まだまだ本調子にはほど遠い──。そんなMF清武弘嗣のパフォーマンスだった。

 5月6日に行なわれたJ1リーグ第10節の柏レイソルvs.セレッソ大阪。リーグ戦7試合負けなし、ルヴァンカップも含めれば公式戦11試合負けなし。意気揚々と柏のホーム日立台に乗り込んだC大阪だったが、リーグ戦3連勝中と勢いでさらに上をいく柏に0-1と惜敗。失点は不運極まりないものだったが(DF丸橋祐介のクリアボールがFWクリスティアーノに当たってそのままゴールイン)、柏のハイプレスに苦しみ、最後まで後手を踏んだ印象は否めなかった。


セレッソ大阪の攻撃力アップに清武弘嗣の復調は欠かせない 注目の清武は90分間フル出場。4-4-2の右MFとしてピッチに立つと、1点を追いかける終盤にはトップ下でプレー。試合終了間際にあわやというミドルを放ったものの、柏の守護神・中村航輔のスーパーセーブに阻まれてしまう。刹那(せつな)、ピンクのユニフォームを身にまとった背番号46は、悔しそうに天を仰いだ。

 大きな期待を背負いC大阪に復帰した清武だったが、ここまでは本領を発揮しているとは言いがたい。ケガで出遅れてジュビロ磐田との開幕戦を欠場し、第3節のコンサドーレ札幌戦で初出場。しかし、3月下旬に左太ももを痛めてふたたび離脱。その後、段階的に復帰していき、4月30日に行なわれた第9節の川崎フロンターレ戦でスタメンに戻ったばかりだった。

 その試合でC大阪復帰後初ゴールをマークし、今後の活躍が期待されたが、柏戦での出来は冒頭の感想のとおり。らしくないパスミスもあれば、トラップミスも散見。思い切って狙ったシュートは枠に飛ばず、クロスが合わない場面も何度かあった。59分にはカウンターで抜け出すシーンがあったものの、DF輪湖直樹に身体を入れられ、あっさりとボールを奪われてしまう。連戦による疲労や暑さの影響はあったにせよ、清武がこれほど簡単にボールを失ってしまうのは、ちょっと意外だった。

 試合後に報道陣の前に現れた清武は、納得のいかない表情を浮かべながら試合を振り返った。

「チャンスはあったので、そのなかで決めきれなかったのは残念でした。(不運な失点場面は)あれはチームとしての失点だと思うし、ああいうふうにさせたのは、攻撃陣が早めに点を獲っていないのが原因。ディフェンスの選手に苦労をかけた試合だったと思います」と、言葉少なに取材エリアを後にした。

 プレーに見るべきところが少なかったと感じたのは、この試合を視察に訪れた日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督も同様だったのだろう。清武のプレーに関して感想を求められたが、コメントを控えたという。

 今季J1に復帰したC大阪は、尹晶煥(ユン・ジョンファン)新監督のもとで守備組織を整備し、序盤戦の10試合を4勝4分2敗と、まずまずの成績で乗り切った。際立つのはやはりその堅守にある。10試合で8失点はリーグ最少。点を与えず少ないチャンスをモノにする。そんな戦いが確立されつつある。

 一方で、攻撃面には多くの課題が残されている。開幕からしばらくはセットプレーからしか得点が獲れず、本来ボランチの山村和也のFW起用が功を奏し、ようやく流れのなかからも徐々に点が獲れるようになってきた。だが、前線の連動性が不足しており、得点の数はなかなか伸びていかない。リーグトップタイの4引き分け。勝ち切れない原因は、まさにここにある。

 それでも、そこは昇格チームである以上、致し方ない面もある。「J1残留・定着」という目標を掲げるなか、内容よりも結果を重視する戦い方は当然だ。キャプテンを務めるFW柿谷曜一朗も、ある意味の割り切りが今のチームにはあると説明する。

「とりあえず結果がほしいです。連係とかそういうのは、今は必要ない。90分終わったときに相手より点を獲っていることを意識してやれればいい」

 もっともこの日のように守備組織が崩れなくとも、事故のような失点から敗戦を招く可能性もある。そのためにはやはり、「得点を奪うこと」への意識を高めることが求められるだろう。そしてそのキーマンとなるのがやはり清武だ。MF山口蛍も清武の存在の大きさを口にする。

「(シーズンの)最初はキヨ君がいなかったけど、途中から入ってきたのは、(攻撃力の向上に向けて)一番大きなところ」

 確かにこの日も頻度こそ少なかったものの、清武が絡むと攻撃の形ができていたのも事実。精度の高いキックによるセットプレーも、C大阪の大きな武器となっていくだろう。

 ただし、左MFを務めた柿谷も含め、バイタルエリアでのプレー機会が少なかったのは気がかりだ。清武自身も「ボールが(頭上を)越えていってしまった」と振り返ったように、連動性が不足している点を課題として挙げていた。

 守備を意識する戦いを演じる一方で、今後はそのバランスを少し攻撃に向ける必要があるだろう。もちろん、清武自身もコンディションを高め、プレーのクオリティを増していくことが重要だ。

 圧倒的な存在感を示し、ドイツに旅立った5年前の清武の姿はまだそこにはない。C大阪の浮沈のカギを握る46番の復調のときが待たれる。

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