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Base Ball Bear「すべては君のせいで」のミュージックビデオに出演した本田 翼のかわいさに、世間がザワついている。Base Ball Bearと本田 翼のタッグはこれが3度目となるが、今回のミュージックビデオを撮るにあたり、小出祐介(vo&g)と山田智和監督は「“史上最強にかわいい本田 翼”を更新しよう」と語り合ったという。その制作の経緯を聞いた。


TEXT BY 廿楽玲子




──今回のミュージックビデオは、本田 翼さんの出演ありきだったんですか。


山田 いや、まずバンドをカッコよく撮りたいというところからスタートしました。まず最初に小出さんからニューアルバム『光源』の話をたっぷり聞いたんですよ。テーマが“2周目”であることや、並行世界とか時間軸の話、それから宮沢賢治『春と修羅』の話とか……。


小出 そのへんは、話すとすごい長くなるんですけど(笑)。


山田 2時間くらい話しましたよね。それを受けて、ミュージックビデオでは、日常と非日常の光景が交差する違和感を描きたいと思ったんです。それで新宿の夜景をバックに高所作業車の上で撮るアイデアが出て、そのあとに本田 翼さんのキャスティングが決まって。


小出 バンドのミュージックビデオに同じ女優さんが3回も出るって、あんまりないことだから、相当変わった注文だったよね。


山田 すでに過去2作で“史上最強にかわいい本田 翼”は撮られているわけで、これまでBase Ball Bearと本田さんが築いてきたイメージもある。そこに違う角度から挑戦できるのは、すごく光栄なことだなと思いました。


とにかく本田さんがかわいいのは当たり前だし、彼女は“かわいい”のプロなので。今回はあえて設定や場面を作り込んで、Base Ball Bearと本田さんならではの文脈で撮りたいと思ったんです。



小出 僕にとって本田さんは、ミュージックビデオの撮影現場で4年に1度くらい、ほんのわずかな時間だけ交差できる人なんですけど(笑)、会うたびに身にまとうオーラが強くなっていくなあって感じる。山田くんはいろんな女優さんと仕事してると思うけど、本田さんってどんなタイプの女優さんなんですか。


山田 言葉で表すのは難しいんですけど、プロとして、自分の使命として“かわいい”を体現できる人、という感じがします。だから信用できるし、とにかく撮るのが楽しい。僕、現場でめっちゃテンションあがってましたよね。


小出 めっちゃアガってた!(笑) 山田くんっていつもこんなに浮かれて仕事してるのかなって思ったもん(笑)。(ミュージックビデオを観ながら)この表情とか、よく撮れたよなあ……「なんだこのかわいさ!!」って撮りながらビックリしたでしょ。



小出祐介がビックリしたシーンはコチラ(3分48秒)


山田 僕がいちばんはしゃいでたけど、スタッフも全員笑顔でしたよね。ご本人たちは過酷な現場だったと思いますけど。


小出 そうだよ、こっちはやたら高い場所で、薄着で雨に濡れてるっていうのに(笑)。


山田 ですよね(笑)。


──小出さんたちにとっては、相当過酷な現場だったんですね。


山田 過酷だったと思います。ただ、それは意図したものでもあったんです。


小出 どういうこと?


山田 過酷な状況に追い込まれた人って、いつもとは違う表情を見せてくれたりするんです。これは僕が大好きな監督の竹内スグルさんに聞いたエピソードなんですけど、JUDY AND MARYのミュージックビデオ撮影で、草原に立つYUKIさんを撮るとき、カメラに写らないギリギリ上空にヘリをスタンバイさせたそうなんです。


そのヘリは映らないし、音も入らない。だけど頭上にヘリがあれば誰だってビビるわけで、そこで「さあ歌ってください」と言われても「いやいや……」っていうテンションになるから、そこでしか見られない表情が撮れると。


