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IDC Japanは5月8日、国内エンタープライズインフラストラクチャ市場に関するユーザー動向の調査結果を発表した。これによると、国内ではデジタルトランスフォーメーション(DX)による変革を目指す必要があるとの認識が広まっているという。

今回の調査は、DXに取り組むにあたり、ITバイヤーが抱えている阻害要因について、経営課題の共有およびテクノロジーの活用に関する認識、DX関連テクノロジーの活用実態、そして既存の基幹業務システムの課題などに関するユーザー調査を通して分析している。また、インフラストラクチャの視点から、ITバイヤーがDXを推進する上でのペインポイントがどこにあるのか考察している。

優先順位が最も高い経営課題を尋ねたところ、上位3つの課題は順に「新規ビジネスの創出」「営業力の強化」「ビジネスモデル変革」となり、同社は「成熟市場である国内においてDXによる変革を目指す必要があるとの認識が広まっている」と分析している。これらの認識は経営層と情報システム部門の間で共有されているという。

ITの活用によって解決したいとする経営課題に関して、経営層では「業務プロセスの改善/再構築」を挙げる回答者が突出していた。これに対し。情報システム部門の回答は上から「新規ビジネスの創出」「業務プロセスの改善/再構築」「ビジネスモデル変革」が数ポイント差で並ぶ結果となった。

こうした結果より、「経営層と情報システム部門の間に存在するITのケイパビリティに対する認識ギャップ」が存在する可能性があると同社は推測している。経営課題を解決する上で、どのようにITを活用すべきなのか、そもそもITを活用できるのかといった点について、経営層と情報システム部門では異なる認識を持っているという。

また、情報システム部門は自社の抱える課題としては「経営組織のIT化に対する理解度が低い」を挙げる回答者が目立ち、情報システム部門では優先順位の高い経営課題をITで解決したいと考えているものの、経営組織のITに対する理解度が低く攻めのIT活用が進まないといったジレンマを抱えているケースが少なくないと想定している。

一方、基幹業務システムの抱える課題を情報システム部門に尋ねたところ、「保守技術者の確保が困難」「保守性が悪い」「データベース技術の陳腐化による技術者の確保が困難」を挙げる回答者が突出。ユーザー調査では、これらの課題への対処方法として、リエンジニアリングを挙げる回答者(課題を抱えている回答者が母数)が4割を超え、レガシーマイグレーションは一通り完了し、残っているプロプライエタリシステムはカスタムアプリケーションが多いと同社では見込んでいる。

これは、延命してきた基幹業務システムを業務プロセスやビジネスロジックを見直した上で、ITインフラの更新時、抜本的に構築し直す対処方法が望ましいとの意向だという。DXに向けた新たなIT投資を行う上で、基幹業務システムの経済性、柔軟性、保守性を高めるとともに、競争環境の変化に備え、人的リソースを確保したいとの認識が背景にあると推測している。

同社のエンタープライズインフラストラクチャ グループマネージャーである福冨里志氏は「ITバイヤーがDXに取り組む上で、『経営層と情報システム部門の間に存在するITのケイパビリティに対する認識ギャップ』と、一部のユーザー企業において『延命してきたプロプライエタリーシステム上の基幹業務システムの存在』が阻害要因となっている可能性が高い。ITバイヤーにおけるベンダー選定では、これらの阻害要因を取り除くためのコンサルテーションやソリューションの提案力が新たなベンダー選定基準として重視されるようになる」と述べている。

(岩井 健太)