長期の離脱からいよいよ戦列に復帰した大島。常に攻撃の起点であり続けた。(C) SOCCER DIGEST

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[J1リーグ10節]川崎 3-0 新潟/5月5日/等々力

 川崎が3-0の快勝を収めて連敗を免れた。前節のC大阪戦では0-2というスコアでは表せないくらいの完敗を喫していた川崎にとって、その失敗を2戦連続で繰り返さなかったことは、タイトルを目指すチームうえで大きな意味があるだろう。

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 全くと言って良いほど攻撃面での良さ、怖さが発揮できなかった前節と比べて変わった点はいくつかあるが、中盤の絶対的支柱である大島が負傷から復帰したことと、前節は累積警告による出場停止だったエドゥアルド・ネットが戻ってきたという点だ。タイトルにあと一歩、あと半歩まで迫った昨シーズンの躍進を支えたボランチ2枚がピッチに帰ってきたことで、この日の攻撃時には見慣れたリズムがあった。
 
「ネットと僚太の関係はある程度構築できているし、そこらへんで時間を使うところと縦に速く行く所の使い分けはある程度出来ていたので。それは良かったのかなと。ゲームをある程度コントロール出来ていたかなと思います」(谷口)
 
 ただ、もちろん彼らの存在だけではない。新潟の最前線が前掛かりにプレッシングに来る一方で、川崎は最終ラインがそれに連動して位置を上げることができず、最終ラインとボランチの間に広大なスペースが生まれていた。そこを小林、ハイネル、長谷川らが積極的に突いて推進力を出すことで、ゴールを近づけていった。
 
 この点については大島も感じていたようで、
「今日は持った時にすごく前への推進力を持ってプレーをしてくれていたので。僕らは付けるだけで良かったというのはありました」と語る。本人は謙遜するようにこう言うが、彼が行なっていたプレーはただパスを付ける“だけ”に留まるものではなかった。
 
「サイドで前に出たら(パスを)出してくれる。ボールを受けたい時に1回ちゃんと当ててくれたり。そういうのを分かってくれるので。すごく自分としてはやりやすい。自分としては大きな存在」
 
 こう語るのは長谷川だ。前半こそロストが目立ったものの、積極的に前進する中で自身が欲しいタイミングを逃さぬ配給をしてくれる大島には脱帽する。
 そして、主将である小林も大島の存在の大きさを感嘆のため息を混じえて語る。
 
「やっぱり僚太は巧いなぁと思いますね。久しぶりにやっても、すごく良いところに顔を出してくれるし、一発でパスも出せるし。まだまだコンディションもどんどん上がっていくと思いますけど、僚太の復帰だけではなくてけが人もこれからどんどん戻ってくるのはチームとして大きいなと思います」
 
 体力的な問題もあり76分でピッチを去ったが、本人は「本当はしれっと90分出たかったんですけどね」と言う。
 
 思えば昨年のリオ五輪帰りの一発目の試合である2ndステージ9節の浦和戦(2-1◯)も、帰国便で発症した熱が収まりきらないまま出場して大一番で獅子奮迅のプレーを見せた。彼にとって少しの離脱期間や体調不良は、技術や判断力を鈍らせる直接的な要因にはならないのでなないかと、この新潟戦も含めて思わせられたものだ。とにかく、大島僚太の復帰は川崎というチームにとって非常に大きな意味を持つ。
 
 ただし、新潟の守備組織には穴が多かったということも確か。本当の勝負はこれからだ。背番号10の帰還によって、この先に真価が問われてくる。
 
取材・文:竹中玲央奈(フリーライター)