少女に奇跡をもたらした1頭のロバをご紹介したい。

飼い主から顧みられることなく、アイルランドの農場で傷だらけの状態で縛られていた、ロバのショックスである。

保護され人々を癒す仕事に

その後ショックスは救出され、英バーミンガムにある「The Donkey Sanctuary in Birmingham」で、皆に愛されながら暮らしている。

助け出されたショックスは、今度は助ける側に回ることに。虐待や飼育放棄を受け保護されたロバの多くが、ここではアニマルセラピーの役割を担っているのだ。

セラピードッグならぬ、”セラピードンキー”といったところか。

少女との出会い

ショックスは2013年、当時2歳だったアンバーという少女に出会う。アンバーは一言も言葉を発することができなかった。

双子の1人として早産で生まれたアンバーは、出生時呼吸をしておらず、すぐに救急気管切開術を受けた。その手術は命を救うため、背中に空気を送るチューブを埋め込むというもの。

Amber’s Donkey/Facebook

声帯への気流を遮断したため、以来アンバーは全く声を出せなくなった。また、彼女は脳性麻痺も患っており、筋肉が未発達で上手く動き回ることができなかったという。

出会った瞬間心を開いた両者

両親は知り合いからセラピードンキーのことを聞き、アンバーを通わせることに。

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アンバーがアニマルセラピーを受けるのはこの時が初めて。また、ショックスにとってもアンバーが初めての患者であった。

しかし出会った瞬間に両者は深い絆で結ばれた。

「幼い娘を、体の大きな動物に触れさせることに正直恐怖心があった」と、アンバーの父親はThe Dodoの取材に対し答えている。

両親の心配をよそに、アンバーが首に手を回しやすいよう、ショックスは頭を下げ、アンバーもまたショックスに優しく接していたという。

ショックスに乗り体を鍛える

アンバーはショックスに乗ることで、筋肉を鍛えることができた。

Amber’s Donkey/Facebook

体が鍛えられたおかげで、彼女は活動的になった。

心も体も癒され、ますます絆を深めていくアンバーとショックス。

Amber’s Donkey/Facebook

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一方、3歳になったアンバーは、再び手術を受けた。今度はしゃべれるようになるための手術である。

ショックスに向かって初めて口を利く

2013年11月、術後初めてショックスの元を訪れた時点では、アンバーはまだ一言も言葉を発してはいなかった。

いつものようにショックスに乗り、家路に付こうとしたその時、周囲が驚くようなことが起きた。

ショックスに抱きついたアンバーが、「大好きよ、ショックス」と声を発したのだ。

「どんなに嬉しかったか。加えて、やはり娘は話せるようになったのだ…と、どんなにホッとしたことか」と父は当時を振り返っている。

今でも2人は大の仲良し

成長し、現在学校に通っているアンバーだが、時折親友ショックスの元を訪れ、毛繕いをしたり、ピタリと身を寄せ合ったりしながら過ごしているとか。

共につらい過去を乗り越えた者同士、これからも時に支え合いながら生きていくのだろう。

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