WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 今季メジャー初戦のマスターズを終えた松山英樹(25歳)が、2週間のオフを経て復帰戦に選んだのは、2人1組で戦うチーム戦のチューリッヒ・クラシック(4月27日〜30日/ルイジアナ州)だった。

 ペアを組んだのは、東北福祉大の先輩・谷原秀人(38歳)。松山が慕う数少ないプロ仲間のひとりだ。


チューリッヒ・クラシックに挑んだ谷原(左)&松山ペア 松山&谷原ペアの結果は、32位タイ。最終日は6時間以上も中断する悪天候に見舞われて長い戦いとなったが、松山の表情は終始穏やかだった。4日間を通しても、どこかノビノビとした感じで、うまく肩の力を抜いてプレーしているように見えた。

 それは、チーム戦というフォーマットがそうさせたのか、ペアを組んだ谷原の存在が大きかったのか、あるいは、ずっと優勝を目指して神経を尖らせてきたマスターズでの戦いを終えて、緊張から解放されたからなのか――とにかく、いい意味でリラックスしているように感じられた。

 マスターズは、11位だった。最終日に追い上げた松山にとっては、悔しい結果でしかなかったはずだ。最大目標とする”マスターズで勝つ”ためには、また1年も待たなければならず、その間、再び奮闘していかなければいけないのだから、ここから新たな長い戦いが始まっていくようなものだろう。

 迎えた今大会、松山は「チーム戦だから、少しお祭り気分で楽しんでプレーしたい」と試合前には話していたが、いざ戦ってみると、意外とチーム戦ならではのプレッシャーを感じてプレーしていたという。

 ティーショットが不安定だった松山。片や、谷原はパッティングがなかなか決まらなかった。その結果、大会では今ひとつ爆発力に欠けていた。

 初日のフォアサム(ひとつのボールを交互に打つ)は、3アンダー11位と好発進した。2日目のフォアボール(ふたりのうち、いいスコアを採用する)では、松山がイーグルを奪って盛り返したが、3日目のフォアサムで「75」として大きく後退。最終日は、優勝争いとはかなり遠いところでプレーすることになった。

 松山は自分のプレーが不甲斐なかったとして、こう振り返った。

「やっぱり、難しいなと感じました。もうちょっと自分がスムーズなプレーをして、ティーショットも真っ直ぐ打つことができればよかったんですけど……。なかなかグリーンをとらえられなくて、(谷原に)プレッシャーをかけてしまった」

 そういう中でも、松山には得たものがあったという。ペアを組んだ谷原から受けた影響だ。

 2日目のフォアボール。それぞれが自分のボールでプレーして、どちらかいいほうのスコアを採用するのだから、本来はスコアがずっと伸びていくはずである。ところが、出だしから松山のティーショットが大きく曲がって、谷原がパッティングを決められず、4番でボギーを喫して後退した。

 以降、プレーするふたりからは笑顔が消えて、ともにややうつむき加減でコースを歩いていたが、7番パー5で、松山が残り200ヤードをピンハイ5mに2オン。これを沈めてイーグルを奪うと、大きく流れが変わった。

 合図となったのは、イーグルを決めた松山に対して、谷原が鼓舞して言った「よぉーし、ここから元気出していこう!」という言葉だった。そこから、ふたりにも笑みが戻って、谷原のショットも冴え渡り、4ホールで5つもスコアを伸ばす快進撃につなげた。

 松山が言う。

「(谷原の存在は)すごく心強かったし、(谷原には)自分にないものがあった。調子がよくない中でも、ショートゲームで拾っていくところがすごかったし、チームとなって回ってみると、頼もしい限りだった」

 相変わらず、自らのプレーについてはなかなか満足していなかった松山だが、谷原と組んで回ったことは大きな経験となったのではないだろうか。彼から得たもの、彼のしぶとさを目の当たりして学んだことは、決して少なくなかったに違いない。

 マスターズは終わってしまったが、今季の戦いはこれから。松山は、改めて気持ちを引き締め、今後に向けての抱負を語った。

「メジャーはまだあるし、プレーヤーズ選手権も、メモリアルトーナメントもある。(6月の)全米オープンはすぐだし、全英オープン(7月)も近い。試合はどんどんあって、待ってはくれない。しっかりと試合に合わせてやっていきたい」

 次戦は、「第5のメジャー」と呼ばれるプレーヤーズ選手権(5月11日〜14日/フロリダ州)に出場する。今回のチューリッヒ・クラシックで見せたような、肩の力を抜いたプレーを続けられたら、また違った松山のゴルフが見られそうな気がする。その活躍に注目したい。

 一方、今季は米、欧州、日本と3つのツアーでプレーする谷原。今大会を終えた時点で、世界ランキングは51位に後退した。50位までに与えられるプレーヤーズ選手権の出場資格は惜しくも手にすることができなかった。それでも、松山と4日間をともに戦ったことは、谷原にとっても大きな経験となった。

「英樹とこれだけ一緒にいることはなかなかないんですが、本当に楽しかったし、(松山のプレーを)間近で見られてすごく勉強になりました。自分に足りないものがいっぱいありすぎて、何からやっていけばいいかわからないんですけど(苦笑)」

 今大会でも最後まで明るい笑みを絶やさなかった谷原だが、その表情には日米、アジアと転戦してきた疲労の色がにじみ出ていた。

 ゆえに、「一度、休みたい。ずっと休んでいなかったんで」と谷原。このあとは、一旦日本に帰国するという。その後、欧州ツアーのBMW・PGA選手権(5月25日〜28日/イングランド)に参戦する予定だ。

 やや調子が落ちてしまった谷原だが、リフレッシュしたのち、再び復調し好結果を出してくれることを期待したい。

■ゴルフ 記事一覧>>