台湾当局が今月下旬に開かれるWHO総会の招請状が届かないことにいら立ちを強めている。「一つの中国」をめぐり、中国が圧力をかけているためで、蔡英文総統は「出席可否は両岸関係の重要な指標」と位置付けている。写真は台湾総統府。

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2017年5月6日、今月22日からスイスのジュネーブで開かれる世界保健機関(WHO)総会の招請状が届かず、台湾当局がいら立ちを強めている。「一つの中国」をめぐり、中国が圧力をかけ、各種国際会議への参加を拒んでいるためだ。蔡英文総統は「出席可否は両岸関係の重要な指標になる」と位置付けている。

台湾は1971年、中国の国連加盟に伴い国連機関から脱退。WHO総会にも参加できずにいたが、国民党の馬英九政権が対中関係改善を図ると、中国も態度を軟化させ、2009年にオブザーバー参加が認められ、「中華台北」の名義で以降は毎年出席していた。

しかし、独立志向が強い民進党の蔡政権が昨年5月に発足すると、状況は一変。昨年のWHO総会は5月23日からだったが、招請状は届いたものの、オンライン申請締切日の当日と遅れた。その上、ただし書きとして「一つの中国」原則に沿った招請であることが明記されていた。

その後、国際会議に関する中国側の圧力は強まる一方で、昨年9月にカナダで開かれた国際民間航空機関(ICAO)総会に台湾は出席できなかった。前回はゲスト参加が認められた会合だった。11月に国際刑事警察機構(ICPO)がインドネシアで開催した年次総会も同様。台湾は「一つの中国」原則に基づく名称変更を迫られたことをから1984年、ICPOを脱退していた。昨年は脱退後、初めてオブザーバーとしての出席を申請し、米国が参加支持を表明するなどしていた。

WHO総会について、蔡総統は4月末のロイター通信とのインタビューで「台湾の参加可否は台湾と中国大陸の両岸関係において非常に重要な指標になるだろう」と指摘。中国は制限をかけるやり方を採用し続けているとして、中国の政策決定者に対し、両岸関係に不利益となる決定を行わないよう呼び掛けた。

台湾メディアによると、蔡総統は米国の対台湾窓口機関・米国在台協会(AIT)のジェームズ・モリアーティ理事長にも協力を要請。「WHO総会への参加は台湾の人々の健康の権利に関わるものであり、いかなる理由であれ剥奪されてはならない」と訴えたという。

さらに蔡総統は2日、国際保健への台湾の貢献をPRする映像をツイッターに投稿。「台湾は世界中の数百万人の病人に対し医療協力を行ってきました。これは台湾の物語です」と国際社会に語りかけた。蔡総統が紹介した映像は、衛生福利部(衛生省)と外交部が共同で製作したもので、台湾の医療専門家が世界で活動する姿をスライドショー形式で公開している。

蔡総統は3日にも、今度は日本語を使ってツイッターで発信。「台湾は国際医療活動に取り組んできました。医療環境の厳しい国々と共に頑張ってきた台湾の世界に対する貢献です」とつぶやき、存在感をアピールした。(編集/日向)