最近はハイレゾ対応をうたった高音質で音楽を楽しめるスマートフォンが人気を博していますが、XperiaやGALAXY Sシリーズなどハイレゾ対応のスマホからもう一歩“いい音”に踏み込むなら、5万円〜10万円クラスの中級ハイレゾプレーヤーへの乗り換えがおすすめです。今回は同価格帯の新製品として登場した、韓国のブランドThe BITのハイレゾプレーヤー「OPUS#3」をレビューします。タッチパネル液晶とAndroidベースのOSを搭載した操作性と、Wi-FiにつないでSpotifyの音楽ストリーミングが楽しめる多機能性にも要注目です。

↑OPUS#3

 

高い質感のアルミボディ

まずは写真で外観を紹介しましょう。本体の素材は航空機グレードのアルミニウム。ブロックから削り出した強靱なフレームが音に悪影響を与える余分な振動をピタリと抑えます。背面はヘアライン処理とローレット加工のコンビネーション。側面にボリュームダイアルと再生コントロール用のボタンを配置しています。フロントパネルは4型のタッチパネル液晶のみというシンプルで質実剛健なデザインです。

↑アルミブロックから削り出したリジッドなボディ。背面はローレット加工とヘアライン処理のコンビ

 

大きな特長を以下の4点にまとめてみたいと思います。1点目に、通常の3.5mmのイヤホン端子に加えて2.5mm/4極のバランス出力端子を備えています。同じバランス接続に対応するイヤホン・ヘッドホンとの接続がおすすめです。

↑トップには3.5mmの通常のイヤホン端子と2.5mm/4極のバランス端子を搭載している

 

2点目は最大192kHz/24bitまでのリニアPCM系のほかに、最大11.2MHzまでのDSD系ハイレゾ楽曲のネイティブ再生に対応していること。初級から中級価格帯のプレーヤーにはDSD再生をリニアPCM変換で対応するものも多く、ましてやハイレゾスマホではDSDファイルの再生すらできない製品が多くあります。DSDのよりピュアな魅力に迫れるといわれるネイティブ再生に対応したことは大きなメリットと言えるかもしれません。

 

 

3点目はAndroidベースのプラットフォームを搭載していることです。ただしGoogle Playストアには接続できないので、ユーザーが好きなアプリを追加することはできません。音楽再生はプリセットされている専用プレーヤー「AudioPlayer」が中心になります。Wi-Fi接続機能が搭載されているので、インターネットに接続してSpotifyの音源を再生することができます。

↑専用プレーヤーアプリ「AudioPlayer」の画面。シンプルなレイアウトだ

 

そして最後の4点目として、PCにUSBケーブルでつなげばUSB-DACとして使えます。3.5mmのイヤホン端子が光デジタル出力を兼用するラインアウトになっているので、アクティブスピーカーなどをダイレクトにつなげばスピーカーリスニングの環境にも発展できます。USB-DACとして使う場合もDSDは11.2MHzまでのネイティブ再生に対応します。

↑USB-DAC機能を備えているので据え置き型DACの代用としても使えます

 

クセのない音質。操作性はやや難あり

それではOPUS#3の実機をハンドリングしてみましょう。アルミブロックを贅沢に削り出してつくった本体は、手に取るとオーディオ機器らしくずっしりと充実した重みが感じられます。画面が4型とほどよいサイズなので、片手持ちでの操作も苦になりません。

 

専用プレーヤーアプリ「AudioPlayer」のユーザーインターフェースは最新のハイレゾプレーヤーに比べるとややシンプル。楽曲再生中のカバーアート表示や楽曲情報の詳細表示など基本はしっかりと押さえつつ、プレーヤー単体でプレイリストも作成できます。画面の上端を下に向かってスワイプして通知トレイを引き出すと、イコライザーのON/OFFが選べます。ただ、イコライザーは珍しくプリセットを設けておらず、5件のスロットにユーザーがカスタマイズした設定を保存して使い分ける仕様としています。

↑内蔵ストレージ、SDカードに保存した楽曲がアルバムやアーティストに区分けされた状態で並べられる。タッチ操作のレスポンスも快適

 

タッチパネルの反応は俊敏で、アルバムやアーティスト、フォルダごとの一覧表示が素速く切り替えられます。Spotifyやネットワーク再生用プレーヤー「NetOpusPlayer」のタッチ操作はややレスポンスが落ちてしまうので、今後のファームウェア更新などで改善されてほしいと感じました。基点となるホーム画面らしいものや、そこに一発で飛べるアイコンやボタンがないので、楽曲再生の画面からアーティストやアルバムをまたいだ選曲にやや手間がかかることがありました。

 

本体に内蔵されているメモリーは64GBと若干少なめですが、microSDカードを1枚装着してストレージを増強できます。またWi-Fi機能によりホームネットワークにつなげば、NASやパソコンに保存している音楽ファイルを再生できるので、プレーヤー本体のストレージにすべてのファイルを詰め込む必要もありません。

 

OPUS#3のサウンドは、筆者がふだん使っているAstell & Kern×JH audioのイヤホン「Michelle」を使っています。まずは3.5mmアンバランス接続から。フラットなバランスで余計なクセを感じさせないサウンドです。OPUS#3はDAC部のICチップにバーブラウンの「PCM1792A」を乗せています。メリハリに富み、音楽のエネルギーをストレートに引き出せるプレーヤーです。ホリー・コールのDSD作品「Girl Talk」ではボーカルの鮮やかな輪郭、余韻のきめ細かな快調感を丁寧に描きます。

↑Michelleと組み合わせてOPUS#3のサウンドをチェックした

 

Michelleのケーブルを2.5mm/4極のバランスケーブルにつなぎ替えてみると、アンバランス接続の音よりもさらに音像の定位が定まって、音場が立体的に再現されるようになります。中高域の透明感も増して、ボーカルの抑揚が豊かさを増してきます。ノラ・ジョーンズの「Don’t Know Why」は声が消え入る際の余韻のきめ細かさに注目です。ロックやEDMは低いリズムの存在感がより前に押し出されるようになります。例えばマイケル・ジャクソンの楽曲「Bille Jean」の冒頭のベースラインにはとても心地よい弾力感が乗ってきます。

 

OPUS#3のサウンドはバランス接続で聴く方が切れ味と鮮やかさが増して断然おすすめです。今回筆者が組み合わせたMichelle以外にもバランス接続で楽しめる手ごろな価格のヘッドホンやイヤホンや、バランス接続用のリケーブルもたくさんあるのでぜひ揃えてみてはいかがでしょうか。

 

OPUS#3でSpotifyを楽しむためには有償のプレミアム・アカウントへの登録が必要になります。使ってみると、スマホに近い感覚のタッチ操作で曲が選べて、しかも一般的なスマホよりも格段にいい音でSpotifyの楽曲が聴けるのがとても快適です。今のところは対応する音楽配信サービスはSpotifyだけですが、今後は機能アップデートなどにより他の音楽配信サービスも追加されることを期待しましょう。

↑Spotifyのプレミアム・アカウントを持っていればストリーミング再生が楽しめる

 

Wi-FiにつないでNASに保存した楽曲をネットワーク経由で聴ける機能も便利に感じられました。単体での音質はもちろん、多彩な機能を遊べるハイレゾプレーヤーを探している方に「OPUS#3」はよい選択肢のひとつになると思います。

↑Wi-FiにつなぐとローカルメディアサーバーとしてNASやBDレコーダーが表示された