニーニャ現象が発生する可能性もある(40%)が、平常の状態が続く可能性の方がより高い(60%)」とのこと。現状では熱中症搬送者計測期間(9月いっぱいまで)の気候に影響する可能性はほぼなさそうではある。

なお9月に入ってから少年区分の搬送者比率が有意に増えているが、これは二学期が始まって小中高校生が学校に登校するようになったのが原因。体育祭(の練習中)に熱中症を発症するなど、学校行事の最中によるところが大きい。

今年に限らず毎年9月に入ると夏休みを終えた小中高校生らによる運動会や体育祭、部活動の最中における熱中症発症が多発する傾向がある。集団行動で身体の不調を訴えにくいとの理由もあろうが、当人だけでなく見守る大人たちも十分以上の留意が必要だ。

地域別では沖縄県の23人をはじめ、愛知県の20人、大阪府の17人などが続く。全体数が少なくなってきたこともあり、特定の事案で多数の搬送者が計上されると、それのみで該当地域が上位についてしまうケースが増えている。もっとも沖縄県の場合、今回週では他地域と比べて残暑が厳しかったのが主要因ではある。

↑ 東京都の最高気温と天候(2017年9月25日-10月1日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2017年9月25日-10月1日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2017年9月25日-10月1日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2017年9月25日-10月1日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2017年9月25日-10月1日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2017年9月25日-10月1日)(搬送人数上位都道府県、人)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、4月20日から開始している(昨年は4月25日から)。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用、従来型携帯電話用にも提供されていた(【環境省熱中症予防情報サイト】、【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】、【環境省熱中症予防情報サイト(従来型携帯電話用)】)。これらの情報提供は9月29日で終了したが、来年は4月から再開予定とのこと。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)
↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)

電力需給の観点では電力使用に関する制限の類が成されなくなったのは幸いだが、電力需給に関する警戒心は今なお有しておく必要があることに違いは無い。また電気代の生活費への負担懸念から、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる(【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】や【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話もあり、高齢者のエアコン忌避は単に節約心によるものだけとは限らない)。

すでに10月に入り、秋の気配を楽しむ時期となった。熱中症のことなど過去のものだとの認識もされつつあるが、自分自身だけでなく周囲の人も合わせ、油断は禁物。特に前述の通り、子供の集団行事では大人たちによる、子供に無理をさせない姿勢と十分な注意が欠かせない。引き続き知識、ノウハウを再確認し、自身の体力を過信することなく、さらには周囲への配慮も怠りなく、熱中症への備えを心掛けてほしいものだ。