全州国際映画祭レッドカーペットでの冨手麻妙と井端珠里
 - 写真提供:全州国際映画祭

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 韓国中部の都市・全州で5月6日まで開催された第18回全州国際映画祭で、4月30日、日活によるロマンポルノリブートプロジェクト作品『牝猫たち』『アンチポルノ』のQ&A付き上映会が実施されると、両スクリーンとも満席御礼。客席は若い観客で埋め尽くされ、上映中に出ていく観客は1人もいなかった。

 上映後のQ&Aには、それぞれの主演女優である井端珠里と冨手麻妙が参加。『牝猫たち』の上映後に登壇した井端は「全州国際映画祭はすてきな映画祭と聞いています。ここに来られてうれしいです」と最近勉強を始めたという韓国語であいさつし、観客を喜ばせる。観客からは、井端演じる雅子をはじめ、劇中に登場する風俗嬢の生き方や、癒やしについて質問が集中。井端は日本社会における男尊女卑について言及し、「映画界で女優として生きていくのは精神的にすごく難しいです。付き合ったら映画に出してあげる、エッチしたら仕事をあげると言い寄ってくる男性がいるのもまた事実です。『牝猫たち』では風俗嬢を描きながら、彼女たちが日々生きていく葛藤や寂しさ、わびしさを描いていて、映画を観たときに涙が出ていました」と自分の立ち位置と重なる部分もあったという。

 一方『アンチポルノ』に出演した冨手は「偉そうな映画プロデューサーに園子温監督のロマンポルノに出演すると話したら『ロマンポルノなんかに出たらAVに堕ちるだけだ』と言われてすごく腹が立ちました。劇中のオーディションのシーンで『男は女を見下している』というセリフがあるのですが、自分にはすごく響きました」と男性優位社会における不条理を語っていた。

 また富手には、韓国にもファンが多い園監督の印象や演出についても質問が殺到。「監督はとにかく女優を追い込む人で、一度でカットがOKになることはまずありません。何度も撮り直し同じ演技をすると怒る。夢の中にも現れるほどで、園子温監督を本気で殺したいと思いました」と明かして観客を驚かせたが、「でも、撮影が終わった後で『また一緒にやろうな』と言われると殺意が消えていました。女優ってマゾなんですよね」と付け加えて笑いを誘っていた。

 そして二人は全州国際映画祭の印象について、「とにかく若い観客が多いですね。若い人が映画に高い関心をもっていることはとてもいいことだと思うし、日本でもこうあってほしい」と映画祭の熱量の高さに羨望のまなざし。日活ロマンポルノリブートプロジェクトの5作品は、韓国での配給も決まっており、「ポルノという言葉に惑わされないで、一つの映画として観てほしい」と富田は観客にアピールしていた。(取材・文:土田真樹)