リーバイスの復活を成し遂げた、元軍人のカリスマCEO

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19世紀後半、ゴールドラッシュに沸いたアメリカで、金鉱で働く労働者のワークパンツとして生まれたジーンズ。最初に生産したのはリーバイ・ストラウス社──「リーバイス」だ。

ジーンズのパイオニアである当社だが、ファストファッションの台頭など世界的な流れにも押され、90年代から長い低迷期に入る。それを立て直したのが2011年にCEOに就任したチップ・バーグだ。

「サンフランシスコベイエリアで最も称賛されるCEO」にも選ばれたバーグは、米軍からキャリアを開始させ、P&Gに転じ、グループの幹部に上り詰めた異色の経歴をもつ。そんな彼がリーバイスで行ったのは、組織の再構築と経営戦略の全面的な見直しだった。バーグが語る。

「リーバイスには会社の根幹を担うエグゼクティブチームと、その下に100人ほどの個々の市場を担当するリーダーがいます。まず、このエグゼクティブのメンバーをほとんど刷新し、その下のチームも3分の2を入れ替えました。かなりの痛みを伴いましたが、会社の状況を理解し、強いリーダーシップを発揮できる人材を抜擢しました。いまの当社のリーダーたちは、世界の一流企業と比べても遜色のないレベルにあると自負しています」

そして、もともとアパレル業界の出身ではないバーグは、ファッションビジネスを先入観なく徹底的に分析。収益源となるコアビジネスに経営資源を注力することから始めた。

「リーバイスといえば、やはり不朽の名作と言うべきジーンズの501。ここに焦点を当て、細身のスキニーなど現代の若者に向けたアレンジを加えて展開していきました。続いて、ほとんど開拓できていなかったウィメンズにも目を向け、あえてボトムスではなくトップスの商品ラインナップを充実させたところ、月次でふたけたの成長を続けています。さらにリテールのチャネルとして店舗展開を拡大し、eコマースにも投資。コスト構造の見直しと生産性の向上にも取り組みました」

この組織改革と戦略の立て直しによって、リーバイスは13年から4年連続で営業利益を拡大。V字回復を成し遂げた。日本市場でも増収増益が続き、16年は税引き後の当期純利益が4億9700万円と前の期の3倍になった。

「日本はデニム文化が強く根付いていて、世界にトレンドを発信していくうえでも非常に重要なマーケットです。日本にはユニクロなど価格と価値のバランスがよい競合相手もおり、競争環境は厳しいですが、リーバイスのオリジナリティーとクオリティ、伝統的であるといった強みは、日本の消費者に受け入れられるものと信じています」

バーグは毎朝5時半に起床してプールやジムに通い、59歳の今も引き締まった身体を維持している。そんな自分を律する強い意志が、名門リーバイス復活の原動力となったのだろう。

チップ・バーグ◎ペンシルベニア州のラファイエット大学を卒業後、1979年から米軍に所属。83年にP&Gに入社し、ブランドマネジャーやマーケティングに従事した。2011年より現職。リーバイスの研究所「ユーレカ・イノベーションラボ」の設立やNFLのサンフランシスコ49ersのスタジアム命名権の投資などを手がけた。