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■どんなクルマ?

まず伝えたいことは、少しゴシップ的な言い方ではあるが、BMWは、ついに50/50の重量配分を捨ててしまったということ。

とはいえ、このメーカーが長く貫いてきたこの哲学は、今でも殆どモデルに受け継がれている。しかし、530e iPerformanceにおいてはその限りではない。

2.0ℓの4気筒ガソリン・エンジン(184ps)を前に積み、普段はトルク・コンバーターが位置する、8速オートマティック・トランスミッションのベル・ハウジングに112psを発する電気モーターを搭載している。

3時間以内に充電を完了できる、9.2kWhのバッテリーを後部座席の下に配置し、46ℓを確保する燃料タンクをリア・アクスルの外側に置く。

少しやり過ぎとも思えるこの技術的アイデアは、結果、このクルマの重量配分は、47:53となった。

しかし、G30型の5シリーズは、素晴らしくバランスのとれたクルマであり、少しくらいリアが重いことがどのくらいの影響を及ぼすのであろうか?

じつに興味深い。

■どんな感じ?

都市部をゆっくりならば◯ しかし……

パフォーマンスの名のもと、環境性能と運動性能の追求を具現化するが、このメーカーの造るクルマはたしかにどちらも定石がある。

環境性能を追求するこのクルマは、46g/kmのCO2排出量を標榜し、50km/ℓのEU複合モードの燃費を同時に達成しているという。

ハイブリッド技術に関してちょっと物知りの人なら、こういうだろう。

「メーカー公表値をこの世界で実現することができるなら、妖精を捕まえる事だってできるだろうよ」と。

もっと現実的な話をしよう。このクルマは、0-100km/h加速を6.2秒でこなし、最高速度は235km/hに達する。しかも、電気モーターだけでも、140km/hを達成できる。システムにおける消失がある為、システム合計で最高出力は252psとなる。

さて、530eは、パフォーマンスと経済性の究極的なコンビネーションを達成しているのか? EVモードのMax eDriveモードから検証してみよう。

このモードで走らせる限り、信じられない位静かなクルマであるが、この程度の実力なら、郊外というよりも市街地での使用がベストであろう。メーカー公表値の50kmの航続走行距離は、高速道路のスピードでは、その実現性に疑問符が付くのだ。

オートeDriveモードへ切り替えると、必要な時にガソリン・エンジンが起動する。紳士的な速度域であれば、トランスミッションの動作は滑らかであるが、いざハードにアクセルを開けるとそれは洗練されたものではなくなる。

加速性能はよい。がたがたしたBロードをさーっと駆け抜けるのに十分であるし、アウトバーンなら苦も無く3桁のスピードに乗せることが可能だ。

しかし、コーナーに飛ぶこむと、気になることがある。

気になるコーナーでの身のこなし

コーナーのアプローチでは、より軽く、伝統的な手法でパワーアップされた車種と比較すると、ロールは大きい。しかし、50/50の重量配分でなくても、ふさわしいバランスを有している。

530eのフロントは予想したよりも早く限界に達したが、テスト車はスノー・タイヤを履いているからだ、ということにしておきたい。うぅむ。

一方で、ステアリングは、最大の失望点である。ステアリング切っていっても、操舵感に変化がないので、ドライバーはいつもラインをトレースする為に、修正を強いられるのだ。

それは、自然な操舵感を有していた、その他のG30型のそれとは全く違うものだった。アダプティブ・ダンパーを備えているにも関わらず、轍に乗った時の挙動の収まりも悪く、高速域での安定感も心もとないものであった。

何度も繰り返すが、スノー・タイヤの影響も否定はできないが、重いバッテリーの為に硬いバネを入れたせいである可能性も否定できない。回生ブレーキのタッチも均一ではなく、スムーズな制動を行うには、ちょっとした慣れが必要である。

530dと比べた時、530eの魅力はさらに減退する。

トランク・スペースのことである。ディーゼル車(ガソリン車も同様)は、十分な530ℓを備えるが。バッテリーを積む影響で、530eのそれは、410ℓへ縮小している。

しかも、高さが足りない為に、大きなスーツケースのような、かさ張る荷物を積むことが困難なのだ。

■「買い」か?

「無理をしてまで買うクルマではない」

530dを差し置いて530eを選択するか?

あなたの使用用途が、法人用か街中の短い距離に限られるのなら、多分そうするだろう。電気モーターを多用する運転環境ならば、経済効果は高いはずだ。

その他の人にとっては、課せられる制約によって得られるものが、少な過ぎる。530dなら14km/ℓの燃費を記録することは、何でもないはずである。

530dを完璧な出来と称すなら、530eは未だ不完全と表現できる。全体的に洗練に欠けるのだ。

大きな疑問は、ハイブリッド技術は、もっと有効な解決策が手に入るまでの過渡の産物なのかどうかということである。

その証拠に、BMWは、水素燃料プロジェクトを継続させているのだから。

興味深い時代の、興味深いクルマではあるが、われわれの経験からいえることは、530eは無理をしてまで買うクルマではない。

BMW 530e iPerformance

■価格 £43,985(635万円) 
■最高速度 235km/h 
■0-100km/h加速 6.2秒 
■燃費 50km/ℓ 
■CO2排出量 46g/km 
■乾燥重量 1845kg 
■エンジン 直列4気筒1998ccガソリン+モーター 
■最高出力 252ps 
■最大トルク 42.8kg-m 
■ギアボックス 8速オートマティック