51分、ダイビングヘッドを決めた高原が咆哮を轟かせる。この先制点で勢いに乗りたかったが……。写真:ヤナガワゴッー!

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【週刊サッカーダイジェスト 1999年5月19日号にて掲載。以下、加筆・修正】
 
 日本サッカー史上、世界大会で初めて決勝の舞台に立った。
 
 グループリーグ初戦のカメルーン戦を痛恨の逆転負けで落としたヤングジャパンは、その後いかに立て直し、栄光のファイナリストへの道を突き進んだのか。
 
 激闘の連続のなか、逞しく行進を続けたU-20日本代表。その“銀色の軌跡”を振り返る。

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[グループリーグ第1戦:日本 1-2 カメルーン]
 
得点者:日=高原(51分) カ=コモル2(72分・89分)
 
出場メンバー:GK南/DF辻本、手島、中田/MF遠藤、酒井、本山、小笠原(74分・石川)、小野/FW高原、永井(69分・播戸)
 
まさに、悪夢のようなスタート

 予防接種にまつわる日本協会との行き違い、開催地ナイジェリアの治安問題、そして相次ぐ主力の怪我と、ピッチ内外で数え切れないほどの不安とストレスを抱えていた。

 その船出となったカメルーン戦は、日本の若武者たちの比類なきポテンシャルと、依然としてはびこる問題点を如実に現わすゲームとなった。
 
 上質な個人技と高度な組織が融合した日本は、身体能力を前面に押し出すカメルーンを序盤から凌駕。12分に酒井が、15分に本山が決定機を迎え、地元ナイジェリアの観客も大いに沸き、アジアの代表チームを後押しする。
 
 だが、ゴールは決まらない。相手GKの好セーブ連発に加え、フィニッシュのまずさで0-0のまま前半を終える。
 
 後半開始からまもない51分、ついに均衡を破る。右サイドを打破した酒井のクロスを高原がダイビングヘッドでねじ込み先制。その2分後に敵FWイドリソーの強力ヘッドを、酒井がゴールライン際でクリアするなど、運も味方し、リードを保った。
 
 しかし、日本は徐々にスタミナ切れが顕著となり、それに伴う集中力の欠如が目立ち始める。
 
 すると72分、カメルーンが放り込んだロングボールに対して手島と南の連携が取れず、FWコモルに同点ヘッドを決められてしまう。さらに満身創痍の日本は自陣に釘付けとなり、89分に被弾するのだ。左サイドを完全に崩され、鋭いクロスからまたしてもコモルのヘッドを許し、まさかの逆転負けを喫した。
 
 この先の快進撃など予想だにできない、まさに悪夢のようなスタートだ。
[グループリーグ第2戦:日本 3-1 アメリカ]

得点者:日=オウンゴール(10分)、高原(51分)、小笠原(85分) ア=フタガキ(74分)
 
出場メンバー:GK南/DF辻本、手島、中田/MF遠藤、酒井、本山(84分・石川)、小笠原、小野(74分・加地)/FW永井、高原(89分・播戸)

2戦目にして迎えた大きな山場
 
 負ければ即アウト、引き分けでもグループリーグ敗退が決定しかねない正念場の一戦だ。
 
 悲壮感を漂わせる日本の第2戦の相手は、初戦でイングランドを破っているアメリカ。決して楽観視できない難敵だったが、開始10分、思わぬ幸運が日本に舞い込んだ。小野が中央にいた小笠原にダイレクトパスを通そうとしたところ、アメリカDFに当たってコースが変わり、ネットを揺らしたのである。
 
 その後は、あいかわらずチャンスは作るもゴールが遠い展開が続く。そんなじりじりした流れを打破したのがエースだ。後半に突入して6分後、小野の素早いスローインから高原が力強いドリブルで仕掛け、そのまま20メートルの位置から左足を振り抜いた。これがゴール左隅に突き刺さり、スコアを2-0とする。
 
 以降はアメリカの攻勢を許し、74分には一時1点差に迫られる。だが85分、酒井のボール奪取から小笠原が持ち込み、決定的な3点目を奪取。一進一退の攻防に終止符を打った。
 
 第1戦とは対照的に苦戦を強いられた日本だが、なんとか粘って勝点3をゲット。最初の山場を乗り切った。
 
[グループリーグ第3戦:日本 2-0 イングランド]
 
得点者:石川(39分)、小野(48分)
 
出場メンバー:GK南 /DF辻本、手島、中田/MF遠藤(70分・加地)、酒井、本山(77分・高田)、小笠原、小野/FW高原、永井(31分・石川)
 
飛車角抜きの“母国”を下して首位通過
 
 グループリーグ突破を懸けた最終戦は、サッカーの母国イングランドが相手だった。本来の主力であるオーウェンやバリー、アラン・スミスらが軒並み出場を見送り、ほぼBチームと言っていいメンバーを送り込んできた。ここまで2戦2敗で、日本とのモチベーションの差は歴然としていた。
 
 幸運なオウンゴールに助けられた2戦目に続き、幸運なスケジュール。日本は勝利はもちろん、1位通過に向けて積極的にゴールを奪いにいった。
 
 立ち上がりから組織力で大きく上回る日本は、パスワークでイングランドを翻弄する。開始早々に高原が強烈ボレーを見舞い、20分に永井がGKとの1対1を迎えるなど、決定的なチャンスを迎える。
 
 前半途中から証明が半分消えるアクシデント。そんななか、ようやくの先制点は39分に生まれる。間接FKの場面で、小笠原が流し、小野が止めたボールに走り込んだのは石川だ。伝家の宝刀である左足を振り抜き、ゴール左隅に突き刺した。
 
 蹴り込んでくるばかりのイングランドの攻撃は脅威とならず、その後も日本が危なげなく試合を進めていく。後半開始直後の48分には、小野が技ありのループでGKの頭上を破り、試合の趨勢を定めた。終了間際に敵の長身FWクラウチにあわやのシーンを作られるが、豪快ヘッドを南が弾き返し、ことなきを得た。
 
 カメルーンがアメリカに敗れたため、3チームが2勝1敗の勝点6で並んだ。日本は得失点差で1位となり、2位アメリカ、3位カメルーンとともにラウンド・オブ16進出を決めた。