北朝鮮が、米国とタッグを組み核・ミサイル開発中止を求める中国を名指しで批判した。名指しは極めて異例。朝鮮戦争を通じて「血の友誼」で固められたはずの中朝間に異変が起きつつある。韓国新政権の出方も焦点だ。写真は北朝鮮。

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2017年5月6日、「血の友誼(ゆうぎ)」。朝鮮戦争を通じて血で固められた中国と北朝鮮の友好を意味する言葉だ。ところが北朝鮮は、米国とタッグを組み核・ミサイル開発中止を求める中国を名指しで批判した。北朝鮮が中国に不満を表明したのは初めてではないが、名指しは極めて異例。両国間に異変が起きつつある。

北朝鮮の中国批判について、韓国外務省は「北朝鮮への制裁と圧力が効果を上げていることを示す証拠」と評価。「中国が建設的な役割を果たすよう期待する」と引き続き対応を促した。韓国では9日に新政権が誕生する。この間、朝鮮半島を舞台にしたパワーゲームでは「蚊帳の外」に置かれていたが、新政権の出方によっては情勢が一段と複雑化する可能性もありそうだ。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は3日、「キム・チョル」名の論評を通じ、中国国営メディアが北朝鮮の核・ミサイル開発を批判していることについて、「わが国の合法的権利に対する重大な侵害で、長い友好の歴史を持つ隣国への露骨な威嚇だ」とした上で、「憤慨を禁じえない」と中国を強く非難した。

論評は、中国共産党中央委員会機関紙・人民日報や系列の環球時報の報道に言及し、「わが国の核保有は国益に反していると騒いでいる」「朝中関係の悪化の責任を全面的にわれわれに押し付け、米国に同調する卑劣な行為を弁明している」などと批判。「わが国の自主的、合法的な権利、尊厳、最高利益に対する深刻な侵害であり、長い親善の歴史と伝統を持つ善良な隣国に対する露骨な威嚇だ」と決めつけた。

さらに、「われわれは米国の侵略と脅威から祖国と人民を死守するために核を保有した。その自衛的使命は今後も変わらない。朝中友好がいくら大切でも、生命と同然であるような核と引き換えにしてまで、哀願するわれわれではない」と強調。「朝中関係の『赤い線(レッドライン)』を中国が乱暴に踏みにじり、ためらいなく越えようとしている」として、「中国はこれ以上、無謀にわれわれの忍耐心を試そうとするのをやめ、現実を冷静に見て正しい戦略的選択をしなければならない」と警告した。

これに対し、中国外交部の報道官は4日の記者会見で、「中国は客観的で公正な立場を堅持し、事案の是非により問題を判断し、処理してきた」と北朝鮮の主張に反論。「中朝の善隣友好関係を発展させる立場は明確だ」とも訴えた。

一方で環球時報は4日の論評で「(北朝鮮は)非理性的な思考に陥っており、中国は論戦に付き合う必要はない」と指摘。「レッドラインがどこにあり、新たな核実験をした場合は前例のない厳しい対応を取るということを(北朝鮮に)分からせるべきだ」と妥協しない姿勢を示した。

環球時報は社説で、いずれかの国が武力攻撃を受けた場合、他方の締約国は直ちに全力を挙げて軍事上その他の援助を与えるという「参戦条項」がある中朝友好互助条約を取り上げ、「中国は堅持していくべきなのか?」とも論じた。かつての「蜜月」時代とはすっかり様変わりしている。(編集/日向)