小出 うわ、それは映像制作ならではの面白さだね。今は合成でいろんな画が作れるし、今回のミュージックビデオも合成だと思った人が結構いたみたい。だけど、わざわざ雨ざらしの高い場所に立ったから、あの滲んだ空気感が出たわけで。


山田 そうなんです。そしてそんな状況でも本田さんは笑うのか、カットがかかったときにはどんな顔をするのか……その表情を捉えたくて、カット後の映像も結構使ってます。


小出 確かに「カット」と言ってからの余韻が妙に長くて、わざと回してるなあって思ってた(笑)。


山田 そこで一瞬見せるスキのある表情を撮りたくて。(ミュージックビデオを観ながら)たとえばこの表情とか、僕はすごい好きです。このちょっと油断した表情、かわいいなあ〜!(笑)



山田監督が選んだ本田 翼の好きな表情はコチラ(2分30秒)


小出 どんな表情も絵になるのがすごいよなあ。あと本田さん、カットがかかってもカメラが回ってる限り演技を止めなかったよね。その姿を見て、すごい女優さんになったんだなって思いました。


──本を読んだり、ソファに寝転んだり、本田さんの動作にはどんな意味があるんですか。


山田 まず物語の設定として、バンドメンバーと本田さんがいる世界は別々に存在していて、ループの構造になってるんです。そのうえで本田さんは、過去2作のミュージックビデオでやった動作をなぞったりしてます。


小出 本田さんは僕らのミュージックビデオで本を読まされがちだよね(笑)。



山田 だけど今回は途中から、本がつまらなくなったり、花にあげる水がなくなったり、うまくいかないことが起こるんですよ。そこでループ構造から一歩はみ出して、バンドの世界にアクセスするっていうストーリーがあります。こういうテーマは今の時代にも合っているなと。


──異世界にアクセスするというのは、アルバム『光源』のテーマにも繋がるし、世界的に注目されているモチーフでもありますよね。


小出 ちょうどアルバムが完成したタイミングで、オザケン(小沢健二)が突然19年ぶりのシングルを出したんですけど、その「流動体について」という曲で並行世界について歌ってるんですよね。さらに、ちょうどその時期に公開された『ラ・ラ・ランド』を観て、「ええっ!」って思って。


──様々な作品がシンクロしたような。


小出 そうなんです。僕らはバンドが新体制になって2周目に入った状況をメタ的にも回収しようと考えるなかで、こういうテーマに接近したわけなんですけど。でも、何かを敏感に感じ取った人たちが偶発的に同じテーマのものを作るのはよくあることだし、僕は結構そういう経験が多いんですよね。



──なぜ、こういうテーマの作品が多く生まれて、みんなに求められているんでしょうか。


小出 なんでだろう?


山田 そうですね……僕が思うに、今の時代って自分のタイムラインがビジュアライズされてると思うんです。Twitterの投稿が未来へ続く時間軸に見えたりとか。だけどもしかしたら、みんなそれに飽きて、並行世界のような何か別のものを求めてるのかなっていう気がします。


小出 ああ、それはなんかわかる。


山田 今回のミュージックビデオでは、それを明確化したかったというのもあります。別のラインにアクセスする、もうひとつの可能性を探るっていう。


小出 あと今回は、ミュージックビデオと合わせて、ジャケット写真とアーティスト写真も山田くんに撮ってもらったんです。ビジュアルをすべて同じ人に監修してもらって作れば、作品の純度が高まると思って。



左:アルバム『光源』ジャケット/右:アーティスト写真


山田 すべてを並べて観てもらうと、世界観がより伝わると思います。こういう作り方は初めてだったし、僕の新しい可能性を引き出してもらった感じで、ありがたいなあと思ってます。ジャケットは今の自分にも重なって特別なものになったので、ぜひ合わせて観てほしいです。


小出 大成功だと思います、自分で言うのもなんだけど(笑)。まだまだ山田くんとやりたいことがいっぱいあるから、また一緒に作りましょう。



深夜、新宿・歌舞伎町の大通りにクレーンを持ち込んで実際に撮影。合成ではありません!




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