ショコラティエ・パティシエの小山進氏

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「今年のコンクールに出すチョコレートを、いま50種類の創作を終えました。パリのコンクールに出品するのは4種類だから、多すぎるけれど」

 開口一番、そう語るのは、フランスで最も権威のあるチョコレート愛好会「C.C.C.」(Club des Croqueurs de Chocolat)のコンクールで2011年から6年連続となる最高位の「ゴールドタブレット」を獲得、また、2011年、2013年、2014年に外国人部門最優秀ショコラティエ賞を獲得するなど世界的なショコラティエ・パティシエとして知られるパティシエ エス コヤマの小山進氏。

「これは、すべて今年のコンクールに出品するための作品です。翌年に同じものを出品することはありません。常に毎年毎年、僕はその時の自分ができる精一杯を諦めないで創る。去年よりもっとスゴイものを創りたい。だから自分ができる全力を尽くすんです。僕は『これくらいでええやん』と思ったことは生まれてこの方、一度もありません」

 例えば――。小山氏は続ける。

「エスコヤマの小山ロール。これは2001年の『TVチャンピオン』という番組がきっかけでできたものです。他の参加者が華やかなデコレーションのケーキを創り、それがエスカレートしていく中、『いっそ審査員なら誰もが食べてきたであろう、その人その人の記憶の中にあるロールケーキと勝負しよう』と思って創ったものです。

 それ以来、レシピは変わっていません。でも、ずっと進化しています。それはなぜか?

 一年間を通じて作り続けると、夏場の湿度が高い時期にはふわふわが弱く、冬場はふわふわだが巻いたときにヒビ割れが起こりやすい。気候の変化から学びを得た小山ロールという特殊なレシピは、そんな思いも寄らないようなことを教えてくれました。そして、せっかく日本の四季が教えてくれたことを活かせるような設備が必要だという考えに行き着き、実に8年間、小山ロールを焼くためのオーブンを製造する会社と交渉して、改善を繰り返し、やっと理想のオーブンに近づけることができました。でも、その改良されたオーブンを使ってバージョンアップをした小山ロールを見ると、より良くしたいという欲求が湧いてきます。

 創り手である私自身が小山ロールの一番のファンです。人がどう思うかではなく、自分がどう思っているかが重要であり、その思いが創作の源泉となります。その思いを持ち続けることができれば、ものづくりは自ずと進化していくと思うのです。

 これは小山ロールに限らない。子どものころからずっと一緒ですね。追求するのがやめられない、自分のクオリティを追求し続ける、ある種のオタクですよね」

◆チョコレートは「芸術作品」

 そんな彼がいま、魅力に感じているチョコレートの世界とはなんなのか?

「チョコレートは芸術作品。さまざまな産地のカカオとそのポテンシャルを引き出す素材を合わせると個々の持ち味とはまったく違う、立体的な味わいや余韻を生み出せます。抹茶やゆずなど日本の素材を使うこともありますが、その素材からは想像もつかないような味わいをチョコレートで表現することを追求しています。

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 パリのコンクールに出品するためには、この50種類の中から4つに絞ります。その4つを審査員に召し上がっていただくのですが、単に、一番気に入った作品を4つ選んで並べればいいわけではありません。パリのコンクールはあくまでもチーム戦です。4つで一つの作品、という考え方。だからこのコンクールに関しては、ずっとテーマを決めてものづくりをしています。そのテーマが伝わるように、1〜4と順番を付けて、よい流れをつくらなければならないと考えています。ただ、このコンクールにそういう規定があるわけではありませんし、せっかく順番を決めていても審査員がその順番どおりに召し上がられるとは限らない。だから、1〜4の順番でどう組み合わせれば一番綺麗に、僕の描くテーマがきちんと伝わるだろうと模索し続けています」