イタリアで大ヒット!日本のロボットアニメにオマージュを捧げた『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』ポスタービジュアル
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 イタリア本国で大ヒットした『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(5月20日公開)は、日本のロボットアニメ「鋼鉄ジーグ」にオマージュを捧げた異色のヒーロームービーだ。本作で長編デビューを果たしたのは現在40歳のガブリエーレ・マイネッティ。過去にも日本のアニメをモチーフにした短編を発表してきた気鋭監督が来日し、アニメに魅せられ続けている理由を語った。

 マイネッティ監督が幼少期を過ごした1970〜80年代、イタリアでは毎日のように日本のアニメが放送されていたという。「思春期に至るまで、家に帰ると月曜から金曜まで毎日3時間日本のアニメを見続けていたんだから、影響を受けないわけにはいかないですよ。イタリアでは『鋼鉄ジーグ』『マジンガーZ』『UFOロボ グレンダイザー』が3大ロボットアニメ。今でもすごく強い奴がいたら『お前はジーグかよ!』とか『そんなのグレンダイザーでもできるわけがない!』みたいなジョークを言うんです」と笑う。

 マイネッティ監督と20年来の盟友という脚本家のニコラ・グアッリャノーネは、「本当に自分たちが感動してきたもの」を作品に反映させるべきだと意見が一致。「もちろんアニメ以外からの影響もたくさんありますし、大人になったらアニメなんて卒業という人も多い。でも今の自分たち自身や映像原語を形作ったものとして、日本のアニメは外せません」。

 マイネッティ監督の存在が広く知られるきっかけになったのは2006年の短編『バセット(原題)/ Basette』。犯罪一家に育った男が逮捕され、警察から逃亡を図るストーリーで、主人公は自分が「ルパン三世」になった姿を夢想する。その夢想シーンに登場するルパン三世、次元大介、石川五ェ門、銭形警部、峰不二子の再現度の高さがネットで評判となり、日本でもオモシロ映像として評判を呼んだ。

 『バセット』のエンディングがツナギ姿の美女がバイクで走る映像であることも「当然『ルパン三世』へのオマージュです」と認める。「大野雄二さんのジャズ調のBGMをお手本にした曲も自分たちで書きました」と日本のアニメへの愛情は留まるところを知らない。

 2012年の短編『タイガーボーイ(原題)/ Tiger Boy』は、虎のマスクを被った覆面レスラーに憧れる少年が虐待に立ち向かうヒューマンドラマだ。「もちろんアニメの『タイガーマスク』へのオマージュです(笑)。僕だけでなく、イタリア中が夢中になって観ていたはず。チョークで敵の首を絞めると腕がぷるぷると震えたり、ダークな描写も刺激的でしたね」。

 とはいえマイネッティは、ただ懐かしんで模倣しているのではない。「今回はやさぐれていた男が崇高な使命に目覚めていく物語で、僕たちの少年時代にすごく重要だった『鋼鉄ジーグ』をピュアなものの象徴として使いました。でも同時にとてもイタリア的なエゴイズムを描いていることにも注目して欲しい」とイタリアのフィルムメイカーであることも強調する。確かにイタリア社会が抱える貧困や移民の問題は“アニメ三部作”にも共通して見ることができるテーマ。「日本のアニメは物語を語るための触媒なんです」と自らの作劇術を明かした。(取材・文:村山章)