5月3日〜4日に富士スピードウェイで行なわれたスーパーGT第2戦「FUJI GT500km RACE」は、レクサス勢が開幕戦と同様に強さを発揮した。ナンバー38のZENT CERUMO LC500(立川祐路/石浦宏明)が今季初優勝を果たし、2位はナンバー6のWAKO’S 4CR LC500(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ)、3位はナンバー37のKeePer TOM’S LC500(平川亮/ニック・キャシディ)。今回もレクサス勢が表彰台を独占した。


今季初優勝を喜び合う立川祐路(左)と石浦宏明(右) しかし、ライバル陣営もそれを黙って見ていたわけではない。開幕戦は苦戦に見舞われた日産勢では、ナンバー23のMOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が予選2位・決勝4位と大躍進。一方、前回は全車にトラブルが発生して散々なレースとなってしまったホンダ勢も、その原因となった電気部品をすべて交換して臨み、第2戦ではナンバー100のRAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/伊沢拓也)が6位に食い込んだ。トップからは大きく離されたものの、レース途中にはレクサス勢と同等のペースで走るなど、決してパフォーマンス面で大きく劣っていない部分も証明してみせた。

 そういう意味でも、今回の富士スピードウェイはレース結果以上に激戦だったと言えるだろう。ただ、そのなかでも印象的だったのは、立川/石浦組が2番手以下に一時15秒もの大差をつける独走劇を演じ、最後まで危なげない走りで優勝したことだ。

 まずは3日に行なわれた公式予選。ここではGT500クラスでの通算最多ポールポジション記録を持つ立川が1分28秒101をマークし、トップに躍り出る。ところが、それに対して23号車や6号車が0.1秒以内に迫るタイムを記録し、予想以上の接戦となった。

 暫定トップは依然38号車であるものの、わずかながら予選時間は残っている。最後での逆転を警戒して、立川は2周続けてタイムアタックを行なった。そして、28分台を切る1分27秒825を記録。ライバルとの差を確かなものとし、通算22回目となるポールポジションを勝ち取った。

 レクサス陣営が強さをアピールした開幕戦で、38号車は目立たない結果(4位)に終わった。それもあってか、予選後の立川にポールポジションを獲得できたという安心感はほとんどなく、「ポールポジションを獲りましたけど、500kmの長いレースで数メートル、リードしているだけなので、ここから決勝に向けてチームときっちり話をして、万全の態勢で臨みたいです」と冷静にコメントしていたのが印象的だった。

 ただ、決勝ではこの”数メートル”の先行がその後、大きくものを言うことになる。追い抜きシーンが多いことで人気を集めているスーパーGTだが、最近は特にGT500の進化が目覚ましく、GT300との混走がない状態で追い抜きをするのは、非常に困難だ。特にレース前半はGT300との混走シーンが比較的少ないため、予選の順位のままレース後半に向かう展開になることも多い。

 第2戦の富士でも、スタートドライバーを務めた立川は何度かライバルの接近を許してピンチとなったものの、ポールポジションの優位性を生かしてトップのまま1回目のピットストップを迎えることができた。38号車が今回勝てたのは間違いなくこの優位性の恩恵があったためであり、立川が予選で見せた1分27秒台のアタックがひとつ目のターニングポイントだったと言えるだろう。

 そしてもうひとつ、ライバルとの差を決定づけたターニングポイントは、1回目のピットストップを終えた直後の35周目だ。このときの状況について、石浦はこう語っている。

「最初の立川選手のスティントで区間タイムを見ながら、『やっぱりそう簡単に勝てるレースではないな』と思うくらい周りが速くて、今日は厳しい戦いになると感じていましたし、自分のピットアウトラップが大事な要素になると昨日の段階から思っていました」

 スーパーGTはタイヤウォーマーの使用が禁止されており、タイヤ交換直後の1〜2周はタイヤがグリップせずにペースが落ちてしまう。この状態でいかにペースを落とさないかが勝負のカギと言われており、このタイミングで順位が入れ替わる可能性も十分にある。

 そのことを熟考した石浦は、ウォームアップのときからピットアウト直後を想定し、わざと温まっていないタイヤを履いてコースイン。その状況下で少しでも速く走る練習を行なっていたのだ。

「フリー走行の段階からコールドタイヤで練習させてもらったので、その成果が出せて自分なりに納得のできるアウトラップが走れました。途中でブルーフラッグにすぐ反応してくれないクルマがいて、大きくタイムを失ったりもしましたけど、立川選手になるべくリードを築いてから渡したいという気持ちで集中して走りました」

 この石浦の積極的なドライビングによって、それまで1〜2秒ほどしかなかった後続との差はあっという間に広がり、気がつけば最大で15秒を超える大量リードを築くことに成功した。この貯金は、最終パートを担当した立川への大きな助けとなる。

「石浦選手が10秒以上のリードを築いてくれたので、最後のスティントは楽をさせてもらったというか、後ろとの間隔を見ながら確実にゴールを目指すだけでした。最後は基本的にセーブをして、とにかく何か起きないように手堅くいこうと。何もなければ勝てるなという思いはありました」(立川)

 レース終盤は2番手を走る6号車との間隔が縮まり、最終的に4.7秒差まで迫られたものの、立川にとってはそれも計算済み。そこまで余裕が持てたのも、完璧なレース運びができていたからだろう。

 全日本GT選手権時代を含め、過去3度のドライバーズチャンピオン経験を持つセルモ。名門チームの底力を改めて見せつけた富士の500kmレースだった。その結果、選手権ポイントを29ポイントまで伸ばした立川/石浦組は、トップの平川/キャシディ組から2ポイント差のランキング3位。好調なレクサス勢のなかで、その存在感をようやく示し始めた。

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