伝説的な“プリンセスアニメーター”マーク・ヘン - ウォルト・ディズニー・アニメーション・リサーチライブラリーにて

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 実写版も大ヒット中の映画『美女と野獣』(1991)のベルを筆頭に数々の人気プリンセスたちに命を吹き込んできた伝説的なアニメーターであるマーク・ヘンが、ディズニーの伝統ともいえる手描きアニメーションがなくなりつつある現状について語った。ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオでは『プリンセスと魔法のキス』(2009)、そして『くまのプーさん』(2011)以降、長編の手描きアニメーションは作られていない。

 ベルのほか、『リトル・マーメイド』のアリエル、『アラジン』のジャスミン、『ポカホンタス』のポカホンタス、『ムーラン』のムーラン、『プリンセスと魔法のキス』のティアナなどを手掛け、“プリンセスアニメーター”として知られるマークは「残念ながら、時代の波には逆らえない。とは言え、今でも手描きアニメーションを手掛ける機会はあるんですよ」と明かす。

 例えば、現在公開中の『モアナと伝説の海』では手描きアニメーションによるマウイ(ヒロイン・モアナが出会う伝説の英雄)の動くタトゥーパートを担当したほか、テーマパーク用に描き下ろすことも時々あるという。だがマークは「今のわたしに課せられているより重要な役目は、長年培ってきたスキルと経験を、手描きアニメーションの技法を知らないCGアニメーターたちに伝授し、彼らがよりクオリティーの高いCGアニメーションを作り上げていけるようサポートすることです」ときっぱり語る。

 マークが描いた原画も多数保存されている「ウォルト・ディズニー・アニメーション・リサーチライブラリー」のフォックス・カーニーも「どのようにマークがベルを描いたのか、彼が2Dでそうした素晴らしいキャラクターを生み出したのかを知れることは、全てのアーティストの助けになります。CGアニメーションにも影響を与えているんです」と言い切る。手描きからCGへと形式は変わっても、伝説的なアニメーターたちの尽力と彼らから学ぼうとするCGアニメーターたちによって、ディズニーの伝統は脈々と受け継がれているようだ。

 愛する手描きアニメーションがなくなりつつある現状にマークは「でも寂しいですよ。もちろん寂しいです」と本音もちらり。まだまだ手描きの可能性を信じているといい、「近年でも『プリンセスと魔法のキス』や『くまのプーさん』、その他いくつかの短編など、手描きアニメーションでやりました。だから将来、そういう機会がもっとあるかもしれませんよね」と思いをはせた。

 また、アニメーション版でマークが手掛けた魅力的なプリンセスたちが、実写版で新たに息を吹き込まれるということもある。今回の実写版『美女と野獣』でベルを演じたエマ・ワトソンについて、マークは「いいキャスティングだったと思います。何度か(アニメーション版で)ベルの声をやったペイジ・オハラと話したのですが、彼女はもし自分がキャスティングエージェントでも、エマを選んだだろうと言っていました。だから、完璧なキャスティングだと思います」と太鼓判を押していた。(編集部・市川遥)

実写映画『美女と野獣』は公開中