イライラするのは「更年期」、それとも?

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【健康カプセル ゲンキの時間】(TBS系)2017年5月7日放送
「ホルモン」の乱れが引き起こす男女の更年期障害

いまや、更年期障害は女性だけの悩みではなくなった。最近は男性にも更年期障害があることがわかってきた。しかも男性の場合、骨折という思わぬ災難を引き起こすことがある。

一方、女性にも更年期障害によく似た症状の恐ろしい病気が、ちょうど更年期の前後に起こる。放っておくと死に至るという。いずれもホルモンの乱れから起こる男女の「中高年の危機」を紹介する。

女性が一生で分泌する女性ホルモンの驚きの量

番組のゲストは最近、「更年期障害」を自分のブログで公開して話題になったタレントの松居直美(49歳)。さっそくMCの三宅裕司が突っ込みを入れる。

三宅「こちら更年期障害タレントの松居さんです。もう、更年期真っ盛りの方。どうですか、更年期になって変わったこと、ありますか?」
松居「(苦笑しながら)3年前から急に体が冷えて。子どもとの関係も離れていきました。日記を読み返してみたら、泣いてばかりです」
MCの渡辺満里奈「え〜、そうなんですか。私、まだですが...」

女性の更年期障害は、50歳前後に女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が急に減ることによって起こる。ここで、番組リポーターのお笑い芸人・深沢邦之がクイズを出した。それほど女性にとって大切な女性ホルモンは、一生のうち、どのくらいの量が体から分泌されるのか。

A:浴槽1杯分。
B:コップ1杯分。
C:スプーン1杯分。

答えは、何とCのスプーン1杯分。超、超、超微量なのだ。誰も当たらなかった。女性クリニック「LUNA」グループ理事長の関口由紀医師が、女性ホルモンが少なくなると、なぜ更年期障害が起こるのか、メカニズムを説明した。

関口医師「エストロゲンは、妊娠や出産にかかわり、女性らしい体を作ったり、美肌にも影響を与えたりするので、美肌ホルモンとも呼ばれます。50歳くらいになると、エストロゲンの分泌量が急に低下します。脳の視床下部がエストロゲンを増やすよう卵巣に指令を出します。しかし、卵巣が閉経によって機能しなくなり、エストロゲンを作れないため、命令を無視された視床下部は混乱して暴走し始めます。すると、視床下部がかかわっている自律神経が働かなくなり、心と体のバランスが崩れて、さまざまな障害が起こるのです」

めまい、汗、睡眠不足、疲れ、ほてり(フラッシュバック)、うつ症状......。更年期特有の症状だ。

「寝る前のヨガ」が更年期障害をやわらげる

深沢「しかし、更年期になっても全く症状が出ない人がいますね。症状の軽い人と重い人の違いはどこにあるのですか?」
関口医師「まず、性格や環境の問題があります。明るく前向きな人は、ストレスをためないので症状が軽くすみます。几帳面で繊細な人は症状が出やすいですが、性格は変えられませんので、何か趣味など熱中できるものを見つけるといいでしょう。旦那さんが転職したとか介護中とかいう人は、ストレスがたまり、重くなりやすいです。また、体の面では、月経前症候群が非常に強く、生理前になると頭が痛くなるような人は、症状が強くなりがちですから、注意しましょう」
深沢「つらい症状が起こった時に、やわらげる方法はありませんか?」
関口医師は「最近、ヨガが更年期障害の改善にとても効果があることがわかっています。寝る前に行なうと、リラックスしてよく眠れるようになり、自律神経が改善します」と語り、就寝前の10分間ヨガをすることを勧めた。

