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RS2は、もはや「伝説」か?

同類の2台を隔てるもの、それは時間だ。

その差は9psと1kg-m、そして2kg。0-100km/h加速は4.8秒で同タイム。20年前にはニッチだったが、今や人気ジャンルになりつつあるハイパフォーマンス・ワゴンの新旧モデルを比較すると、スペック表でわかる差は実に小さい。

一方は、リスペクトの対象だ。数多ある速いクルマの中で揺るぎないポジションにある。90年代の自動車雑誌では、しばしばスター扱いだった。

もう一方は、ベースとなった偉大な5ドアの陰に隠れがちで、あくまでそのバリエーション扱い。敢えてこちらに限定して取り上げられる機会は滅多にない。

果たして、2017年現在の基準で見ても、その判断は妥当なのだろうか? インゴルシュタットの伝説的なスーパーカー・イーターは、その筋では手頃な価格でヒットしている最新モデルに取って代わられることはないのだろうか。

RS2、現在の価値に置き換えると?

1994年の発売時、RS2の新車価格は、ポルシェ911と同等の£46,000(673万円)ほどだった。現在の基準で見れば、600ps級で£10万(1,463万円)のアウディが登場したようなものだ。

とはいえ、もしそういうモデルが今からラインナップに加わっても、このジャンルのパイオニアというステータスだけは、どんなに望もうが手に入らない。

RS2は「レン・シュポルト」アウディの源流なのだ。

この限定生産車は、ホイールとタイヤ、ブレーキをポルシェ968クラブスポーツから流用している。5気筒ユニットは、これまたアウディの象徴であるUrクワトロ譲りで、それをさらに強化している。

新車当時に実施したロードテストでは、マクラーレンF1にあと50km/h弱で追いつく、驚異の最高速をマークした。

あれから23年という長い月日が流れたが、いまだにRS2を真に凌ぐほどのホットハッチは見出せない。その点では、決してホットハッチ市場の最速モデルではないゴルフRもまた、及ばないのかもしれない。

「当初、この企画は成立が危ぶまれた」

それでも、4WDとワゴン・ボディを設定し、パワーもマイナーチェンジで300psを突破した。このクラスで、それらすべてを備えるモデルは、やはり希有である。

当初、この企画は成立が危ぶまれた。20年もののクルマと最新モデルの比較では、あまりにも不公平だと思えたのだ。RS2アバントの偉大さは今日でも揺るぎないが、性能評価なら同時代のモデルと比較するべきではないかと考えたわけだ。

しかし幸運にも、われわれはアウディとポルシェの仕事ぶりを現在に示す、満足できる個体に巡り会えた。新車当時からアウディUKが所有し、走行距離は6500kmに満たないという極上品だ。

このシャシー・ナンバー「P809 UBW」は、新車装着のサスペンションとダンロップSPスポーツ8000を装着した、おそらく英国で最も価値あるRS2である。これを自ら走らせる機会など、後にも先にも今回だけだろう。

RS2、ディテールをチェック!

さて、RSを名乗るアウディといえば、ドア・ミラーは銀色というのが現在の相場だが、今回そうだったのは皮肉にもゴルフの方だった。

今やインゴルシュタットが発明したこのドレスアップは、世界中にコピーを蔓延させているが、本家本元は違っていた。993世代の911から拝借したそれは、ボディ同色だったのだ。

改めてRS2を見てみると、グラスハウスは高く、ホイールは小さく、オーバーハングは長い。それでも、デザインは最新のゴルフを一蹴するほど魅力的だ。

テールランプの間に配されたガーニッシュはいかにも90年代の装いで、フォーマルなスーツを着て、SFの登場人物みたいなバイザーをかけたような独特の雰囲気を醸し出す。

走らせてみて素晴らしいと思える高性能車というのは、高速域だけではなく、低いスピードでも楽しいと思えるものだが、RS2はまさにそれだ。ちょっと転がしただけでも満足が得られる。

後半で詳しく見ていこう。