人類を始めとする生き物は、活動の源となるエネルギー源が存在することで生き続けることが可能です。私たちが住む太陽系では太陽がその役目を果たしてくれていますが、天文学的視野に立ってみれば、いずれは太陽も燃え尽きて死を迎えます。太陽のような恒星が燃え尽きると星の大きさによって超新星爆発を起こすこともありますが、その多くは「白色矮星」という段階に進み、さらには徐々に冷めていくことで「黒色矮星」となり、最後には暗黒で冷え切った宇宙が訪れることになります。そんな宇宙の最後の姿を、Kurzgesagt - In a Nutshellがムービーにまとめています。

The Last Light Before Eternal Darkness - White Dwarfs & Black Dwarfs - YouTube

星の一生はどのぐらい長いのでしょうか。その答えは、星によってまちまち、というものです。



そしてそれは、星全体の質量によって決められます。



例えば、巨大で燃えさかる恒星は誕生から数百万年という短い時間で超新星爆発を起こして死んでしまいます。



しかしこれはあくまで例外的なもの。恒星の97%は、最後に白色矮(わい)星となってその一生を閉じます。



そこに至るまでには2通りの道があると考えられています。1つは赤色矮星と呼ばれる、太陽よりも質量の小さい星がゆっくりと燃え尽き、最後に白色矮星に達するというもの。ただし、そこに至るまでには数百億年から数兆年の時間がかかると考えられており、現在の宇宙にはまだ白色矮星に達した赤色矮星は存在していないとみられています。



興味深いのは、我々の太陽と同じ程度の質量を持つ恒星の場合です。



太陽のような恒星の内部では、重力による高い圧力と高温のために、水素原子が核融合反応を起こしてヘリウムに変化するプロセスが連続して起こっています。この時、高いエネルギーが放出されて外側に向かう力が生まれますが、周囲の物質がその力を押さえ込むことで、太陽は爆発せず、しかも内部の圧力と温度を保って安定的に核融合反応が起こる状態になっています。



そんな太陽が年をとると、燃料であったコアの水素を使い果たし、今度はヘリウムをより重い元素へと変化させる反応が起こり始めます。



そうなると太陽はコアの周囲の物質をガスとして宇宙空間に放出するようになります。この状態になった恒星は惑星状星雲と呼ばれ、放出されたガスが数百万kmにも渡って広がり、恒星から放たれる紫外線に照らされた状態が地球からも観測されるようになります。



そして中心部に残るのが、「恒星の死骸」ともいえる白色矮星です。



その大きさは地球と同程度とみられていますが、その質量は地球とは比べものにならないほど大きい状態になっています。



元になった恒星のおよそ半分の質量が、地球と同じサイズに凝縮されていると言えば、とてつもない圧縮状態にあることがなんとなく想像がつくはず。



現実にはとても不可能なことですが、白色矮星の本体をスプーン1杯すくってみると、その重さは自動車1台分にも相当すると考えられています。



極めて高い密度のため、白色矮星の表面重力は地球の100倍にも達するとみられます。



もし白色矮星に降り立ったとすると、即座に自重に耐えきれずにぺっちゃんこの状態になってしまいます。なぜなら、地球で言うところの「100G」もの力が体にかかるためというわけです。



かつて恒星だった白色矮星の周囲には惑星が存在しているはず。とすれば、白色矮星を中心とする恒星系で生命が存在することは可能なのでしょうか。その答えは、「非常に難しいが可能ではある」というもの。



まず、白色矮星に達するまでの段階で、恒星は周囲の惑星に大ダメージを与えているはずなので、そこまで生命が存在し続けること自体が難しいといえます。



また、白色矮星自体が非常に小さいため、惑星は現在の地球と太陽の距離よりも75分の1という近い距離を公転しないと、水が存在するのに適したハビタブルゾーンに入ることができません。



この近さには、良い面と悪い面の両方が存在するとのこと。1つは、惑星をガッチリ捉えてしまうので、常に同じ面が白色矮星のほうを向く状態になるとのこと。



そのため、白色矮星に面している面は非常に熱くなり、反対側の面は極めて冷えた寒い状態に。それら2つの面の境界線にある狭い範囲だけが、生命が存在しうる場所となります。



一方で、白色矮星はエネルギーの放出が非常に安定している天体です。



そのため、赤色矮星のような過酷な環境にさらされることはないというメリットがあります。



これらはまだ、あくまで推測の域を出ない理論の段階です。しかし今後、白色矮星と周囲を良い条件で公転する惑星が発見されたとすると、人類はその先何百万年にわたって定住できる星を見つけられるかもしれません。



では、なぜ白色矮星は他の天体と比べても極めて長いあいだ輝き続けることができるのでしょうか?



それは、白色矮星は非常に温度が高いため。その温度は太陽の40倍もの熱さであると見られており、宇宙でも最も温度が高い物体になると考えられています。しかし、その温度の源は核融合など活発な反応によるものではなく、ただ冷めゆくだけというもの。



小さい天体に高い温度エネルギーが閉じ込められており、そのエネルギーは比較的小さな表面積から宇宙空間へと放射されるのみとなっているため、白色矮星が冷め切るまでには1000億年もの時間がかかると計算されています。



そのため、今後何億年という時間が経った時に人類が存在しているとすれば、白色矮星は死にゆく宇宙にわずかに残されたエネルギー源ということになるとも考えられています。



一節では、白色矮星は1000億年の1000億倍ものあいだ輝き続けるとも考えられています。これは宇宙そのものの寿命の100億倍とも考えられており、宇宙で最後まで輝いているのは白色矮星だけになるという見方も。



そしてその後、現在の宇宙では存在していない白色矮星のなれの果ての姿、黒色矮星が誕生するとみられています。これは、白色矮星が持っていたエネルギーが全て放出されてしまい、もう光や熱を放出できなかった段階のことをいいます。こうなると、生き物は命を保つためのエネルギーを得ることができなくなり、命をつなぐ最後の望みが絶たれることとなります。



しかし、そんな状態になっても巨大な質量と重力を持つ天体であるため、近づくだけで命が奪われる危険な存在であることには違いはありません。



また、エネルギーが使い果たされることで、宇宙で最も熱かった天体は、宇宙で最も冷え切った天体になるとも考えられています。白色矮星が冷え切る頃には宇宙には他の天体も一生を終えきっており、宇宙は熱的死と呼ばれる最終段階に入ります。



熱的死を迎えた宇宙は完全に暗黒で冷え切った世界。ブラックホールと黒色矮星が数千億光年という距離を置いて存在するだけの、死の世界になるとのこと。



黒色矮星が最後どのようになるのかはまだ誰もわかっていません。もし、原始を構成する陽子の寿命が限られているとすれば、黒色矮星はその後数兆年かけて徐々にバラバラに崩壊するとみられています。



逆に、陽子が崩壊しないのであれば、黒色矮星は長い時間をかけて量子トンネルの結果で陽子が移動することで組成が変化し、最終的には純粋な鉄の天体へと変化すると考えられています。



その後、この天体は再び光り輝くこともなく、永遠に冷え切った暗闇の宇宙をさまよい続けることになるでしょう。



しかし、これらのことが起こるのは今から何兆年も先の出来事であり、今すぐに人々が心配すべきものではありません。



我々は今、宇宙が星や光、エネルギーで満ちあふれている時代に住んでいます。



そしてもしかすると、それらの星へとたどり着くだけの時間が残されているのかもしれません。