男性介護者に多い「共有する意思」のなさ、孤独感の原因に

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米国の10世帯のうち4世帯では、高齢になった家族の介護の役割を男性が担っている。それは主に、夫や兄弟、義理の息子たち、あるいは隣人の男性たちなどだ。米国ではこれまで、介護について語るときには必ずと言っていいほど、こうした男性たちの存在が無視されてきた。家族の介護をするのは、40歳を過ぎた娘たちだと思い込まれてきたためだ。

全米退職者協会(AARP)の公共政策研究所が今年3月に発表した報告書は、目を向けられてこなかった「介護者としての男性たち」についての調査結果をまとめたものだ。米国は今こそ、こうした男性たちに関する理解を深めるための努力を始めなくてはならない。

実際には、男性たちはかなり以前から、介護の役割を担ってきた。2015年に発表された調査報告書「米国における介護」に示されたデータからは、親戚や友人の介護者として男性が経験することは、女性たちが経験してきたこととほぼ同じであることが明らかになっている。

介護者たちは男女ともほぼ同じ年齢であり、家族や友人の介護にあたる期間は平均約4年間。どのような支援を提供しているかという点でも、違いはない。

調査対象とした介護者たちの半数は、調査に協力した時点から1年前までの間に「介護している人(親など)が少なくとも1回は入院した」と答えた。また、配偶者を介護していると答えた男性たちの4分の1が、同じ期間に「妻が少なくとも3回入院した」と回答していた。

性別による違い

ただ、介護者としての男女の間には、いくつかの違いもある。介護と仕事を両立させている人たちの間では、男性の方が長時間の勤務をこなしていた。介護が必要な家族がいることを上司に伝えている人は、男性の方が女性より少なかった。

一方、女性の介護者たちと同様に、約半数が「家族の介護のために休暇を取得したことがある」と答えたほか、15%が「休職または就業形態をフルタイムからパートタイムに変更した」と回答した。

男女間の違いは他にもある。男性たち、少なくともベビーブーマー世代の男性たちは女性に比べ、赤ちゃんを含め家族の世話をした経験があまりない。そのため、入浴など本来一人でするようなことへの介助を気まずく感じる人が多いのだ。

さらに、男性は例えば金銭面の問題など、実務的なことに関するアドバイスを求める傾向があるが、一方で女性は、介護をする中での自分の経験について話を聞いてもらいたいと考える人が多い。

男性たちが介護者として直面する問題について、人に話すのは難しいことだ。こうした問題は彼らにとって、「ただ我慢してこなすべき」ことなのだ。また、男性には介護の難しさを認めたがらない傾向もある。

「共有」の重要性

ただし、多くの介護者たちが男女にかかわらず、共通して持つ感情がある。家族の介護は時間がかかる。仕事に行き、急いで帰宅して親の世話をし、眠り、次の日もまた全く同じことを繰り返す毎日の中で、介護者は孤独に陥りやすい。

ゴルフや釣りに行ったり、毎週の約束だったポーカーゲームをしたり、という友人たちと一緒に楽しむ時間もなくなってしまう(友人たちもまた、同じ環境に置かれるようになることが多い)。

介護の経験を人と共有することは、女性たちの方が得意なようだ。友人たちに話したり、サポートグループに参加したり、インターネットに投稿したり、といった形で自分の経験を伝えている。経験の共有という点において男性たちの存在感が薄いのは、彼らが人に話したがらないためだ。そして、それが男性たちの孤立感をより増大させる結果につながっている。

AARPのおかげで、男性介護者たちの存在を広く知ってもらう機会が与えられた。介護の役割を担う女性たちと同じように、政治家らはこうした男性たちにも目を向けていく必要がある。また、介護者としてより幅広く認識してもらえるようになることで、男性たちは「自分と同じ立場にいる人は予想以上に大勢いる」と気付くことができるかもしれない。