仏パリにあるルーブル美術館前で支持者を前に演説したエマニュエル・マクロン氏(2017年5月7日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】7日に行われたフランス大統領選の決選投票で勝利したエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)前経済相(39)。マリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)氏に大差をつけてエリゼ宮(Elysee Palace、大統領府)の主の座を射止めたが、就任後は幾つもの難題が待ち構えている。

 主な課題を5つ挙げると(1)国内の融和(2)議会での勢力確保(3)労働改革(4)テロ対策(5)欧州連合(EU)改革――となるだろう。このうち、来月に迫った国民議会(下院)選挙で過半数の勢力を獲得することが最初の関門となる。

■フランスの融和

 親EUの中道派で投資銀行出身のマクロン氏は大統領として、分断された国としてのフランスを引き継ぐことになる。第1回投票では、有権者の半数近くが反EUや反グローバリゼーション、反エリートなど極端な政策を掲げる候補たちを支持した。

「2つのフランス」の分断線は地理的な境界に重なる。一方は都市部で、経済的に豊かで、改革に開かれているフランス。もう一方は、北部のさびついた工業地帯や、地方の経済的に恵まれない地域を中心としたフランスだ。極右のルペン氏に票を投じたのは後者の住民だ。

■議会との関係

 マクロン氏は、自分を多くの有権者が支持したのは強い信念に基づくものではなく、単にルペン氏による権力獲得を阻止したかったからだということ、つまり、6月11日と18日に予定される議会選で支持が得られない恐れがあることをよく分かっている。

 マクロン氏は、従来の左派、右派の政党の枠を超えて中道の多数派を新たにつくり出すとして、1年足らず前に政治運動「前進(En Marche)」を立ち上げた。本人は現代フランスで異例の大躍進を遂げたが、今度は議会で確固たる勢力を確保しなければならない。

■雇用対策という鬼門

 マクロン氏はこれまで、フランスが失業問題を解決できていないことを嘆いている。失業率はEU全体の平均で8.0%、隣のドイツではわずか3.9%なのに対し、フランスでは10%に達している。

 マクロン氏は、前任者たちと同様、最初に雇用対策で評価が下されることになる。そのため、就任後最初の数か月間に行政命令で硬直化した労働法の改革を断行すると公約している。

 マクロン氏は雇用分野の規制緩和や法人税の引き下げ、週35時間労働制の緩和により、2022年までに失業率を7%まで引き下げたいとしている。

■テロの脅威

 フランスでは大統領選の第1回投票のわずか3日前に、パリ(Paris)中心部のシャンゼリゼ(Champs Elysees)通りで警官が銃で撃たれて死亡する事件が発生し、国内にテロの脅威がつきまとっていることを改めて浮き彫りにした。

 国内では2015年1月以降、イスラム過激派による襲撃によって230人余りが死亡。襲撃の多くはイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の名の下に実行されている。

 マクロン氏はこうした治安問題にしっかり対処していること、そして軍の最高司令官としての役割を果たしていることも早急に示す必要がある。

■EU改革

 英国離脱や移民危機に見舞われたEUの立て直しには、フランスとドイツの連携を再び活発にすることが不可欠だとマクロン氏はみている。

 マクロン氏は就任後最初の1か月に欧州諸国の首都を訪れ、「ユーロ圏予算の創設、ならびに環境、産業、移住管理のための27か国の欧州(Europe of 27)の構築に関する5か年ロードマップ」を打ち出す計画だ。

 マクロン氏はまた、軍事作戦と産業プログラムの連携によって欧州の防衛を強化していく決意も表明している。
【翻訳編集】AFPBB News