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五月病の実態とメカニズム
新年度になり1カ月が経過した。毎年この時期になると「五月病」という言葉を聞くようになるが、その実態を問われると解答に困る方も多いのではないだろうか。

以前は新入生や新入社員に特有と思われていた五月病だが、昨今では中高年にも起こるという。今回は五月病の実態とその解決策に着目する。

○そもそも五月病とは?

五月病とは仕事や学校、引っ越しなどの環境の変化に適応できず、焦りやストレスを感じ、気持ちが落ち込むうつ状態の通称である。正式な病名ではなく決まった概念や定義もないが、医学的には「適応障害」や「うつ」に該当する場合がある。

通常、症状は一過性であり、抑うつや無気力、不安感、焦り、疲労感などの精神的症状や、食欲不振、不眠、胃の痛み、吐き気などの身体的症状がみられる。これらの症状は、ストレスによる自律神経やホルモンバランスの乱れに起因するとされている。

○基本的にはストレスが原因

原因は基本的にストレスであり、例えば新しい学校や職場に対する失望、新たな目標の喪失などが挙げられる。また、4月中は新しい環境での自分の位置づけができていないため、日々緊張感をもって過ごしているが、5月頃よりある程度状況が把握でき、客観的に自分を振り返ることができるようになる。そのため、それまで過度に頑張っていた人は一気に疲れを感じ、さまざまな症状が引き起こされる。

五月病への対処法4つ
基本的には、五月病の原因となるストレスから離れられれば、症状は改善する。しかし、ストレスから離れられない状況であれば、その状況に適応する力をつける必要がある。五月病の予防または症状緩和に資する、ストレス適応力を高める方法をいくつか紹介する。

好きなことに没頭する

趣味などの好きなことや楽しい作業に没頭すると、脳内にドーパミンが分泌される。ドーパミンは「快楽」の源となる物質で、食欲や性欲なども増進させるため、生活に意欲を生じさせる。

ストレスに負けない食事

ストレスがかかると、ホルモン合成の促進によりビタミンBやビタミンCが消費される。また、カルシウムやマグネシウムの尿中排泄が進み、タンパク質の分解が進む。ストレス下においては、これらの不足しがちな栄養素の補給が必要となる。

運動によってポジティブに

マラソンなど、継続して運動をしているときに分泌されるβ-エンドルフィンは、気分を高揚させ、幸せな気分をもたらす。この物質は、笑っているときやおいしいものを食べているときなどにも分泌される。

また、ウォーキングやサイクリングなどで一定のリズムで体を動かすと、心を落ち着かせる作用のあるセロトニンが生成される。セロトニンが不足するとうつ病や不眠症などの問題が発生しやすくなると言われているが、逆に十分に分泌されていればストレスに強くなる。

規則正しく十分な睡眠をとる

睡眠不足になると脳の疲労が回復できず、「感情がコントロールできない」「気力が低下する」「自律神経やホルモンバランスがくずれる」などの症状が引き起こされる。また、就寝・起床時間が不規則だと体内時計が乱れ、不調の原因となる。休日に睡眠時間を増やす人は多いが、平日と休日の睡眠時間差を2時間以内にすると、休み明けの不調を回避できる。

○おかしい、辛いと思ったら

症状が生活に支障をきたしていたり長引いたりする場合、それは単なる五月病ではなく、適応障害やうつ病である可能性もある。上記の対応方法は誰でもできることだが、自身での解決が難しくなった場合は同僚や友人に相談する、または精神科や心療内科を受診してほしい。自身の健康は自身で守ることが基本であるが、一人で抱えきれないことは積極的に助けを求めるべきである。

※写真と本文は関係ありません

○記事監修: UHC

東京日本橋にあるベンチャー企業のユナイテッド・ヘルスコミュニケーション(通称UHC)。健康増進アプリ「Wity(ウィティ)」を開発する一方、大手製薬企業のコンテンツ開発を担うなど幅広く活動。社員は心理学、看護学、ロボット工学などの研究者・専門職が多数を占める。皆個性が強く不思議な空気感が漂うが、今日も仲良くお仕事中。

(UHC)