任天堂のスーパーファミコン用のCD-ROM機としてソニーが開発していた「PlayStation」は、最終的には日の目を浴びることなくお蔵入りになりました。その後、ソニーは独自にゲーム機PlayStationを開発しますが、その原形となった幻のゲーム機「Nintendo PlayStation」のCD-ROMを使ってゲームを起動させることにハッカーが成功しました。

幻のゲーム機「Nintendo PlayStation」は、ソニーと任天堂が開発していたプロトタイプが世界でも200台ほど製造されたと考えられています。その貴重なゲーム機を、オークションで75ドル(当時のレートで6800円)という激安価格で落札したテリー・ダイボールド氏が、Nintendo PlayStationの実機を披露して話題になりました。

任天堂とソニーの黒歴史が詰まった幻のゲーム機「Play Station」の本物が登場 - GIGAZINE



電子機器を分解・修復するYouTubeチャンネル「The Ben Heck Show」のベン・ヘック氏が、ダイボールド氏から実働する貴重なNintendo PlayStationを借りてバラバラに分解し、分析することになりました。バラバラにする様子は、以下の記事内の埋め込みムービーで確認できます。

任天堂とソニーが共同開発した幻のゲーム機「Nintendo PlayStation」 - GIGAZINE



ヘック氏は、コンデンサー除去作業など試行錯誤の末にCD-ROMをスピンアップさせることに成功しました。その分解ムービー公開から約9カ月が経ち、ついにヘック氏はCD-ROMからシステムを起動させることに成功し、ムービーを公開しています。

Nintendo PlayStation Prototype: Finally Working! - YouTube

The Ben Heck Showのヘック氏。前回まで起動させられなかったCD-ROMを機能させることに再チャレンジします。



マザーボードをチェックして、使用しているチップの種類とその役割を分析するところから作業は始まります。Nintendo PlayStationにはSNES(スーパーファミコン)側とCD-ROM側の2つのDACがあり、送られた2つのデジタルデータがアナログ信号に変換されるとのこと。



オーディオCD機器に強いソニーの技術が活用されているのだろうとヘック氏は述べています。



SNES側のチップをオシロスコープを使って波形を調べています。使っているソースはスーパーマリオカートの音楽で、紫色が左右の音声が交互に出力されるステレオになっているとのこと。SNESのDACは正常に機能することが確認できました。



問題はCD-ROM側のDAC。Nintendo PlayStationは正式にリリースされることはなかったため、そもそも音源となるシステムROMは存在しないため、正常に機能するのか確かめる術がないからです。



Nintendo PlayStationに搭載された「謎のチップ」を手探りで分析していきます。



おそらくバス関連のチップだと思われる謎のチップ。



他のチップとデータのやりとりをするものだと考えられます。



これはCD-ROMの液晶用のチップ。



「昨日の時点ではCD-ROMはディスクを認識しなかった」と話すヘック氏。



「それが、今日になって突然、機能しだした」とのこと。「妖精が夜にやってきて直してくれたんだろうか?」と不思議がるヘック氏ですが、ともかく結果オーライです。



CD-ROMコントローラーチップ(左)とデジタル信号プロセッサー(右)の2つのソニー製チップ。ヘック氏はこの2つのチップに関する全てのドキュメントを読んだとのこと。



さらにマイクロコントローラーは別のボードにあります。システムがゲームモードでないときは、マイクロコントローラーがCD-ROMコントローラーに信号を送り、CD-ROMはオーディオ用などの用途に切り替わります。



「よし、ヒップホップミュージックを流してみよう」と、ヘック氏は音楽CDをCD-ROMに入れてみます。



うまく音楽を再生できました。



「以前はケーブルの不良があったのかもしれないが、ともかく音楽CDの再生には成功です」



コントローラーチップ内に32KBのRAMが搭載されておりジッターコントロールをしているとのこと。かつてのソニーのポータブル音楽機のディスクマンを思い起こさせるとヘック氏は述べています。



CDプレイヤーや「ラジカセ」によって……



ソニーは大金をゲットしました。ソニーの礎を築いたレガシーはNintendo PlayStationにも引き継がれているようです。



CD-ROMが機能することが分かったところで、いよいよシステムROMを読み込めるのかをチェックします。



ゲームでのチェック



SNES用のゲームカセットを装着してゲームモードに。



「おお、これまでに見たことがない画面が出たぞ!」



「Super Disc」のロゴの下に「NO DISC」と出た後に、「Music DISK」と表示されました。「よし、進歩だ」とヘック氏は手応えを感じている様子。



以前は「NO CD SYSTEM」と表示されていたとこと。



テストプログラムを起動させることにも成功。Hexコードを入力するように求められました。



「インターネットにコマンドのリストがあるんだ」と、検索するヘック氏。



「行った」



コントローラーを使って、CD-ROMドライブの開閉操作にも成功。



音楽CDからシステムCDに入れ替えて、ゲームのローディング作業に移ります。



ローディング中。「君ならできる、君ならできる」と呼びかけるヘック氏。



ロード画面から……



突然、画像が乱れ始めて……



何やらゲームらしきモードに切り替わりました。もちろんNintendo PlayStation用のゲームCD-ROMはこの世に存在しないので、エミュレーターで書き込まれたゲーム「Magic Floor」だとのこと。



ゲームタイトルはどうであれ、Nintendo PlayStationに搭載されて「Super CD」というシステムから、CD-ROMベースのゲームを起動させることに成功しました。幻のゲーム機でゲームを起動させることに成功した偉業について、「馬鹿げているように見えるかもしれませんが、2000年前にタイムスリップしてエジプト人と会話するようなものです」とヘック氏は表現しています。



ということで、Nintendo PlayStationのCD-ROMでゲームを動かすことに、ついに成功したヘック氏。



Magic Floorは問題なく動きましたが……



CDに書き込んだゲーム「SUPER BOSS GAIDEN」は……



エラーを吐いてしまい、うまく動かなかったとのこと。



ここから先は、エミュレーターのセッティング作業がメインになるとのことです。