次の6つのポーズを行なうとよい。

(1)英雄のポーズ:両手を合わせ天に向かって垂直に立てる。
(2)鶴のポーズ:腰を90度前方に折り曲げ、鶴が羽ばたいているように両手を背中側に立てる。
(3)子どものポーズ:土下座する姿勢のまま、両手を思いっきり前に伸ばす。
(4)バッタのポーズ:腹ばいになり、右手と左足、左手と右足を交互にあげる。
(5)死者のポーズ:死んだ人のように両手両足を脱力して仰向けに寝る。
(6)全身の伸び:最後のストレッチ。死者のポーズから両手両足、背中、腰を思いっきり伸ばし、リラックスする。

更年期障害とまぎらわしい「橋本病」とは

ところで、更年期症状とよく似た、女性特有の病気があることはご存じだろうか。40〜50代にかかりやすく、更年期世代と重なる点が厄介だ。初めて病気の論文を書いた医師の名にちなんで「橋本病」(正式名:甲状腺機能低下症)という。のどにある甲状腺に慢性の炎症ができ、甲状腺ホルモンの分泌が悪くなって起こる。集中力の低下、だるさ、肌荒れ、冷え、むくみ...と症状のほとんどが更年期症状と類似する。

坂本恵子さん(仮名=55歳)は45歳の時、引っ越しなどのストレスが重なり、倦怠感や気力の衰えを感じていた。「更年期かな」と放置していると、特に多く食べないのに体重がどんどん増えた。ある日、飲み物を飲んだ際、のどに違和感を覚えた。この体重の急激な増加とのど(甲状腺)の腫れが更年期障害と異なる特徴だ。体重が急に増えるのは、体全体がむくむからだ。

坂本さんを診察した埼玉医科大学総合医療センターの松田昌文医師が、こう説明する。

「橋本病は、9対1の割合で圧倒的に女性に多い病気です。放置したままにすると、心不全や意識障害につながり、死に至る場合もあります。遺伝が原因になるケースが多いので、家系を調べることも有効です。健康診断で急にコレステロール値が異常値にまで上がったら、疑った方がいいでしょう。一般内科を受診し、血液検査で甲状腺機能を調べれば、すぐわかります」

宅急便の荷物を持ち上げただけで腰の骨折

更年期障害は男性でも起こる。井上貴之さん(仮名=46歳)は6年前に突然、「インフルエンザの熱のないような状態の倦怠感」を全身に覚えた。やがて症状が重くなり、起き上がれない日もあった。それまで太った経験がなかったのに、1年半で20キロも増えた。さらに、家の中で宅急便の荷物を持ち上げただけで、腰の骨を折り(腰椎圧迫骨折)、救急車で搬送された。会社を休職するほどの重傷だった。病院を受診すると「男性更年期障害」と診断された。

井上さんを診察した千葉西総合病院泌尿器科部長の久松伸一医師は、こう説明する。

「男性の更年期障害は、男性ホルモンのテストステロンの減少が原因で起こります。テストステロンは精巣から分泌されますが、女性ホルモンが閉経前の50歳前後に急激に減少するのに比べ、20歳前後をピークにゆっくり下がっていくのが特徴です。ところが、ストレスや睡眠不足、疲労などが重なると、ガクンと激減することがあるのです」

当時、井上さんは睡眠不足が続いていた。そのため、40代の平均量の3分の1しかテストステロンを分泌していなかった。6割以下だと危険信号という。

久松医師「テストステロンは性機能の維持だけでなく、男性的な体、筋肉や骨格を作る働きがあります。その分泌量が激減したため、骨がもろくなり、骨折したのです。また、テストステロンは内臓脂肪をつきにくくする役割もありますから、脂肪がついて太ってしまったというわけです」

テストステロンを増やすにはどうしたらいいだろうか。久松医師は「筋トレ」を勧めた。筋肉が増えるとテストステロンの産生量が増えるからだ。人間の筋肉が一番大きい場所は太ももだ。

久松医師「太ももを鍛えるにはスクワットが一番です。立った状態で片足を前に出し、もう片方の足のひざを曲げるスクワットを行なってください。1日10回を3セット行なうといいでしょう」